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  • 2014.09.04

【UFC日本大会特集】中井りんと対戦! ミーシャ・テイト インタビュー「リンのプロモーション映像は観たわ。あれがジャパニーズスタイルなのかしら?」

9.20 UFC日本大会出場ファイターインタビュー第3弾! 中井りんとの対戦が決定している、UFC女子バンタム級トップランカー、ミーシャ・テイトが登場! 日本大会のプロモーションのために来日したミーシャに、女子MMAのアイコンとなるまでの歩みと、対戦相手・中井りんの印象、そして女子MMAの魅力を聞いた。

 

 

——ミーシャさん、日本へようこそ! 日本に来てみた印象はいかがですか?

 

ミーシャ 日本の印象はとてもいいです。この国についていいなと思うことは2つあって、ひとつは皆さん、日常生活のなかでしっかり身体を動かしていること。自転車に乗ったり歩いたり、移動もクルマばかりじゃなくて、電車や地下鉄といった公共の交通機関で移動したりね。

 

――アメリカの場合は完全に車社会ですもんね。

 

ミーシャ ええ、だから自分の足で動くことを忘れてしまったような人が多いの。その点、日本の人たちは、すごく活動的でいいと思う。あと日本のUFCファンと接すると、深く格闘技を理解していることに、いつも驚くわ。とくに柔術やレスリングで、私たちが何をしようとしているのか、どんな意味があるのか、しっかり観ていてくれる。その点は、選手にとっても、とてもやりがいがあるし、日本で闘うのは楽しみね。

 

――日本に来るのは、確か2回目ですよね?

 

ミーシャ ええ。

 

――前回はどういったカタチで?

 

ミーシャ 前回は去年の3月だったと思うけど、ボーイフレンドのブライアン・キャラウェイがUFC日本大会に出場するから、帯同してきたの。日本に関する印象は、そのときに感じたものね。

 

――なるほど。日本は総合格闘技の歴史も長いんですけど、PRIDEを始めとした日本のMMAというのは、ご覧になってましたか?

 

ミーシャ ええ、もちろん。メグミ・フジイ、タカノリ・ゴミ、タケヤ・ミズガキをはじめとして、日本には素晴らしい選手がいて、世界の中でもプレゼンスが高かったと思うから。

 

――ミーシャ選手は、もともとMMAのファンで、トレーニングを始めたんですか?

 

ミーシャ そうじゃないの。もともとは15歳でレスリングを始めて、4年間やってたんだけど、大学に入ってからトレーニングのプログラムとしてMMAに取り組む機会があって、それがMMAとの出会いね。

 

――へえ、トレーニングの一環で出会ったんですか。

 

ミーシャ そのときは単に、「いままで習ってきたレスリングに加えて、柔術のテクニックも習いたい」というだけで、試合に出ようなんて、まったく考えてなかった。私はその当時、UFCの存在も知らなかったし、MMAの試合も観たことがなかったから。

 

――UFCすら知らなかったんですか。

 

ミーシャ ただ、MMAのプログラムに参加するようになって、初めてアマチュアの大会をライブイベントで観たときに、その闘いが凄く美しいと思ったの。それまでMMAというのは、人を殴って血が出るような残虐なイメージしかなくて、自分がそこに参加しようなんてまったく思わなかったんだけど、実際に観てみたら凄くキレイで、アートを感じて、自分でもやってみたいと思ったの。そうしたら偶然、そのイベントの最後に、主催者がマイクを持ってリングでアナウンスを始めて「3週間後に、女性限定の大会があります。参加したい人はここでサインアップしてください」って言うので、「よし、出てみよう」ってことでサインをして、3週間後に闘ったのが、私のデビュー戦ね。

 

――そんな突発的なデビューだったんですね。じゃあ、「プロになってお金を稼ごう」とか「有名になりたい」とか、そういう考えはずいぶん先までなかったわけですか?

 

ミーシャ そんなの、まったく思ってなかったわ(笑)。最初の6戦はアマチュアだから、ファイトマネーも一切もらってないし。私がデビューしたのは2006年なんだけど、当時は女性が参加するMMAというのは規模がいまとは比べ物にならないほど小さく、注目もされてなかったから。それがメディアに取り上げられて、ファイトマネーがたくさんもらえるようになるなんて、当時は誰も考えてなかったし、期待もしてなかったの。

 

――そんなミーシャ選手が、「自分はプロだ」と考え始めたのはいつ頃からですか?

 

ミーシャ やっぱり、ファイターの収入だけで生活ができるようになったときね。最初にプロとしての試合をしたのは2007年だったんだったんだけど、ファイトマネーはほんの小額で、とても生活できるものではなく、2008年になって、初めてストライクフォースに上がったときも、まだ充分ではなかった。ただ、その試合のあと、「次回3試合分の契約をしてみないか?」という話をもちかけられて、まだまだ貧しかったけれど、そこからなんとか試合だけで生活できるような収入が得られるようになったの。

 

――それはやはり、ジーナ・カラーノの活躍があって、女子MMAが注目され始めたことが大きかったですか?

 

ミーシャ そうね。女性のMMA選手で最初に幅広く認知されたのはジーナだから、彼女が果たした役割は大きかったと思う。

 

――その頃になると、ミーシャ選手自身も、女子MMAというジャンルを自分の力で広めていきたいという気持ちになっていきましたか?

