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  • 2014.08.14

GK金沢克彦コラム #8

GK連載コラム第8回!! 「真夏の西武ドーム」

G1初進出の西武ドーム大会をGKが斬る!!


 14年ぶりに足を踏み入れた西武ドーム。14年も空白があれば、記憶もすっかり薄れている。2000年の8・27『PRIDE.10』で初めて同球場を訪れたときには、おそらく人生でもっとも大量の汗をかいたような気がする。Tシャツが汗を絞れるほどグッショリと濡れ、ところどころに塩の跡が付着していた。おまけに、気分も最悪だった。セミフィナルに登場したケンド―・カシンこと石澤常光が、グレイシー一族の“喧嘩家”ハイアン・グレイシーにタックルを奪われた末にパンチの猛ラッシュを浴びて、わずか136秒でマットに沈んだ(※レフェリーストップのTKO負け)。新日道場最強とも目されていた石澤が、惨敗したショックは大きい。いくら調整不足とはいえ、新日本の敗戦と言われても仕方のない現実を見せつけられたわけだ。

 

 どうしようもない暑さと切なさとやるせなさ……永田裕志、大谷晋二郎、永島勝司取締役(当時)などから、タクシーで帰社途中の私に次から次へと電話が入った。「信じられない!」。みんな一様に同じ感想を漏らしていた。勝敗云々よりも、あの石澤が相手にタックルを許したことが「信じられない」の一番の要因だった。すでに、PRIDEヘビー級のエースに成り上がっていた藤田和之だって、スパーリングで石澤からタックルを取ることは至難の業であったからだ。

 

 だから、正直なところ西武ドームにいい思い出などない。それでも十年一昔どころか、14年も年月が経つと、まるで初めて目にする球場という感覚だった。唯一、あっという思いで当時の感覚が甦ってきたのは、バックステージのスタンド席の上に設けられたVIPルームも完備されたテレビ朝日用の控室に向かったとき。エレベーターがないから、長い長い階段を昇っていかなくてはいけない。この長い階段を息を切らせて昇ったり降りたりしながら、試合後の石澤を探しまわった記憶が甦ってきたのだ。

 

 24年目にして初めて両国国技館を離れ、西武ドームに初進出した新日本の『G1 CLIMAX 24』最終戦、8・10西武ドーム大会。台風の接近で雨が降ったりやんだり。風は終始激しく吹いていた。スタンドと屋根の間が全周フルオープンのため球場内では冷房が利かない。ドームの屋根で日差しが遮られるため、反対に熱気と湿気がこもりやすい。雨風が激しくなると、スタンド後方のお客さんには雨具が必要となる。たしか今年も糸井嘉男外野手(オリックス)をはじめ数人の選手が熱中症の症状を訴えゲーム中に途中交代しているはず。いやはや、誰が考えたんだ1? このスタジアム……(笑)。

 

 とにかく悪条件ばかりがクローズアップされていたうえに、交通の便も決していいとはいえないこの球場に1万8000人(主催者発表)の観客が詰めかけた。よく入ったなあと思う。両国ならば超満員になってお釣りがくる数字だし、西武ドームのスタンドのキャパシティは3万人余。それを考えると充分に格好のつく入り具合だったと思う。

 

 暑さや湿気もTシャツ1枚なら充分しのげるぐらいの感覚だったし、球場入りしてから球場を出るまで、500ミリリットル入りのペットボトルのミネラルウォーターを3本空けただけだから、想像したよりも苦痛ではなかった。私たち報道陣がそうだったのだから、意外に選手たちもコンディションには影響がなかったのではないか?

 

 メインとセミに組まれた極上カ―ドを除くと、おもしろかったのはIWGPジュニアタッグ選手権だろう。タイムスプリッタ―ズに対するは、あのヤングバックスからROH世界タッグ王座を奪取している“REDRAGON”ことカイル・オライリー&ボビー・フィッシュ。飛んで、蹴って、極めてとコンプリートなタッグチーム。もちろん、KUSHIDAも同タイプだし、シェリーに至ってはチェーンレスリングの名手である。初顔合わせながらガッチリと噛み合い、しかもジュニア王者チームが世界タッグ王者チームを堂々と破っている。ただし、REDRAGONはまだ手の内をすべて出してはいない。ヤングバックス、フォーエバー・フーリガンズを含めてジュニアタッグ戦線は今後ますますヒートアップすること請け合いである。

 

 セミで『G1』3位決定戦として行なわれたのは、奇しくも日米を代表する逸材同士の3度目の一騎打ち。棚橋弘至vsAJスタイルズ。過去のシングル戦績は1勝1敗。6年半ぶりの一騎打ちとなる。棚橋はAJの話題となるといつも笑みを見せる。

 

「ああ、タナとAJの試合が早く観たい!」と言えば、「そうですかあ? オカダとAJほど複雑な絡みにはならないと思いますよ。もっと単純な試合になるんじゃないかな? でもそのほうがおもしろい試合になる場合もありますよね」と笑う。これはAJがオカダからIWGPヘビーを奪った直後の話だったと記憶している。

 

 2日前の横浜大会の試合前にもそんな話がでた。私が新日本の経理部長の西澤さん(※通訳としてお馴染み)と一緒にいるところへTAKAみちのくが近づいてきた。

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