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  • 2014.11.20

GK金沢克彦コラム #22

GK金沢コラム連載第22回!! 「諏訪魔よ、“とんだゴリライモ”であれ!」

全日本・冬の風物詩『最強タッグ』開幕!!

ジョー・ドーリング&諏訪魔をGKが分析!!

 日本マット界において、夏の風物詩が新日本プロレスの『G1 CLIMAX』(以下、G1)なら、冬の風物詩は全日本プロレスの『世界最強タッグ決定リーグ戦』(以下、『最強タッグ』)でキマリだろう。今年でなんと38回目を迎えるというのだから、全日本の歴史そのものでもある。ただし、正直な印象を述べるとしたら、G1はどんな時代、状況にあっても……極端な話、暗黒期と謳われた時期でも話題とインパクトはしっかりと見せてきた。一方の『最強タッグ』は遡ってこの10年ほど、なぜか印象が薄いし、参加選手が小粒になった感は否めないのだ。

 

 私が業界に入りたての1980年代後半、シングルの新日本、タッグの全日本とよく言われていたものだが、それほどタッグリーグの祭典には差があった。新日本では、初タッグとなる夢のコンビやら、日本人トップと外国人トップの越境合体がウリであったが、それはふだんタッグ屋と呼ばれるタッグチームが存在していなかったから。一方、全日本マットには日本人ならこの選手にはこの男、外国人トップクラスでも、このレスラーにはこの選手というカタチができ上がっていた。

 だからもっと正直に言うなら、私が『週刊ファイト』記者として活動していた1986年~1989年にかけて、新日本より全日本の取材をするほうが遥かにワクワクしたし、おもしろかったのである。新日本に長州軍団がカムバックしてきて以来、新日本隊、UWF、長州軍、外国人とリング上は微妙で繊細な力関係が見え隠れしていた。こうなると、気を使ったマッチメイクが逆につまらなくなる。工夫をしたつもりでも、なんの関連性もないその場限りのタッグで終わってしまうのだ。たとえば、猪木が長州と組んでみたり、藤原と組んでみたり、ディック・マードックと組んでみたりと、そのときだけ派閥、軍団抗争が崩れるのは興醒めでしかなかった。

 

 対する全日本は凄まじいメンツがそろっていた。それを極めた感があるのが、長州力率いるジャパンプロレスが分裂し、長州一派は新日本へUターン。決起した天龍が天龍革命をぶち上げ“天龍同盟”を結成したころ。同時に、新日本に別れを告げたブル―ザ―・ブロディもカムバックしてきた。

 

 とくに、87年の『最強タッグ』など圧巻だった。優勝した五輪コンビ(鶴田&谷津)、最終戦まで優勝の可能性を残していた4チーム(天龍&原、ザ・ファンクス、S・ハンセン&T・ゴディ、B・ブロディ&J・スヌ―カ)、それを僅差で追ったA・T・ブッチャ―&TNT、G馬場&輪島大士……まあ、でかい男たちが勢ぞろいで豪華絢爛。とにかくレスラーがでかい、スーパーヘビー級というのが全日本らしさであり、全日本の本質を象徴していた。

 

 今年の『最強タッグ』は1116後楽園ホールで開幕。会場は8割~9割がた埋まっていた。主催者による発表は、1,409人。満員マークは付いていない。ここらへんには好感が持てる。実数発表のうえ、9割ほど埋まっていても満員マークを付けない。これは武藤をはじめ大量の選手がWRESTLE-1(以下、W-1)に流れた直後、秋山準が提案した事項なのだが、社長就任以前に秋山が提言したことをいまも全日本では実践しているのだ。

 

 公式リーグ戦は4試合行なわれたが、そのうち3試合が番狂わせだった。なによりも、選手がでかい! KENSO、長井、曙、吉江、ジョー・ド―リング、諏訪魔、秋山、大森と骨太のヘビー級、スーパーヘビー級がズラリ。そのなかに交じって、ジュニアの青木篤志&佐藤光留がV候補の一角である潮﨑豪&宮原健斗と30分間闘い抜いてドローという結果は大きかった。潮﨑組にしてみれば、得点1ではなく明らかに失点1となった試合。それにしても青木&光留は技術だけではなく、ハートの強さを存分に見せつけた。

 

 メインは、いきなり優勝戦の様相となるマッチアップ。昨年覇者にして現三冠ヘビー級王者のド―リングと前三冠王者である諏訪魔のコンビ。対するは世界タッグのベルトを返上してリーグ戦に臨んできた秋山&大森の事実上王者チーム。4試合の公式戦のなかでこの試合だけが、どちらが勝利を収めてもおかしくない一戦だった。しかし、短期決戦で勝負は決している。奇襲に出た秋山&大森は諏訪魔を徹底的にいたぶり、一度は大の字にダウンさせたものの、ド―リングの一撃が流れをすべて変えた。両腕を広げた巨体が飛んできて、2人をダブルアーム・ラリアットで弾きとばす。まるでその様は映画『ゴジラ』にレギュラーで登場する“空の大怪獣”ラドンのようだった(※若い子は知るまい!?)。その後、大森に見舞った走り込んでのクロスボディも大迫力。なんということもない普通のクロスボディなのに、2m弱、140㎏弱のド―リングが決めれば必殺技に見えてしまう。

 

 以前のド―リングは巨体でよく動く選手だった。たとえるならWWEで引退してフロントに入ったジャイアント・バーナードのようなタイプ。それがいまではどっしりと構え間をとって試合をするから手に負えない。その強さは全盛時のハンセン級だと思う。それなのに、イマイチ人気大爆発といかないのは強すぎるから。おかしな理屈かもしれないが、私的観点でいくと、以前のよく動くド―リングのほうがよかったと思う。よく動けば、そのぶん隙もできるから、相手に反撃のチャンスも増えてくる。ここはひとつ考えどころだろう。本当の意味でトップガイジンを超えたスター外国人選手とファンに認知されるためにも、ド―リングにはもっと動きまわってほしい。そうしてこそ、よりハンセンに近づけるような気がする。要は、そのほうが試合がおもしろくなるということ。

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