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  • 2016.11.17

GK金沢克彦コラム #126

GK金沢コラム連載第126回!! 「ビッグファイト“GK金沢コラム”プロレス大賞」

一足早い2016年プロレス大賞!
早いもので、もう11月も後半に入る。月日の経つのが早く感じるのは、どうもトシのせいばかりではないようだ。この業界にいる人間でも、いない人間でも、おっさんでも若者でも、それは総じて感じているようなのだ。

自分なりに分析してみると、ひとつは日本から四季がなくなりつつあることも大きな要因ではないのだろうか? だって、秋がなかったじゃん(笑)。ついこの間まで夏だと思っていたら、いきなり冬だよ。夏前もそうだった。

冬だと思っていたら、いきなり夏がきた。春がないのだ。ウチのクローゼットにしまってある春もの、秋もののシャツや薄いセーターなんてまるで着ていない。いま、日本の夏の気候なんて完全に亜熱帯地方と化しているのだ。あれだけ頻繁にスコール(集中豪雨)がくるなんて、いままでなかったよなあ。

サイパンとかグァムとかに行かないと、あれは経験できないことだったもの。季節感がなくなったから1年が早い――これもひとつの真実なのではないかと思うのだ。

と、同時にプロレス界はもっと早いような気がする。新日本プロレスでいうなら、1・4東京ドームが終わると、『NEW JAPAN CUP』があり、5・3レスリングどんたく、『BEST OF THE SUPER Jr.』.、大阪城ホール大会、『G1 CLIMAX』、9月の神戸ワールド記念ホール大会、10月の両国国技館大会、11月の大阪府立体育会館大会、『WORLD TAG LEAGUE』とあっという間に時は過ぎて、また1・4東京ドームがやってくる。

まあ、それだけプロレス界の中身が濃いから集中しているうちに時間が過ぎていくのだろうけれど、そこにまた季節感がなくなってきたから余計に早く感じる。

かといって、なにも印象に残らないまま時が過ぎていくかといえば、これは違って、ずっしりと印象に残るのだが、それが次から次へとやってくるから、前の印象が薄れてしまうのだ。今年の1・4東京ドームで中邑真輔vsAJスタイルズのIWGPインターコンチネンタル選手権が行なわれていたなんて、今は昔という感じ。あれから10カ月で、中邑もAJも完全にWWE(NXT)の所属選手になっているし、新日本マットで彼らの影を追っているものはだれもいない。

時は非情なり。

時間は止まっていない。

それを如実に示すのが、二大スター離脱後の新日本マットだろう。これだって、あっという間の1年を証明していることではないだろうか?

さあ、今週の本題。どこよりも早い2016年のプロレス大賞をここで決めてみたい。題してビッグファイト・プロレス大賞となるのか? なんか大層に聞こえるけど、厳密には「ビッグファイト“GK金沢コラム”プロレス大賞」ということので、そこらへんは理解してもらいたい。

もうひとつ、今年も例によって圧倒的に新日本プロレス中心となる。俗に言うプロレスブームを作ったのが新日本である以上、これは致しかたないことので、ひとつご理解のほどをよろしくね!

・最優秀選手賞(MVP)=内藤哲也
候補に挙がるのは、IWGPヘビー級王者であるオカダ・カズチカ、26年の歴史を誇る真夏の祭典『G1 CLIMAX』で外国人初の優勝を達成したケニー・オメガ、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのリーダーとしてムーブメントを巻き起こした現インターコンチネンタル王者の内藤。この3選手となる。
実績では、オカダ、ケニーに劣るものの、記録より記憶を重視したい。IWGP王者としては2カ月天下に終わったものの、両国国技館、大阪城ホールといった大会場が内藤の発散する空気一色に染まったこと。数々の説得力抜群のコメント、奇想天外なパフォーマンス、それでいて充実した試合内容。
その一方で、これは記録のほうになるのだろうが、ロス・インゴグッズの驚異的な売上げ。それは新日本の会場を一望すればわかることなのだが、なんとまったくロス・インゴとは関係のない他団体の会場でもロス・インゴTシャツを着用している観客がいる。これは凄いこと。かつて蝶野正洋が起こしたnWoジャパンブーム以来の大ヒット商品といっていいだろう。
さらに、内藤はスペイン語普及にも多大な貢献を示した。トランキーロ(あせるな)をはじめとして、オクパード(忙しい)、カブロン(くそったれ)、カブロネス(くそったれども)、アスタ・ルエゴ(またこんどね)と、コメントを聞くたびにとても勉強になる。
まあ、とにかく中邑真輔不在の穴、真輔ショックを吹き飛ばしてくれたのは、内藤であり、内藤の急浮上が新日本マットを活性化させたことは間違いない。
やはり、記録より記憶。内藤哲也、MVP授賞に異議なしなのだ。

・年間最優秀試合賞(ベストバウト)=ケニー・オメガvs内藤哲也(8・13両国国技館)
これも目いっぱい候補はあるのだが、あえて一点に絞るのならケニー・オメガvs内藤哲也(8・13両国国技館/G1公式戦・Bブロック最終戦、28分12秒、片翼の天使からエビ固めでケニーの勝利)となる。現代プロレスのすべてが詰め込まれたような闘いであり、2人の攻めも凄いが、受けの凄まじさも際立っていた。本当に、両選手とも覚悟の受け身という感じ。内藤自身も「あと2分弱粘れば俺の優勝戦進出が決まったのに、2分逃げることよりケニーと闘っている楽しさのほうが上まわった」と多少の言い訳も入った本音を語っている。
まあ、個人的な好みでいうと、1・4東京ドームの中邑vsAJ、カマイタチvsドラゴン・リー、柴田勝頼vs永田裕志のNEVER無差別級王座2連戦、スーパージュニア優勝戦の田口隆祐vsウィル・オスプレイ、ケニー・オメガvsマイケル・エルガンの新日本史上初のラダーマッチ(インターコンチネンタル戦)、G1公式戦の丸藤正道vsオカダ・カズチカ、石井智宏vs丸藤、石井vsオカダ、棚橋vsオカダの30分ドロー。9月の広島で実現したブリスコ・ブラザースvsヤングバックス、10月の柴田vsカイル・オライリーのNEVER戦なども感動ものでよかったなあ。
そういった中から、とことん現代プロレスを追求し、その究極形を見せつけたケニーvs内藤にベストバウトを贈呈しよう。
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