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  • 2014.12.25

GK金沢克彦コラム #27

GK金沢コラム連載第27回!! 「棚橋弘至は“優しさと気配り”の男」


12月20日、棚橋が見せた涙の意味とは?
 この1週間、猛烈に忙しかった。何がって『ゴング』だよ、ゴ・ン・グ! しかも、自分の取材とか原稿で忙しいとかいう以前の話。1日に5件、6件と同時進行で取材に関する連絡を電話やメールで何度も何度も何度もとる。それが朝から晩まで続いて、気が付くともう夜になっている。「1日って、こんな短かったっけ!?」と近年にない驚きを感じている。

 そういうわけで、会場に出向いたのは新日本プロレスの20日・後楽園ホール大会が最後となり、大日本の横浜も、WRESTLE-1の後楽園も、ノアのディファ有明も、スターダムの後楽園も、ZERO1の後楽園も、当初行くつもりだった大会はすべてパス。会場に出向くことが仕事であるはずなのに、仕事で行けないとはコレ如何に? そんな不思議な感覚もある。

 ところで、新日本の20日の後楽園ホールも例によってチケット完売の超満員札止めとなった。カードは主に1・4東京ドームへ向けての前哨戦。まず、サプライズは矢野通のパートナーであるトリプルX(※トリプルHみたい!)が出現したこと。ノアの丸藤正道副社長とTMDK(ヘイスト&ニコルス)の3選手。個人的な予想は大外れだった。私はてっきりヒールユニットである超危暴軍とコンタクトをとっていると思い込んでいた。だからトリプルXの正体は、森嶋猛&マイバッハ谷口&拳王に違いあるまいと半ば確信していたのだ。ところがどっこいで、矢野にしてやられた。というか、丸藤にしてやられたのかもしれない。副社長にしてGHC王者という要職・立場にありながら、「おもしろければいい!」が最終的な答えであったという丸藤。この発想があるから、丸藤と鈴木みのるは気が合うのかもしれない。もうひとつ、丸藤にしてみれば、新日本の常連外国人であるスミス、アーチャー、ベンジャミンを相手にノア常連外国人選手の力量を見せてやりたい、という思いもあるのかも。団体としての勢いは到底、新日本には敵わない。ただし、選手のクオリティでは決して劣っていないという自負心。たしかに、TMDKの2人は優良ガイジン選手。ヘビー級でありながら、スピーディーでトリッキーで連係&合体技も豊富。ノアに馴染みのない新日オンリーファンに説明するなら、ヘビー級のヤングバックスといった感じが近いかも。とにかく、TMDKをまだ見たことのないファンは「オッ!」と驚くことになるだろう。これでドームの楽しみがひとつ増えたと言っていい。

 

 さらに、年内最後の興行となる後楽園ホールで、最後の最後に驚きのシーンが待ち受けていた。メインは1・4のタイトルマッチ・トリプル前哨戦。棚橋弘至&真壁刀義&飯伏幸太vsオカダ・カズチカ&中邑真輔&石井智宏という、意地でも誰も負けられないカード。試合時間が20分を過ぎたあたりで、もしかしたらこのまま30分いってしまうかも?とも思った。しかし、ここ最近予想が外れてばかりの私だから(笑)、またも大外れ。真壁が強引なキングコング・ニ―ドロップを決めて石井をピンフォール。NEVER無差別級選手権に向け一矢報い、本隊サイドを有終の美へと導いた。

 

 試合後は、勝ったほうのバックステージへコメントを聞きに行こうと決めていたから、迷わず本隊側へ。コメントはチームとして云々ではないから、当然ひとりひとりが順番にコメントを出すことになる。まず、真壁が話し、続いて飯伏がベンチへ。そこへ棚橋がIWGPベルトをしっかりと肩にかけてやってきた。階段の途中に立って順番待ち。ふと棚橋のほうを見ると、目が合った。ニッコリと笑みを浮かべる棚橋。私もニコッと笑って会釈した。なんとなく、いつもの試合を終えた直後のタナの顔ではないなと思った。清々しいというか、素というか、無防備なまでの笑顔に見えたのだ。

 

 しゃべり始めはいつものタナだった。ところが、みるみる表情が崩れクシャクシャの顔になる。しゃくりあげ始めて、号泣に近い状態となった。

 

「ずっと諦めずに追いかけてIWGP、そして世界に向けて走ってきたから。ありがとう……ありがとうございました。感謝の言葉が見つからないです……」

 

 これ以上、言葉をつづけられないという感じで、棚橋は足早に控室へ続くドアの向こうへ消えた。残されたマスコミ関係者は一様にポカ~ンとしている。

 

「えっ、なんで?」

「今日は、泣くところ?」

 

そんな空気に包まれていた。ある記者サンに聞かれた。

 

「棚橋さん、どうしちゃったんですかね?」

「ん? そういうお年頃なんじゃない」

「あ、そういう年頃なんですね(笑)」

 

 だけど、コレ、私からするとジョークのようでまるっきりのジョークではない。若い若いと思っていた棚橋だって、気が付くと38歳。3本柱のライバル関係からいくと、オカダとはひと回り違うし、中邑とも4歳違う。そういう年頃だからこそ、いろいろな感情も沸いてくるのだろう。

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