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  • 2014.08.07

ベラトール参戦決定! 所英男インタビュー「これで燃え尽きる覚悟です」

かねてからアメリカ挑戦を表明していた所英男が、UFCに次ぐ米国のメジャーMMA団体ベラトールFCとついに正式契約を締結! 昨年10月の『VTJ 3rd』のウィル・カンプザーノ戦で微妙な判定負け、復帰戦となる7.13『GRANDSLAM』でのビクター・ヘンリー戦でのまさかのTKO負けを喫し、北米への道が閉ざされたかのように思われていた所だったが、米国ナンバー2団体ベラトールが、これまでの実績と試合内容を評価し、獲得に乗り出したかたちだ。格闘家人生“最後の大勝負”に挑むチャンスを、意外なかたちでゲットした所に、早速意気込みをうかがってきた。

 

 

「これまでやってきたことが評価されて、涙が出るほどうれしい」

 

――まずは、ベラトールFC参戦決定、おめでとうございます!

 

 ありがとうございます。

 

――前回、7.13『GRANDSLAM』でのビクター・ヘンリー戦で敗れたあと、念願のアメリカ進出が決まるというのも、所英男らしいというか、なんとういうか(笑)。

 

 だから、よろこんでいいのか、どうなのかわからないんですけど……(苦笑)。ホント、敗者復活な人生というか。こんなことってあるんだなって。

 

――あらためて、引きが強いというか、持ってる男だなって思いますよ。このところ日本人選手がUFCを始めとした海外の大きな団体と契約を結んでも、大々的に発表されることはなかったじゃないですか? それが今回は、ベラトールが大々的にリリースを流しましたからね。

 

 あれはビックリしました。

 

――しかも、そのリリースは「ジャパニーズ・レジェンド、所英男がベラトールと契約」っていうタイトルだったという。「ジャパニーズ・レジェンド」ですからね。こんなレジェンド感がない男に(笑)。

 

 ここ最近、さんざん「コクがない」とか言われ続けてきたんですけど……、そんな男が「レジェンド」で大丈夫ですかね?(笑)。

 

――世界が認めた「レジェンド」ですから、大丈夫ですよ。たぶん(笑)。

 

 はあ(笑)。でも、ネットのニュースとかでも大きく扱ってもらえて、ジムの会員さんにもよろこんでもらえましたし、ボク自身、最近はこんなに大きく出ることがなかったんで、うれしくなっちゃいましたね。

 

――ついこのあいだまで、KO負けで落ち込んでたのに(笑)。

 

 なんか、なかったことになってますよね(笑)。でも、うまく切り替えることができたんで、本当にありがたいです。

 

――今回のベラトールとの契約は、近々の試合というよりは、所選手のこれまでやってきたことが認められたわけですもんね。

 

 それは一番うれしいことですね。いままでやってきたことを評価してもらって。ずっとがんばってきたかいがあったというか。ここ最近は負けてるのに取ってくれたというのは、すごくうれしいです。

 

――近年は、UFCを始めとした北米のメジャー団体に進出したいと思ったら、まず連勝を重ねてレコード(戦績)をキレイにしなきゃいけないっていうのが、当たり前したもんね。DREAMや戦極などで、どれだけ実績があっても、ここ数試合で黒星があったら認められない、みたいな。

 

 そうですよね。

 

――だから、今回はそういう常識を覆したという点でも画期的な契約ですよ。

 

 なんか、ベラトールも基準が変わったというか。スコット・コーカー新社長の考えで取ってもらえたって聞きました。

 

――スコット・コーカーさんはストライクフォースのCEO時代から、エキサイティングな試合をする選手を優先して獲得してましたからね。だから所選手についても、「近々で1回や2回負けてたって、実力はそれ以前に充分証明してるじゃないか」ってことですよね。

 

 ホント、うれしいですね。涙が出るぐらいうれしいです。

 

――リリースに出ていた、スコット・コーカーのコメント見ました?

