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  • 2016.12.16

GK金沢克彦コラム #130

GK金沢コラム連載第130回!! 「内藤マジック」

写真提供/新日本プロレスリング
2016年度プロレス大賞のMVPは内藤哲也!
完璧なる喜びの言葉とは?

東京スポーツ新聞社制定『2016年度プロレス大賞』(以下、プロレス大賞、または東スポ大賞)選考会は、12月13日(火)、ワタクシ金沢の第55回目の誕生日に開催された。と言っても、私とはなんの関係もない(笑)。

そして栄えある年間MVP(最優秀選手賞)に選出されたのは、新日本プロレス所属、現IWGPインターコンチネンタル王者でロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの内藤哲也。まあ、当然というか、必然の結果だろう。年明け早々の今年1月、新日本のトップ戦線を支えていた二大スターであるAJスタイルズ、中邑真輔が次々と退団、彼らは新たな戦場を世界一のプロレス・プロモーションである米国WWEマットに求めた。

その後、これまたトップ戦線にいたレギュラー陣であるカール・アンダーソン&ドク(ルーク)・ギャローズがWWEへ移籍。「このままでは新日本プロレスがWWEの牧場になってしまう」と木谷高明オーナーが大いなる危機感を訴えたように、新日本に暗雲がたれこめかけた。

それを一掃したのが、内藤の大活躍。昨年6月、メキシコCMLL遠征から持ち帰ったロス・インゴベルナブレスという新たなキャラが大きく花開き、EVIL、BUSHI、SANADA、高橋ヒロム(※まだ実戦には参加していない)とロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを結成。内藤はもちろんのこと、このユニットも大当たりして、ロス・インゴのグッズは一大ヒット商品となった。

全国どこの会場へ行っても、男性・女性問わずロス・インゴのグッズを身につけているファンがワンサカ。そればかりか他団体の会場へ行っても、なぜかロス・インゴTシャツを着ている観客がチラホラと目につく。

1997年~1998年にかけて、社会現象にもなった『nWo』ブームを彷彿させる感じ。あの当時は、ふつうに街を歩いていたら、nWoTシャツを着た人を必ずそこかしこで見かけたものだ。

さて、今回のテーマはプロレス大賞MVP受賞の決まった内藤の記者会見の内容に関してである。私は当然、行っていない(笑)。会見は大の苦手であることと、いまや会見の模様まで『新日本プロレスワールド』で生配信されて観られる時代だし、各ネット、スマホサイトをのぞけば、その詳細が一字一句逃すことなく掲載されているからだ。

また、選考委員の人たちなども、情報解禁となる時刻と同時にネットサイトのコラムなどでその選考会の模様を公開してくれる。もう、ここまで至れり尽くせりなのだから、なんの文句を言わずに、自宅で情報収集させてもらえばいい。

ちなみに私は、1999年~2003年まで5年間、選考委員を務めさせてもらったことがある。もちろん、凄まじく嫌われた。選考委員会のなかで嫌われたのではなく、特定の団体関係者から嫌われた。私の発言というか徹底したアジテーションの内容、それによって票がどう動いたかなど、なぜかすべて団体関係者に筒抜ケニーなっていたからである。

「あいつのせいで、ウチの○○が賞を逃した!」となるわけだ。鈍感な私はのちのちになって、特定の団体のフロントから嫌われる理由を知ったしだい(笑)。まあ、懐かしい思い出のひとコマである。

話を戻そう。内藤の会見は選考会が終了しMVP受賞の一報が入った直後、新日本プロレス事務所で行なわれた。なぜ、今回その内容をクローズアップするかというと、その質疑応答が例によって完璧だから。内藤のコメントを読んでいて「さすがだなあ!」と私も感心した。これぞ、広島東洋カープを応援しているとき以外は24時間プロレスのことばかり考えている男の真骨頂だろう。

