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  • 2014.08.14

パワプロの生みの親!! あの武藤敬司も絶大なる信頼を寄せるコンディショニングトレーナー・桑原弘樹インタビュー(後編) 『パワプロ、ボディメイク、プロレスLOVE』

桑原弘樹(くわばら・ひろき)
桑原塾主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム・ディベロップメント・アドバイザー)。1961年4月6日、愛知県名古屋市出身。江崎グリコ株式会社にてスポーツフーズ営業部部長兼プロダクトマネージャーとしてスポーツサプリメントの開発に携わる。また多くのプロスポーツ選手に対して、独自のコンディショニング法に基づいた指導を行なったり、各種スポーツ誌への執筆や幅広いテーマで講演会を実施するなど多方面にわたって活躍中。現在は桑原塾を主宰し、WRESTLE-1のコンディショニングコーチも務めている。
武藤敬司も愛用する江崎グリコから発売されているサプリメント『パワープロダクション』。その生みの親であり、現在はWRESTLE-1のコンディショニングコーチも務める桑原弘樹氏インタビューの後編。『パワプロ』をサプリメントの一流ブランドにするために、桑原氏が注ぎ込んだ情熱のすべてが明らかになる! そして、大好きなプロレスについても語ってくれてます!
「ある商品をスタートから完成させるまで、2リットル近くも採血していたなんてこともありました」

(前編からの続き)
──つまり、桑原さんはサプリメントを作るために、ご自分の身体を半ば実験台にされていたんですね。

 

桑原 そうです。ボクがスタートさせたときには、もう明治さんや森永さんのサプリメントのブランドは20周年だったんですよ。これで普通にやったら比較にならない。じゃあ、どう差別化をしようかというときに、よくレストランとかスーパーに行くと、「この無農薬野菜は私が作りました」っていう表示があるじゃないですか?

 

──ああ、ありますね。

桑原 ボクはそれでいこうと思ったんですよ。他の企業のサプリメントはおそらくみんなの総合作品ですよ。でも、ボクはあえて、「パワープロダクション=桑原弘樹」でいこうと。

 

──自身をブランド化させようと考えたわけですね。

 

桑原 はい。後々変えるときが来るかもしれないけど、少なくともスタートはそれでいこうと。となると、それに耐えうるだけの自分でなければいけない。「実際にそれをおまえはやっているの?」っていう話になりますからね。

 

──自分を鍛えることで、商品の信頼性を高めようということですね。

 

桑原 そうです。倫理的な問題もあって、人体実験って結構ハードルが高いんですよ。だから、まずは自分でいろいろと試すしかないと思い、採血なんかも結構頻繁にやっていましたね。

 

──血液まで抜いてましたか!

 

桑原 ある商品をスタートから完成させるまで、どんだけ採血したんだろうって計算したら、2リットル近くもしていたなんてこともありましたね。

 

──2リットル! 大きなペットボトル分じゃないですか!

 

桑原 それだけの量を一気に抜いたら死んじゃいますからね。だから、朝会社に行って採血をして、40分後にまた抜いて、また40分後に抜いて、さらに40分後に抜いてっていうときもありました(笑)。統計学上のデータとしては信ぴょう性は低いんですけど、それよりも自分の体感に見合った反応が身体の中でどうやって起きてるかを知りたかったんで。

 

──それは凄いな……。

 

桑原 武藤さんもヒザが悪くて普段は手すりを持ちながら階段を上がっていますし、試合をした次の日は杖をついていたりすることもあるくらい、命をかけてプロレスをしているわけですよ。トップアスリートはみんなそうやって、ギリギリまで追い込んでやっているわけですから、その人たちと接するにあたって、ボクもサラリーマンという立場で恥ずかしくないというか、ちょっと土俵を変えればギリギリで勝負してるよっていうふうにしないと、お互いにリスペクト感は生まれてこないような気がしたんで。

 

──そこまでやって初めて、商品に対する信頼感も生まれてくるというか。

 

桑原 そう思っていた気がします。商品を作るときは、企画書書いて、稟議書書いて、品質作業してって、作業手順的にはマニュアル化されているわけですけど、そこにどれだけ自分の魂が入っているかというところですかね。

 

──商品に魂を入れる!

 

桑原 ボクはボクシングの世界チャンピオンも見てきましたけど、彼らって体重調整をするじゃないですか?

 

──計量がありますもんね。

 

桑原 体重が落ちなくなると、選手によっては試合の2週間前ぐらいから水を控え始めるんですけど、実はこのやり方って間違ってるんですよ。教科書なんかはないけれど、水抜きにも正しい水抜きの仕方ってあるんですよ。それも、ボクはボクなりに仮説を立てて、自分でやって、検証するという作業を繰り返して、いまの効果的なやり方に到達したわけですから。

 

──実際に水抜きもやられたんですか!

 

桑原 やりましたよ。それも何回もやらないとわからない。冬のバージョン、夏のバージョンとか、季節によって体重の落ち方が違うんで、それも試したし。本当につらいですよ。力石徹の世界ですから。

 

──あんな極限まで自分を追い込みましたか(笑)。

 

桑原 水抜きやったからといって、パワプロの商品が売れるわけじゃないんですよね。でも、ボクはアスリートのパフォーマンスが上がるためのものだったら、自分ができることはすべてやっておこうと。そういう姿勢は直接は関係なくても、商品から伝わるような気がします。

 

──武藤さんがご自分の試合のことを作品と呼んだりしますけど、まさに桑原さんにとってはパワプロのサプリメントひとつひとつが作品なんですね。

 

桑原 ボクも作品だと思っています。だから、売れるとうれしい。売れるということは多くの人がこの商品の良さをわかってくれている証拠だから。でも、売れ行きよりも、その商品への思い入れの濃密さが気になりますね。本当のスタート時点では、この事業をひとりでやっていたんですけど、ある日、自分よりも年配の営業の偉いポジションにいる人が、ボクの部署に営業部長として配属になったんですよ。その方は長年お菓子の営業をされていた方なんですけど、お菓子とサプリメントでは売り方が違うし、ボクもパワプロへの思いが強いですから、少し営業への感覚で違和感を感じる点があたんですね。それである飲み会の席で、営業哲学っぽい話になったときに、話したことがあるんです。「部長さんね、商品ってただベルトコンベアーでバーっと出てくると思ってるでしょ? ボクはこの商品ができるまで、何回も自分の血液を抜いてるんですよ。身体の一部が反映されているんです。だから、ベルトコンベアーで流れてきたときに、一番最初の一個をボクは思いっきり抱きしめてやるんです」って。

 

──商品を抱きしめる!

 

桑原 「抱きしめて、『よく完成品になってくれたな。俺がおまえにしてやれることはもう何もない。これからは買ってもらったお客さんに愛してもらえ。アスリートの役に立ってくれ。じゃあな』って言って、ベルトコンベアーに戻して、パッキン詰めされていくんです」って話をしたんですよ。そうしたら、酒の席ということもあってか、ブワーっと涙を流されて(笑)。

 

──ダハハハ!

 

桑原 「クワちゃん、ごめんよ。キミの思いも知らなくて、すまなかった」って(笑)。

 

──それで部長さんを手なづけたんですね(笑)。

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