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  • 2016.11.11

GK金沢克彦コラム #125

GK金沢コラム連載第125回!! 「大阪のファンは最強」

新日本年内最後のビッグマッチ、11・5大阪大会を総括!

 新日本プロレスの2016年、関西地区における最後のビッグマッチとなった11・5大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)大会は、いろいろな意味で話題、内容ともテンコ盛り、同時に大阪ファンの凄み(?)を再確認させられる興行となった。

 

 まず、大会11日前に前売りチケット完売、予定されていた当日券販売はなし、というところからして凄まじい。同大会の目玉は新日プロ本隊vsロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(以下、ロス・インゴ)によるシングル4番勝負。タイトルマッチは、インターコンチネンタル選手権、NEVER無差別級選手権、IWGPジュニアヘビー級選手権、IWGPタッグ選手権と4大タイトルマッチが組まれた。

 

 IWGPヘビー級選手権は行なわれない。それでも、大阪府立にハズレなしは、ここ数年の合い言葉のようなものであり、この大阪の結果が来年1・4東京ドームのカード編成に直結することはファンならだれもが知っている。また、『G1 CLIMAX 26』最終戦(8・14両国国技館)からビジョンのみで予告されてきた“時限爆弾”が爆発、その正体が明らかにされる日にちも11・5であることはファンに浸透していた。

 

 簡単に言ってしまえば、勢いとムード。カード編成云々よりも、この大会を見逃してはいけない空気が早くから充満していたのである。本当に、“西の聖地”大阪は変わった。10年前であれば、カードが出てはじめて前売りチケットが動いた。たとえばIWGPヘビー級選手権が組まれていたり、それ以外に注目の好カード、初対戦のドリームカード、サプライズカードなどが発表になって、はじめてチケットに動きが出たものだ。

 

 両国大会などに比べて、あきらかにカード編成がイマイチと感じると、ファンの出足は鈍い。当時は、前売りの伸びがいまひとつで、当日券がどこまで売れるか? そこに期待を懸けることもしばしばあった。

 

「さすが、大阪! 財布の紐は固いよね」

 

 マスコミ間でも、そういう会話が合い言葉のように交わされていたものだ。ところが、ここ3~4年でそういう風潮は一変した。それはもう、新日本が大阪大会でつねに事前の期待感、想像以上に素晴らしい内容を見せてきたからだろう。新日本プロレスに対する大阪ファンの思いは信用、信頼へと変化してきた。

 

 ただし、これはあとでまた触れることになるが、大阪ファンの頑固さ、見る目の厳しさ、ストレートすぎる反応は変わらない。一時のような不満の“ブーイング”こそ起こらないものの、その素直な反応は後楽園ホール、両国国技館以上のものがある。だから当日、『ワールドプロレスリング』、『CSテレ朝チャンネル2』(生放送)、『新日本プロレスワールド』(生放送)の放送席で解説についていた私は、最後の最後に結論としてこう言ったのだ。

 

「つまり大阪府立に集まる大阪ファンは最強!ということです。それが本日の結論ですね」。この意味は、おいおい説明していきたい。 

 

 それにしても、凄まじく長い、超ロングラン興行だった。第0試合も含めると全10試合が組まれた。ちなみに、第0試合のスタート時刻が午後4時40分。第1試合(本興行)は午後5時開始。メインイベントが終了し、内藤がバックステージに戻った時刻が午後9時20分。途中10分のインターミッション(休憩時間)がとられていたことを考えても、なんと4時間半興行である。

 

 両国大会をはるかに凌駕して、東京ドーム並みだった。おそらく3時間半、もしかしたら4時間まではいくかもという私の予想はまたも外れた格好である。テレビのほうはというと、CSテレ朝がしっかりと午後9時30分まで放送時間をとっていた。不測の事態に備えてというか(笑)、それでも9時28分ぐらいまで生放送をつづけたのだからこれも驚異的。私などは9時には全試合が終わって10分ほど放送席でしゃべりがあり、残り20分は当日放送分のダイジェスト映像が流れるという感じで予想していたのだ。

 

 では、今回の長~い興行をすこし振り返ってみたい。まず、いきなり観客のハートを鷲掴みにしたのが第3試合のIWGPタッグ選手権、タマ・トンガ&トンガ・ロアvs石井智宏&YOSHI-HASHIのマッチアップだった。まあ、冷静に考えれば好勝負は当たり前だったかもしれない。とにかく、4・10両国大会で真壁&本間を破って初戴冠を達成したときのゲリラズ・オブ・デスティニ―はいただけなかった。

 

 観客がまったくついてきていないのだ。これはタンガ・ロアに問題があった。ロアが新日本マットの流れ、新日本の選手のム―ブについていけないのだ。「これは、この先厳しいなあ」と正直思った。ところが、あれからわずかに半年足らずでロアは変わった。新日本のリズムを掴んだのだ。それによって、タマとの兄弟連携&合体が冴えわたる。

 

 一方の石井&YOSHI-HASHIにも不安はない。YOSHI-HASHIの急成長ぶりに加え、石井はタッグマッチの名手でもある。G1で石井と初めてタッグ組んだ丸藤正道が「石井選手とのタッグは楽しかったですね。なにも言わなくても互いに動けていた」と絶賛していたとおりである。

 

 じつは、のちのちファンの声、関係者の声を聞いてみると。この試合を大阪大会のベストマッチに推す人も多かった。タンガ・ロアとYOSHI-HASHIの成長。それがすべてだろう。

 

 あとは、ひとつ痛恨の出来事があった。じつは、11月2日が石井のデビュー記念日。今年でデビュー20周年を迎えたのだ。ずうっとそれが頭にあったはずなのに、なぜか当日そのことが頭から消えていた。生放送でそれを言えなかったのは残念だし、痛恨だ。石井には翌日帰京してから「遅ればせながら……デビュー20周年おめでとう!」というメールを送っておいた。この稿を借りてもう一度謝っておきたい。

 

「トモヒロ、放送でちゃんと伝えられなくて正直スマンかった」

 

 次は第5試合。じつは、私の11・5大阪ベストマッチはこの試合だ。IWGPジュニアヘビー級選手権、BUSHIvsKUSHIDAである。たぶん、みんな驚くと思うのだが、この日を迎えるまで両者のシングル戦績は6戦してBUSHIの4勝2敗。BUSHIがロス・インゴに入ってからは2勝1敗となっている。

 

 過去にKUSHIDAが負け越していること。それに驚きを感じたとしたら、それほど両者に差がついていたということになる。ところが、この日は違った。感情がガンガンにぶつかり合った。日本人ジュニアにしか表現できない感情の激突。ひさびさに、かつての越中vs髙田戦、ライガ―vs大谷戦、金本vs大谷戦などを思いだした。外国人ハイフライヤ―がこれでもかと高難度の空中技を決める現代ジュニアにあって、唯一足りないもの。

 

 それがハッキリと見えたのだ。とくに、BUSHIは変わった。マスクマンでありながら、対KUSHIDAになるとマスクに表情が浮かび上がる。憎悪、怒り、苦しみ、それが見えるのだ。この先、5年以上も両雄のライバルストーリーは延々と続くだろう。

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