• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2016.11.03

GK金沢克彦コラム #124

GK金沢コラム連載第124回!! 「スターダムの二大スターに浮上したWWE移籍の噂」

WWE移籍の噂がある紫雷イオのWWE感とは?

 この1週間でプロレス界にとって大きな話題、衝撃のニュースがふたつ流れた。まずは、プロレスリング・ノアの身売り。1日発行の東京スポーツ紙がスクープした格好であるが、それは事実そのまま。同日、ノアサイドからも正式発表があった。

 

 ノア側によると、ITシステム開発会社「エストビー」(不破洋介社長)にプロレス興行事業および、これに関する事業を譲渡したと発表。これで事実上、エストビー社がノアのオーナーとなる。ノア新体制の幹部は次のとおり。

 

 相談役=田上明、会長=内田雅之、代表取締役=不破洋介、取締役=伊藤大介。名前を見てわかるように、2011年から2年間、武藤敬司体制下の全日本プロレスで社長を務めた経験のある内田会長がプロレス部門のトップとして陣頭指揮をとることになる。

 

 内田氏といえば、全日本分裂→武藤らのWRESTLE-1旗揚げと同時に業界の表舞台からは離れているものの、その後も趣味として様々な団体の興行に顔を出していた。また、全日本社長時代には新日本プロレスの菅林直樹社長(現・会長)と友好関係を築き、その後も全日本時代に作りあげた台湾でのプロレス興行のルートを活用して、新日本の台湾進出に大いに尽力している。

 

 日本マット界をよく知る人物、なによりプロレスが大好きな人だけに、内田氏の打ち出す戦略によってノアにかつての活気が戻ってくることを期待したいところ。新体制ノアは、11・3後楽園ホール大会からスタートした。

 

 では、今回の本題となるのがもうひとつのニュース。アンダーの部分でみるみる情報拡散されていったのが、米国WWEがスターダム所属の二大スター選手、紫雷イオと宝城カイリに獲得オファーを出していたという話題。この話を表に出したのは、米国のプロレス専門メディアである「レスリング・オブザーバー」だった。

 

「レスリング・オブザーバー」はいわゆるインサイド情報を掲載する老舗メディアなのだが、過去の例からみてもその情報はかなりの確率で当たっている。

 

 とくに、本来すべてがトップシークレットで動くはずのWWEのインサイド情報までキャッチしてリリースする。たとえば、中邑真輔のWWE入りに関しても、今年の1・4東京ドーム大会翌日に「レスリング・オブザーバー」が伝えたせいで、その衝撃ニュースはあっという間に世界中に広まっている。

 

 こうなると、すこしばかりウガッタ見かたさえしてしまう。契約問題に敏感なWWEがトップシークレットと謳いながらも、「レスリング・オブザーバー」にはだれかしらが情報をリークしており、WWEサイドもそれをある意味、パブリシティとして容認しているのではないか、ということ。

 

 まあ、それが悪いことだと決めつけることはできないし、団体にとってマスコミ操作&活用というのも必要なことだから、それはそれでクレームをつけるような問題でもない。

 

 では実際に、「レスリング・オブザーバー」がどういうカタチで伝えているのか? 10月26日(現地時間)にリリースされた内容はざっとこんな感じ──。

ここ1~2週間の間に日本の女子プロレス団体スターダムの紫雷イオと宝城カイリの2人はWWEから契約のオファーを受けていた模様。オファーの内容は2017年からWWEでスタートすることになっているが、2人は今週スターダムとこの件で話し合っている。紫雷イオはWWEと契約する気があると伝えたようだが、宝城カイリはまだ決断できないでいる様子。それは過去2年間で二度の大きな脳しんとうを起こしているため、フィジカル・テストにパスできない可能性があるというのが理由。また2人とWWEの接点は、紫雷イオはFUNAKI(船木勝一)からの連絡を受け、宝城カイリのほうは今年7月に両国国技館で開催されたWWE日本公演で、サイモン猪木が中邑真輔に紹介し、そして中邑がWWEに推薦したとのこと。どうやらスターダム側は、紫雷イオに関してはもう確実にWWEに行くと考えているようで、その代わり宝城カイリの引き止めに全力を尽くしているらしい。宝城自身はWWEに興味があるものの、まだ明確な答えは出していない模様だ」

こういう内容である。おりしも、スターダムは10月30日に後楽園ホール大会を開催。ワールド・オブ・スターダム王者のイオは美闘陽子の挑戦を退け、最高峰の赤いベルト7度目の防衛に成功。同時に、来年の3・9後楽園ホール大会でデビュー10周年記念興行を開催することも発表した。

一方の宝城は、ワンダー・オブ・スターダム王者としてチェルシー・グリーンと対戦し、白いベルト3度目の防衛に成功している。試合後、報道陣からは試合のことだけではなく、やはりWWEからのオファー問題に関して2人に質問が飛んだ。

「いろんな意味でなにも言うことができない。ただ3月9日、後楽園ホールで10周年記念興行があるので、みなさん来てほしいですね」(イオ)

「驚いています。いまはスターダムの所属選手として、一戦一戦目の前のことに集中しています」(宝城)

もう、この回答は正直としか言いようがない(笑)。「ない」なら「ない!」と言いきればいいのだが、そう言いきれないところに2選手の真面目さ、性格のよさがまる出しとなっているのである。細かい部分はともかく、「レスリング・オブザーバー」の情報通り、オファーがあったことは事実なのだろう。

それに、イオと宝城のツートップ(※ここ最近では岩谷麻優を加えた3人娘、さらに復帰した美闘を加え四天王とも言われているが……)にWWEが目をつけたのは当然のこととも言える。

周知のとおり、昨年、華名がWWEにスカウトされ入団を正式発表したのは9月のこと。リングネームをASUKAとして、10月7日、NXTでデビュー。今年の4・1NXT『テイクオーバー・ダラス』では、デビューから無敗のままNXT女子王座を奪取。現在もベルトを保持している。ASUKAは現在35歳でもっとも脂の乗った時期。

それと比較しても、イオは26歳、宝城は28歳と若く、ASUKAにつづく日本人ディーバとして長期的な面でより期待を懸けられる。ところで、いまディーバと書いてしまったが、もはやWWEにはひと昔前のディーバの概念は存在しない。明らかに、レベルの高い女子プロレスラーを求めているからだ。そこで日本マットを市場リサーチすれば、当然、イオ、宝城がリストアップされることは不思議でもなんでもないのだ。

この現象は男子部門を見てみてもわかる。いわゆるニューカマーとしてWWE、NXTのトップ戦線で活躍しているAJスタイルズ、フィン・べイラ―(欠場中)、カール・アンダーソン、シンスケ・ナカムラ(中邑)は、米国でも新日本スタイルそのままの試合を披露している。

女子のASUKAにしても、打撃&サブミッションを軸に華名時代に近い日本スタイルを押しとおしている。今や、WWEのスタイルじたいが日本スタイルへと変化してきており、ファンもWWE首脳部もそれができる選手を求めているのは明白なのである。

無論、いまは口を開けない。ただし、ヒントになるコメントをここで公開しておこうと思う。有料会員だけが読める(※宣伝だぞ!)紫雷イオのWWE感というか、WWEと日本(スターダム)のプロレス、ひいては彼女の生きかたを表現している言葉の数々である。

 

>