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  • 2014.07.03

「相当あの人に揺さぶられましたからね。いまだから言えますけど、自分は相当ストレスが溜まってましたね……」 ちょっと時期はずれで恐縮なんですが……大森隆男インタビュー!

「感傷に浸るのは死ぬときでいいです」

「大森隆男、三冠初戴冠!」というハッピーなニュースに勇躍して、大森選手のインタビューを行なった『ビッグファイト』編集部でしたが……なんと掲載しようと思っていた直前の6月29日の全日本プロレス札幌大会で、諏訪魔選手に敗れて、王座から陥落するという事態になってしまいました。前日には世界タッグ王座も奪い、五冠王にもなっていたのに、まさかこんな事態になるとは……。
昨年の分裂騒動から1年が経ち、全日本プロレスは再び大きな岐路に立っています。白石伸生前オーナーから離れ、秋山準選手を新社長とするオールジャパン・プロレスリング株式会社を設立。この7月1日より、新たな体制で全日本プロレスを運営していくことになったのです。大森選手の三冠奪取時には同期の秋山選手と新生・全日本を新三冠チャンピオンとして引っ張っていくことになるだろうと予測していたので、ちょっぴり残念です。
しかし、同期のライバルであった秋山選手が社長になるのならば、やはり気心の知れた大森選手のサポートは不可欠でしょう。このインタビューでは三冠奪取時の喜びはもちろん、この1年の思いや、秋山・全日本への意気込みを語ってもらっています。「掲載時期がおせえよ!」とか思わずに読んでみてください!
(収録日:6月19日)


──まずは三冠奪取おめでとうございます!

大森 ありがとうございます。

──22年のキャリアでついに全日本プロレスの頂点のベルトである三冠王座を手に入れました。どんな心境ですか?

大森 まあ、22年って言っても、厳密にはまるまる22年はやってないので(笑)。あんまり自分は周りが思っているほど、長さとか感じてないですけどね。むしろ、あっという間なんだって思いましたね。だから、いまの若い人たちには「あっという間なんだよ」ということを伝えたいと思います。時間が経つのは早いですから。

──22年が早い! 22年は人が生まれて、成人してっていう年数ですけど、それでも早く感じてしまうんですね。

大森 「子供のとき、観てました」とか言われると、ガックリきますけどね(笑)。でも、あっという間ですよ。

──でも、そのキャリアの中でいろいろなベルトを手に入れてきましたけど、やはり大森さんにとって、三冠王座は格別なものじゃないですか?

大森 そうですね。歴代のチャンピオンの人たちはそうそうたる人たちばっかりですから。それぞれ歴史を作ってきているわけですし、ボクはベルトを巻いたからには、そういう人たちとの勝負であるとも思っているんで、チャンピオンの名に恥じない闘いと結果と内容を残していきたいと思いますね。

──三冠が統一されたのは1989年ですから、それこそ大森さんが若手の頃に四天王がガンガンやり合って、このベルトの歴史を作り、価値を上げていったわけですよね。

大森 やっぱり、ベルトは巻く人が価値を上げていくものですからね。去年の両国大会で曙選手が諏訪魔選手に勝ってから、この新しいベルトになったんで、ベルト自体の歴史はまだ浅いですよ。でも、曙選手が去年から今年にかけての闘いの中で、価値を上げてくれたと思っていますから。

──なるほど。でも、ちょうど1年前の6月は分裂騒動で大騒ぎをしていた時期でした。この1年は大森さんにとって、どんな1年だったのでしょうか?

大森 めまぐるしく、いろいろありすぎたなと思いますね。去年のいまぐらい、高崎から始まって、北海道に行くシリーズだったんですよ。そのシリーズが武藤(敬司)さんのグループ(現・WRESTLE-1勢)と一緒にやった最後のシリーズで、もうあれから1年も経ったのかと。オーナーの問題もあって、ボクは残ると決めたんですけど、相当あの人に揺さぶられましたからね。

──白石伸生オーナーには各所各所が揺さぶられてましたよね(笑)。

大森 本当に揺さぶられましたよ(笑)。あの頃、「今後も相当な揺さぶりをかけてくるだろうな……」って、予想していたんですけど、まあまあ予想通りでしたね。いまだから言えますけど、自分は相当ストレスが溜まってましたね……。

──胸中お察し致します(笑)。

大森 ただ、ボクはそこも勝負だと思っていたんですよ。

──オーナーの揺さぶりに対して。

大森 はい。そこに負けるというか、その揺さぶりによって変な方向に行かないようにと思ってやっていましたね。だから、その分、トレーニングだとか試合だとかに集中する力が高まったと思いますよ、あの人のおかげで。

──逆説的にオーナーのおかげでリングに集中できたと(笑)。

大森 そこに意識が行ってしまうと絶対に揺れ動いちゃいますからね。本当にね、冗談じゃなく、相当揺さぶられたんですから。だから、絶えず意識を試合やトレーニングに持っていくようにしてましたね。

──だからなのか、わからないですけど、昨年の新体制移行後は選手の皆さん、凄い内容の試合ばかりやられてましたよね。

大森 そうだと思います。たぶん、他の選手も同じ心境だったと思うんですけど、やっとストレスから解放されますよ。

──それはめでたいですね(笑)。でも、残るときには「一度辞めてるから、二度も辞めるわけにはいかねえ」とおっしゃっていたじゃないですか? 揺さぶられるのを想像しつつも、残ったというのは相当な覚悟があったと思うんですけど。

大森 いや、覚悟というか、それは嘘偽りなく本音ですよ。べつにカッコつけて言ったわけでもなんでもないです。正直言って、いろいろ不安もありましたけど、自分のできることをやっていこうと。それだけです。まあ、人間が先祖代々つながっているように、全日本の歴史と伝統をここで絶やすわけにはいかないという気持ちもありましたからね。あくまでも、全日本の歴史と伝統を次の世代へ、という気持ちでやってますよ。

──なるほど。でも、気持ちも晴れ晴れとしたところで、この間の6月15日の後楽園大会で、秋山(準)さんとの三冠王座決定戦がありました。7月から秋山体制になるというタイミングで、秋山さんと頂上対決ができたのは感慨深いんじゃないですか?

大森 そうなんですかね? まあ、秋山選手とは90年代の全日本でたくさん試合をやって来ましたし、一昨年は後楽園ホールで三冠戦をやって負けてるし、4月の『チャンピオン・カーニバル』の決勝では勝ってますけど、本当にいろいろな場面で闘っているんですよ。ただ、過去のことを振り返るにはまだ早いなと思います。感慨深いとか、感傷に浸るのは死ぬときでいいです。

──感傷に浸るのは死ぬときでいい!

大森 死ぬ寸前にそんなことがあったなと思い返します。まだ早いですね。感傷には浸らないですよ。

──現役バリバリなわけですからね。でも、それは大森さんがコンディションも良くて、現在進行形で最前線にいるからっていうのもありますよね。

大森 いや、そんなことはないですよ(笑)。コンディションはよくありたいという努力はしていますけど、試合中にケガすることもあるし、いつどうなるかわからないですから。なるべくケガしないで、そのときにできる最高のコンディションを心がけているつもりではありますけどね。ただ、親には本当に感謝したいなと思いますね。

──丈夫な身体に産んでくれた(笑)。

大森 そうです。

──身体が資本の商売ですからね。そして、先ほど話にも出ましたが、いよいよ7月から全日本はまた新体制に移りますね。
 
 
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