• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2014.06.20

真壁刀義の“タフ”とは何か?(前編)

 
 
新日本プロレスの5・25横浜アリーナ大会で試合中に下顎歯槽骨骨折を負いながらも後藤洋央紀から見事にピンフォールを奪った真壁刀義。プロレス界で最も“タフ”な男が語る“タフ”とはなんなのか? 小気味のいい真壁節に酔いしれろ!(収録日:2014年6月12日)


「プロレスってのは、てめえの生き様が出るわけよ。おもいっきり相手の技を受けてさ、おもいっきりカマしちゃうんだよ」

──5・25横アリ大会での試合で、下顎歯槽骨(かがくしそうこつ)を骨折をされて、今も下前歯にプロテクトされていて、だいぶ痛々しいですね。

真壁 おう、コレな(下アゴを突き出して)。あのときよ、柴田(勝頼)と後藤(洋央紀)がダブルで蹴ってきやがったときに、先に柴田のミドルが入ったんだよ。でよ、そこでちょっと顔を下に落としたときに、後藤のハイがバチーンってアゴにきた。それでバキバキバキーッて下の歯が3本、歯茎から折れちまった。

──歯茎から!

真壁 単に歯が折れたんじぇねえ、歯茎だからな(笑)。バキバキって鳴ったからよ、あの瞬間は俺も口が閉じれなかったわけ。で、そのあとバンッと仰向けに倒れた瞬間、すぐに足にガクガクってきた。

──アゴにいいのが入って、いわゆるノックアウト状態ですよね。

真壁 一瞬だけ気が飛んじまったな。だけど、すぐに意識は戻ったんだよ。で、もう口ん中も血だらけだったけどよ、「ああ、イケるわ」つってすぐに続行だよな。

──それで、診断結果としては全治3〜4週間ということですけど、次の6・21大阪には「出る」という。

真壁 おう、出るしかねえだろ。(いきなり長州力の声マネで)俺はハンパで終わらせないぞ?

──アハハハハ。いやいや、確かに全治3〜4週間ならば、理論上は6・21には間に合いますよね。でも、そんな状態ですぐに復帰って、やっぱり普通に考えたら無理だと思うんですよ。

真壁 歯はまだグラグラしてるしな。そりゃ普通は無理だよな(笑)。

──だけど「出る」。

真壁 俺、普通じゃねえからな(キッパリ)。前もよ、永田(裕志)とタイトルマッチをやったときも、こめかみをザックリ切っちまってよ、次の日も試合だったけど、そんとき会社からは「明日は休んでください」って言われたんだよ。だけど俺は、「おめえら、バカじゃねえの? 何が休めだよ、この野郎!」ってぶち切れたよ。もちろん、そこで「はい、そうします」って休むヤツもいるだろう。だけどよ、「もしここで休んだら、真壁刀義の名が廃るだろ、おまえ」っていうのが俺の根本的な考えだから。だって、ほかのヤツらが試合やってるのに、俺だけが試合できねえっておかしいだろ? だから、すげえ試合をして、「凄かったですね!」って言われるのが俺にとっちゃ当たり前だし、逆に言ったらその次の日に休むっていうレスラーの気が、俺には知れねえわけよ。ああ、理解できねえ。そりゃキツイよ。だけど、「イケると思ったらいけよ」っていうのが俺の本心だよ。だって、そうじゃなかったら「プロレスラーはすげえんだよ」ってのがアピールできねえじゃん。もし、そのまま寝てたら普通の人じゃん。俺は根本的にそういうふうに考えるって話だよ。

──それが真壁さんのレスリングライフであり、これがずっと続くんだっていうことですね。

真壁 そうだよ。結局、周りの連中にも言いたいのは、「俺って人間を勘違いしないでくれよ」っていうことだよ。で、今日はなんの話をすりゃいいの?

──はい。失礼ながら、今回その真壁さんがケガをされたことがタイムリーというか、今日は真壁さんに“タフ”をテーマにお話を伺いたいと思ってまして。

真壁 “タフ”か! いいねえ、その表現が最高だよ。俺にとっちゃ最高の褒め言葉だ。

──“タフ”というのは、プロレスラーに限定しない、誰にとってもいいテーマかと思いまして。

真壁 おう、いいよ。おまえらも知ってんだろ? 俺の合宿所時代。2年も3年もずっと先が見えねえ、地獄のような日々をさ。

──過酷な練習と、先輩たちからの強烈な“かわいがり”を日常的に受けていたという。あの時期の経験というのは、実感として今の真壁刀義を形成するうえで活きてるんですか?

真壁 活きてるよね、今でも。

──あ、活きてるんですね。

真壁 これはよ、また凄く社会的な話になるけど、大阪の橋本(徹)市長がさ、学校で特別に悪い問題児はクラスから隔離するとかって制度を作るって言ってるだろ? 俺、これは一概には言えねえことを承知で言うけど、そういうはみ出しちゃって、いろんな条件がこなせねえヤツらこそ、叩けば響いて上に上がるんだぜ? いいか? 新日本でもよ、これまできれいなレールを用意されたヤツは何人もいたよ。で、そのなかの何人が成功してる?

──ほとんど成功していないか、したとしても一度は辛酸を舐めさせられてますね。

真壁 誰も成功してねえじゃん。じゃあどうして、中邑(真輔)が成功したか? 俺がアイツを一旦どん底まで引きずり降ろしたから、いまのアイツがあるんだろ。この俺がいままで示してきたスタイル、プロレス道を中邑に見せつけたおかげでいまのアイツがあるんだよ。俺はそう思ってる。こんなのアイツにしてみりゃ、「ふざけんじゃねえよ、おまえなんかには負けてねえよ。認めねえよ」って言うかもしれねえ。だけど、現に引きずり降ろしたのは俺だよ。

──デビュー当時からスターへのレールを敷かれていた中邑選手を引きずり降ろした。

真壁 ただし、そっから上がったのはアイツだよ。アイツが自分の力で上がったから……言ってやろうか? アイツは“ホンモノ”なんだよ。俺は褒めてるわけでもなんでもねえ。だけど、新日本にいるヤツで“ホンモノ”じゃねえってヤツ、いっぱいいるぜ。

──今の新日本には“ホンモノ”じゃない選手も混じってると。
>