 

ミーシャ 当時は私も若かったので、そこまでは考えてなかったし、将来を見越すような余裕もなかったの。ただ、当時はMMAを好きでやっていたので、それでいいと思っていたんです。

 

――好きでやっていただけで、そんな欲はなかったんですね。

 

ミーシャ ただ、いま振り返ってみると、だからこそ必要なプロセスを踏めたんじゃないかと思うの。最初は無償で試合をしていたのでハングリー精神を持つことができたし、試合だけで生活ができるようになると、今度は男子MMAのもの凄くお金を稼ぐ選手と自分が置かれている立場の間に、どれぐらいの隔たりがあるのかも知ることができた。だから、常に地に足を着けて、修行の時期を送ることができたことが良かったんじゃないかと思う。

 

――なるほど。ルックス先行で、実力以上の舞台を与えられたりしなかったことが、良かったわけですね。ミーシャ選手がホントに意味でプロとしての欲が出てきたときってのはいつぐらいですか?

 

ミーシャ 最初に最もモチベーションが上がったのが、2010年のストライクフォースでのトーナメントね。勝てば一日2試合、初戦がマイユ・クヤラ、決勝がヒトミ・アカノ(赤野仁美)。優勝すれば、初めてのメジャータイトルということで、一番モチベーションが上がったの。

 

――あのトーナメントで優勝して、そのあと、マルース・クーネンも倒して、ストライクフォース世界女子バンタム級チャンピオンになったわけですもんね。そのあと、UFCでも女子の試合がスタートして、ミーシャ選手とロンダ・ラウジーのライバル抗争によって、女子MMA人気が爆発したと思います。それにあやかるわけじゃないですけど、ぜひ今回もミーシャ選手と中井りん選手の試合がひとつのきっかけとなって、歴史のある日本の女子MMAがもう一つ上の段階に行ってほしいと思ってるんですよ。

 

ミーシャ 私もそうなってほしいと思っているわ。そのためには、私とリン(中井りん)の試合をベストファイトにする必要があるのもわかってる。

 

――UFC女子バンタム級ランキング2位のミーシャ選手にとって、ノーランカーである中井選手との試合というのは、なかなか闘う意味が見いだせないんじゃないかとも思いますが、どういったモチベーションで今回の試合に挑みますか?

 

ミーシャ リンは今回UFCデビューだからランキングには入っていないけど、16勝無敗という実績を持っているので、私自身は、ランカーと同様に私と試合するに値する選手だと思っているの。それだけの強敵だから、もちろん私もしっかり準備をして臨むので、きっといい試合になると思うわ。

 

――ただ、その16勝の相手が、ミーシャ選手がこれまで闘ってきた選手のレベルとはずいぶん違うという声もありますが。

 

ミーシャ そういう彼女を過小評価する声は私も耳にしているけど、私はそうは思わない。MMAの試合というのは、何が起こるかわからないものなの。その中で、16戦も試合をしてまったく負けていないというのは、相手が誰であってもとても難しいこと。だから私は、リンは技術的にはもちろん、精神的にも強い選手だと思う。

 

――今回のオファーが来る前から、中井選手のことはご存知でしたか?

 

ミーシャ これまでの競技人生をずっと見てきたわけじゃないけど、その存在はもちろん知っていたわ。

 

——中井選手は、YouTubeでのプロモーション映像の印象が凄く先走っているところもありますが、そういう点については、どんな印象を持っていますか? まあ、何度も聞かれているかとは思いますが(笑)。

 

ミーシャ もしかしたら文化の違いなのかもしれないけど、アメリカ文化の物差しで考えると……かなり奇妙ね(笑)。

 

――奇妙(笑)。

 

ミーシャ なんと言ったらいいかわからないけど……あれが、ジャパニーズスタイルなのかしら?

 

――いや、ジャパニーズスタイルではなく、あくまで中井りんスタイルです(笑)。

 

ミーシャ 個人的にはちょっと違和感のあるプロモーションの仕方だなと思いうし、自分でああいうプロモーションをしようとは思わない。ただ、それは彼女の選択であり、彼女の自由なので、私がとやかく言うことでもないと思う。彼女がどんなプロモーションをしようとも、実際に試合になったら関係のないことだし、とくに気にしてはいないわ。

 

――ああいう格好で試合をするわけじゃないですからね(笑)。

 

ミーシャ 間違っても、ああいう格好でオクタゴンに入って来くることだけはやめてほしいわ(笑)。

 

――それだけはお願いしたい(笑)。女子の試合を、性的に見られたりするのは、アスリートとして嫌なものですか?

 

ミーシャ 決して、そこまで嫌だと言うつもりはないです。私たちの試合というのは、たくさんの人たちが観るわけだから、中には本来とは違った目的で「かわいい女の子二人が闘うから観てみよう」と、興味本位で観る人は絶対にいると思うの。でも、そういう人でも、実際に試合を観てもらえれば、鍛え抜いたアスリート同士のスポーツだと感心してもらえると思うし、それこそが私が求めていることなんですね。最初のきっかけは、「セクシーな女の子が闘ってるな」という見方でもいいけれど、ちゃんと試合を観て、いかに真剣に、いかにハードに試合をしているかというところを観てほしいし、私もそこを見せたいと思っている。そして試合を観たあと、「素晴らしいファイターだ」と敬意も持ってくれれば、こんなにうれしいことはないわ。

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