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  • 2014.11.06

GK金沢克彦コラム #20

GK金沢コラム連載第20回!! 「永田vs田中と小島vs関本」

この時代にあえて「メジャーvsインディー」を
全面に押し出して観たいカードが

ノアの『グローバル・リーグ戦2014』で実現!!

1996年6月30日、横浜アリーナで開催された第1回『メモリアル力道山』のことを覚えているマニアの方は多いと思う。日本プロレス界の父、力道山の名のもとに当時の二大メジャーである新日本プロレスと全日本プロレスが競演し、そこに天龍源一郎率いるWAR、U系からインディー、女子プロまで一堂に会してのオールスター戦だった。

 

 ここでもっとも話題を呼んだのは、どの試合がどうだったとかそういう話ではなく、メインイベント(長州力&北原光騎vs藤波辰爾&天龍)を終えた長州が大炎上したこと。だれとかどの試合とか名指しこそしなかったものの、「あいつらは、いったい何ものなんだ!?」と不甲斐ない試合を見せた一部インディーの選手たちを猛批判した。また、セミファイナル(武藤敬司&佐々木健介vs橋本真也&平田淳嗣の極上カード!)に登場した武藤も試合後は不機嫌そのもので、「あんなやつらとは一緒にされたくない!」と吐き捨てた。

 

 ある意味、当時乱立するインディーのレベルの低さと、メジャーの敷居の高さ、プライドの高さを如実に示す大会として、我々の脳裏と記憶に鮮烈に焼きつく大会でもあったわけだ。

 

 後日談としておもしろいのが、この長州批判に対し真っ向から反論した唯一の人物が、当時FMWでデビューして3年、バリバリの元気印だった田中将斗(※当時は将人)だった。「俺は何ものなんかじゃない、田中将人です!」。本人のどうしても言っておきたいことがあるというリクエストに応え、当時『週刊ゴング』で行なったインタビューで田中はハッキリとそう反論したのだ。

 

 もちろん、時代の流れとともに、長州のインディーに対する偏見は少しずつ薄れていったし、「ハヤブサってのはいいな」とか、「ターザン後藤はくすぶってないでウチでやったらどうなんだ?」などと公に話すようにもなった。実際その当時、長州はターザン後藤の一本釣りに動いたこともある。後藤のような頑丈なブルファイターは長州の好むところであったからだ。ただし、後藤のほうが煮え切らずに、結局、ターザン後藤の新日本参戦は実現することなく霧消する格好となった。

 

 と、いきなり大層な歴史物語からスタートしたわけだが、じつはそんなに大層にして壮大な話を書こうとしているわけではない(笑)。ザザ―ッと時は流れ、現代のプロレス界において、メジャー、インディーの区別、境界線はほぼ消えてしまったのが現状と言っていいだろう。何をもって、メジャーなのか、何をもってインディーなのか? ほんの少し前までは地上波テレビのレギュラー放送枠を持っている団体がメジャーとされていたが、いまでは新日本プロレスを放送するテレビ朝日があるだけだから、それも目安にはならないだろう。

 

 だから、新日本だけがメジャーという見方もできるのだけれど、新日本のレギュラー選手陣を見渡してほしい。いまや現場の重鎮といって存在となった邪道・外道はインディー出身、石井智宏もインディーを渡り歩いて新日本に辿りついた男、DDTとの2団体所属である飯伏幸太は看板人気選手であり、大日本プロレスからスタートして以来インディーカラ―の染みついている本間朋晃にしても、欠かせないレギュラー選手となっている。

 

 やっぱり、もうメジャー、インディーの区別は関係ない、個人の腕、力量が勝負のプロレス界なのだな、と実感するこのごろである。

 

 そんななか、あえてメジャー、インディーというものを全面に押し出して観たいカードがノアで実現した。現行の『グローバル・リーグ戦2014』の11・4後楽園ホール大会でマッチメイクされた2大公式戦カード。

 

 永田裕志vs田中将斗(Bブロック)と小島聡vs関本大介(Aブロック)である。永田vs田中といえば、新日本vsZERO1の対抗戦が勃発した2007年当時の名物カードだった。邪道・外道とのコンプリートプレイヤーズを復活させて新日本に乗り込んできたZERO1の世界ヘビー級王者(AWA系)の田中に永田が2連勝。その後、2011年3月、ZERO1の10周年記念興行(両国大会)で田中がリベンジの初勝利。それから4月、5月と連戦して永田がまたも2連勝している。通算で永田の4勝1敗というのは、少し驚く数字。それぐらい両者の闘いは激しく、力が拮抗しているからもっと戦績は詰まっているとだれもが感じていると思うのだ。

 

 6度目の一騎打ちは、新日本でもなくZERO1でもなく、ノアの緑のマットで期せずして実現した。ちなみに、田中にとっては団体、場所を変えた8連戦の5連戦目となる。しかも、前日には熊本で電流爆破デスマッチを闘っている。このタイトなスケジュールを最初から田中は言い訳にする気もないだろうが、こちらのほうが勝手に体調を心配してしまうのだ。

 

 2人が対峙してゴングが鳴った瞬間、たしかにホールの空気が一変した。バチバチのエルボー合戦から永田の重いミドルキックが田中のシェープされた胸板を蹴りあげる。軽量の田中の身体が一瞬宙に浮く感じ。これだよ、これ! 観ている側も息の抜けない両者の攻防を思い出す。永田戦で田中が初めて抜いた後頭部へのスライディングDも出た。衝撃によって永田の身体がマットを尻滑りで前へ移動する。これだよ、これ! なぜ止まらない、なぜ休まない、なぜここまで噛み合う。打ち合えば打ち合うほど、エネルギーが沸いてくるかのような驚異の四十路対決。

 

 ふと見ると、サムライTVのゲスト解説についていた中嶋勝彦の表情が笑顔になっている。勝彦はどんな解説をしたのかな? 観ていて楽しくてたまらないといった表情なのだ。

 

 最後は、田中潰しの切札であるバックドロップホールドが完璧に決まった。永田がハッキリと田中を上回っているのが、スープレックス系の投げ技。スピードでは劣っていても、軽量の田中にトドメをさすためには、これが切札となる。

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