では、内藤が発した言葉を検証してみよう。まず、受賞を聞いた喜び(?)の第一声から。

「グラシアス。俺は、この1年、このプロレス大賞を目指して、プロレスをしていたわけではないですが、結果的に、選考委員の皆様に、内藤哲也のプロレスを、しっかり届けることができた結果、この賞をいただけたんじゃないかなと思いますけど。ただ、他の賞に、我々“ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン”のメンバーの名前がないのは、非常に疑問にしか感じてしょうがないですが、このMVP受賞に関しては、ボクは素直に嬉しく思いますよ。それから、木谷オーナーが言ってましたよね。某選手に2億円規模のプロジェクトで、徹底的にスターにするって。2億円かけたのに、プロレス大賞MVPに選ばれなかった男と、一銭もかけずに、プロレス大賞MVPに選ばれた男。一体、どちらに価値があるのか? だって、そうでしょ? 今年2月の時点で、某選手と俺の間には、2億円の差があったんだよ。この2億円の差、どんだけデカいと思う? なかなかひっくり返せるもんじゃないからね。それをひっくり返した俺は、少なくとも2億円以上の価値があるってことでしょ? このプロレス大賞、もしかしたらね、今までのプロレス大賞史上最も価値のあるMVPなんじゃないかなと、ボクは思いますよ」

おもしろい。まずロス・インゴのメンバーへの気遣いもチラッと入っている。結果的に、ことしの最優秀タッグチーム賞を獲得したのは、関本大介&岡林裕二の大日本コンビ。5年ぶり2度目の受賞となる。タッグチームという観点でいうなら文句なしかもしれない。ただ、純粋タッグチーム、タッグ屋が少なくなったいま、複数のメンバーからなるユニット(軍団)もノミネートの対象となっているようだ。

関本&岡林はすでに完成されたチーム。そこも含めて、今年のタッグ戦線でもっとも新風を吹かせ旋風を巻き起こしたのはロス・インゴではないだろうか。内藤はそこらあたりも示唆したのかもしれない。ただ、それを直接的に言わない、かるい気遣いはあってもメンバーに干渉しないというのもロス・インゴのやりかただから、これも内藤流だろう。

木谷オーナーの“2億円プロジェクト”発言をいきなり出したのはインパクト満点だった。オカダ・カズチカと自分の間には2億円の差があった、それを自分がMVPを獲ってひっくり返した、俺には2億円以上の価値がある、これは今までのプロレス大賞史上最も価値のあるMVPじゃないか!

素晴らしい畳み掛けだ。内藤論法、内藤方程式は何倍にもその価値を膨らませてみせる。この発言について感想を求められたら、はたしてオカダ、木谷オーナーはどう答えるのか? すこし意地悪な感じもするが、そちらのほうにも興味が沸いてくる。そう、内藤は話題性も膨らませてみせるのだ。

次は、21名からなる選考委員会の投票で18票を獲得しMVPが決定したこと。話の途中で、残り3票は、オカダに2票、ケニー・オメガに1票入ったことも告げられた。

「ってことは、選考委員の中で3名の方は、『いや、内藤じゃないでしょ』と、『他の選手でしょ』という方がいたわけですね。(※残り3票の内訳を聞いて)なるほど。この世の中100パーセントっていうのは、なかなか難しいことではありますけど、そのお三方に関しては、内藤哲也であり、我々ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのプロレスを届けることができなかったと。そこに関しては、すごく悔しく思いますよ。ボクは、満場一致でのMVPを想定してたんでね。その点は、来年の課題ですかね。そのお三方に、しっかり『我々、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのプロレスをお届けしたいな』と思います」

ハナにつきそうなほど自信に溢れていながら、謙虚な言いまわし。これが内藤マジック。そこに、みんなやられる。どんなに高飛車な態度を見せられようと、最終的にファンはこう思う。

「内藤は正論を言っている。新日本のことをだれよりも思っているじゃないか!」

だいたい、この私も会話するたびに内藤マジックにいつもハマるのだ(笑)。つづいて、内藤オリジナルのマスコミいじり。内藤がいじるのは、いつも東スポの岡本記者。ご存知のとおり、いじりがいタップリの岡本記者だし、彼の返しもいいから、そこにいくのは必然だろう。

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