 

 はい。「ここ10年で最もエキサイティングなファイターの一人」とか「我々が求めていたファイターだ」って言っていただいて。そう言われて、拾ってもらったからには、その期待に応える試合をしなきゃ絶対にダメだなって思ってますね。

 

――だから、所選手はやはり運が強いというか。このタイミングでスコットがベラトールの社長になってなかったら、この契約はなかった可能性が高いわけですもんね。

 

 まずないですよね。

 

――また、スコット・コーカーという人は、昔から日本びいきというか。感覚が日本人に近いんですよね。もともとK-1 USAの代表で、ストライクフォースのCEO時代は、DREAMとも協力関係にありましたからね。

 

 ホントにタイミングが良かったとしか言いようがないですよね。

 

――極端な言い方をすれば、ベラトールはスコット・コーカーが社長になったことで、「アメリカ版DREAM」とか「アメリカ版HERO`S」ができたようなものというか(笑)。そういう意味では、結果論ですけど、所選手はPRIDEよりHERO`Sが合ってたのと同じように、UFCより新生ベラトールのほうが合ってたんじゃないかとも思います。

 

 UFCじゃなくて、ベラトールで良かったんだって言えるように、がんばりたいですね。

 

――ちなみにスコットとは、これまで会ったことはないんですか?

 

 ないですね。『Dynamite!! USA』のときとか、もしかしたら会ってたかもしれないですけど、あの頃はいろんなえらい人に会ってたんで、誰が誰だったか憶えてないんですよね。なんて挨拶していいかもわからないんで、とりあえず「サンキュー・ベリーマッチ」ばっかり言ってて(笑)。

 

――「この人、偉いんだろうな」っていう人がたくさんいすぎた(笑)。

 

 はい。もしかしたら、単なるスタッフだったかもしれないですけど、とりあえずみんなに「サンキュー」って挨拶してました(笑)。

 

――でも、スコットのほうは、所選手の試合がすごく印象に残ってたんでしょうね。

 

 あとはやっぱり、今回代理人を務めてくれた石井(史彦)さんが、しっかり売り込んでくれたおかげだと思うんですよ。

 

――山本“KID”徳郁選手や堀口恭司選手、ストラッサー起一選手などをマネジメントしている石井史彦さんが、今回の代理人なんですよね。

 

 はい。

 

――もともと、石井さんにマネジメントをお願いするきっかけはなんだったんですか?

 

 うちの真ん中の兄が、昔から石井さんと親しくて。VTJの(ウィル・)カンプザーノ戦で判定負けになったあと、「英男をなんとかしてやってくれ」って、ガンガン言ってくれてたみたいなんですよ。

 

――まずは、お兄さんが石井さんに売り込んでくれたんですか。

 

 はい。それでじつは今年始めに、石井さんと兄とボクの3人で会う機会を作ってもらったんです。ボクが腐ってたんで(苦笑)。

 

――カンプザーノ戦の判定問題で、一番腐ってた時期(笑)。

 

 腐ってるボクを見かねたのか、兄がわざわざ石井さんを武蔵小杉に呼んで。そこで石井さんに「なんとかならないですか?」って相談して。そしたら「なんとかしてあげるから、腐らないで、頑張ろう」みたいなことを言ってくれて。それでいまに至るんですけど。だから、あの小杉での会談がなければ、この話もなかったと思うんで、感謝ですね。

 

――でも、石井さんもその時点では、もう一度レコードをきれいにして、なんとかUFCに売り込もうっていう考えだったわけですよね?

 

 そうです。だから「まずは、次の試合に勝て」って言われました。

 

――前の試合の判定が微妙だったから、次にちゃんと勝てば交渉の余地がある、と。ところが、『GRANDSLAM』でまさかの敗戦を喫して……。

 

 1ラウンド終わった時点では、「これはもう負けはないな」って思ったんですけどね。その心の隙を突かれてしまいました。

 

――自分としては、1ラウンドは「いける」という手応えあったんですね。

 

 「いける」というか、動けてたんで。自分の動きが出せるなっていうのはありましたね。

 

――でも、相手の動きも良かったですよね?

