• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2016.07.28

GK金沢克彦コラム #110

GK金沢コラム連載第110回!! 「プロレスに取り憑かれた男」

G1開幕早々、柴田勝頼を襲った異変……

それでも優勝候補の本命に推す理由とは?

「朝起きて、飯を食って、トレーニングして、プロレスして、寝て……また起きて、飯を食う、寝る、プロレスする。いま、俺はプロレスにりつかれていますので」

 

 これは『G1 CLIMAX 26』開幕前の直前会見や『新日本プロレス OFFICIAL WEBSITE』によるインタビューなどで柴田勝頼が口にしたセリフ。そのまんま、である。いま、いかにプロレスラーとして充実した日々を過ごしているかを象徴する言葉、言いまわしだろう。

 その一方で、IWGPヘビー王者のオカダ・カズチカは、「しっかりとIWGPヘビーのレベルというものをこのG1で見せて、病み上がりの前回覇者(棚橋弘至)、宙にぶら下がっているだけのベルトを獲ったインターコンチ・チャンピオン(マイケル・エルガン)、オッサンばっかと闘って防衛しているNEVERチャンピオン(柴田)、そういうのとの違いをしっかり見せつけて優勝します」と挑発的な発言を残した。

 

 これに対しても、柴田は一刀両断に斬り捨ててみせた。

 

「オッサンばっかりと闘ってきましたけど、『オッサンを舐めんなよ! ゆとり』ってところですかね」

 

 今年に入ってから半年間で、通算7度のNEVER無差別級王座戦をやってのけた男の一言一言は、説得力抜群だった。

 

 先述した新日本の『OFFICIAL WEBSITE』ではマスコミや著名人など各界のプロレス通に、「G1優勝予想」のアンケートをとり、その結果も掲載している。

 

 私の回答は、Aブロック1位=後藤洋央紀、Bブロック1位=柴田勝頼、優勝=柴田というもの。無論、アンケートに答えたのは、G1直前会見前のことで、柴田インタビューも掲載される前のこと。

 

 やはりコメントを知る以前から伝わってくるものが大きかったということだ。「朝起きて、飯食って、トレーニングして、プロレスする……」という、プロレスラー柴田の充実ぶりが、7度のタイトルマッチという事実を踏まえ、強烈に伝わってきたことがイチバン大きかったのだ。

 

 今年のG1は、王者、V候補が総崩れという、予想外の展開からスタートした。まず、7・18札幌大会(北海きたえーる)のAブロック初戦で、オカダが丸藤正道に敗れ、棚橋弘至がSANADAに敗れる大波乱。

 

 つづく第2戦の7・22後楽園ホール大会では、Bブロックの初戦が行なわれ、YOSHI-HASHIがケニ―・オメガを破る金星をゲットし、EVILがインターコンチ王者のエルガンに勝利、永田裕志が前IWGP王者にしてマット界の主役ともいうべき内藤哲也にフォール勝ち、トドメとしてメインイベントで本間朋晃が柴田をこけしで破った。

 

 現・新日本プロレスの顔ともいうべき選手、主役たちがすべて初戦でコケた格好である。

 

 ここで、心配されるのは柴田のコンディションだろう。翌23日、町田大会でタッグマッチ(柴田&本間vs中嶋勝彦&YOSHI-HASHI)に出場した柴田の右肩には大きなテーピングが施されていたのだ。注目の公式戦である翌日(24日)、中嶋戦でのテーピング部分は前日よりさらに広がっているようにも見えた。

 

 そして、勝ったにも関わらずノーコメントで真っすぐに控え室の扉を開け、姿を消した。試合に負けたとき、柴田はコメントを発しない。一方、試合を勝利で飾ったあとは、なにか言いたいときには自分から口を開くこともあるし、そうでないときでも報道陣の質問に耳を傾ける姿勢だけは見せてきた。

 

 ところが、まったく受けつけない。25日・福島大会、26日・長野大会(メインでエルガンに惜敗)でも、その姿勢は同じだったという。

 

 ひとことで言うなら、報道陣の前で足を止めれば右肩の状態について聞かれるから、それを避けているとしか思えないし、そこがまた柴田らしいなとも感じる。

 

 たとえば、柴田が唯一(?)本音を自分で綴っている携帯サイト『プロレス・格闘技DX』のなかの連載コラム、『REAL TALK』(毎週水曜日更新)というコ―ナ―があるのだが、G1がスタートして2週分を読んでみたが、そこでも右肩のことにはまったく触れていない。

 

 こうなると、テーピングを施さなければいけないほどの状態であることしかわからないし、どの程度の負傷であるかもわからないので、安易にどうこうは言えない。安易にどうこうは言えないのだが、テーピングは目に見えるものだし、試合中、柴田が右肩を気にするシーンもたびたび見られるのだから、知らないふり、見ないふりだけはできない。

 

 そこで、『新日本プロレスワールド』を利用して、22日・後楽園ホール大会の本間戦をあらためてじっくりと観戦してみた。ちなみに、ライブで観ているとき、私が右肩を気にする柴田の異常に気付いたのは、試合の後半だった。

>