 

 思い切りが良かったですね。その差が出たのかなっていう気がしました。

 

――ボクも1ラウンド観ていて、相手の打撃の思い切りの良さが怖いな、伸びてくるなって思いました。あと、けっこう腰も強いなって。それでも所選手は、しっかり自分の距離で闘って、1ラウンドの終わりには、テイクダウンも奪ってましたけどね。

 

 ああいう、ポイントをしっかり取る闘い方もできてたんですけどね。

 

――ただ、1ラウンドを取りながら、その後は安全運転することなく、2ラウンド早々に仕掛けていくっていうのは、所英男ならではだなとも思いましたけど。

 

 1ラウンド、簡単にテイクダウンが取れちゃったんで、簡単に行き過ぎたっていうのもありますし。技術的にも作戦的にも反省できてるんで、次につながる負けだと信じてるんですけどね。レフェリーもいいところで止めてくれたんで、壊れるようなダメージもないですし。あの負けがいい負けになればいいと思います。

 

――でも、負けた直後は、道が完全に閉ざされたっていう感じだけだったんじゃないですか?

 

 これからどうしようかなって、何も考えられない状態でしたね。それで控室でうなだれてたら、(トレーナーの)野木さんが「おまえ、もう一回やれ」「打撃が良くなってるから」って、珍しく褒めてもらえたんですよ。それで「またお願いします!」みたいな感じになったんですけど。

 

――以前言ってましたけど、もう一回KO負けしたら、引退っていうことも考えてたんですよね?

 

 そうですね。ボクも若くないですし、将来のことも考えないといけないので。

 

――これ以上ダウンを続けたら、のちのち後遺症が残る危険性もあるし。

 

 それで考えてたんですけど。自分で「辞める」って言う前に、野木さんに「もう辞めろ」って言われると思ってたんですよ。

 

――引退勧告されるのが先だと思ってた。

 

 そしたら「続けろ。まだグローブを置くのは早い」って言われて、ビックリしましたね。自分では試合後、野木さんに話しかけられたとき、「ああ~、来るときが来ちゃったな」と思ってたんですけど(苦笑)。

 

――最後通告が来た、と(笑)。

 

 「もう終わりか」と思って、ホントにドキドキでした。

 

――じゃあ、野木さんの一言で、現役を続けようとは思ったものの、次の道はまったく見えてなかったところで、ベラトールの話が急に来たわけですね。

 

 はい。突然、「ベラトールの話がある」って言われて。

 

――ベラトールとの契約の話は、途中経過は所選手が知らないところで進められていたんですか?

 

 はい。兄と石井さんでいろいろ話して進めていてくれて。もう、ほぼ決まりだっていう状態で、ボクは聞かされましたね。

 

――でも、『GRANDSLAM』で負けた時点で、すぐにUFCからベラトールへ方針を転換して、しっかり話を進めるっていうのは、お兄さんも含めて、マネージャーとして優秀ですね。

 

 凄いですよね。石井さんなんか、UFCに話を振りながら、ベラトールとも交渉していてくれてたみたいで。全部あとから聞いた話なんですけど。だからもう頭が上がらないです。

 

――また、ちょうどスコットはカリフォルニア州サンノゼ在住で、石井さんとは家も近くて、昔から親しいっていうのも幸運でしたよね。それでスコット自身も昔から所選手を注目していたという、いろんなことが重なり合っての契約なわけですよね。

 

 ホント、いろんな人のおかげでアメリカに行けることになったんで、これでがんばらなきゃ、罰が当たるなって思いますね。

 

――「ベラトールと契約できる」って聞いたときは、どんな気持ちでした?

 

 最初は「えっ!?」って、驚きだけでしたよね。スコットさんのこともよく知らなかったんで、「意味分かんない」って感じで。

 

――途中経過はまったく聞いてなかったんですか?

 

 まったく聞いてなかったです。逆に「勝ったら、UFCもあり得るよ」って聞いてたんですけど。でも、負けてそれも閉ざされたあとだったんで、驚くだけでしたよね。嫁から最初聞いたときは、「マジで!?」って飛び起きましたけどね(笑)。

 

――その話を聞いてすぐ、「やる」と、二つ返事ですか? 

 

 「ありがとうございます!」しかなかったですね。

 

――それですぐにスイッチ入って。

 

 この夏は、長いオフに突入すると思ってたんですけど、うれしい悲鳴です(笑)。

 

――あ、もう試合に向けての練習に入ってるんですか?

 

 はい。完全に試合用の練習ですね。

 

――ということは、ベラトールデビューもかなり近いわけですか?

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