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  • 2016.07.07

GK金沢克彦コラム #107

GK金沢コラム連載第107回!! 「シンスケ・ナカムラ凱旋」

WWEスーパースターズに劣らぬ中邑真輔

ファン待望の1軍昇格は……?

 今年も7月1日&2日に両国国技館で開催されたWWE日本公演に行ってきた。演出とか緊張感ではさすがに昨年には及ばない。なんせ、昨年はテレビ収録があったし、米国WWEでもめったに試合に出ない超・超・超大物のブロック・レスナーが参戦していたから。

 

 ただし、ハウスショーにはハウスショーなりの魅力もある。テレビ収録がないから、けっこう選手への規制も緩いようで、参加メンバーが思い思いのパフォーマンスを縛りなく表現していたように感じるのだ。

 

 たとえば、WWE入り以来、カール・アンダーソンは十八番のフィニッシャーであるガンスタンを一度も使うことができないまま。あらためて解説の必要もないかもしれないが、ガンスタンはランディ・オートンのRKOと同種の技。もう暗黙の了解で、使ってはいけないわけである。それにも関わらず、2日目の第5試合の6人タッグマッチ(ジョン・シナ&ウーソーズvsAJスタイルズ&ルーク・ギャローズ&アンダーソン)では、アンダーソンがガンスタンに入る前のアピールであるマットをバンバンバンと叩くアピールからガンスタンの体勢に入った(※無論、これは読まれて不発に終わった)。

 やってはいけない技なのだが、ハウスショーなら許されるかもしれない。そんな期待感もあって会場はメチャクチャ盛り上がった。

 

 あとは、別に特許をとっているわけではないから、やっても構わないお馴染みの大技も連日飛び出した。両日ともメインのWWE世界ヘビー級王座トリプルスレット戦に出場した前WWE王者のセス・ロリンズが要所要所でスリングブレイドを連発したのだ。

 

 今後のWWEメインストリームを担っていく存在であるロリンズ。聞くところによれば、棚橋弘至の大ファンだという。そういえば今回、中邑真輔とのカードがマッチメイクされていたブレイ・ワイアットは中邑の大ファンとして知られている。中邑vsワイアットの予測不能なマッチアップも観たかったところだが、代替選手がクリス・ジェリコだったから、まあヨシとしておきたい。

 

 あ、ひとつ思いだしたが、前NXT王者のフィン・べイラー(元プリンス・デヴィット)もスリングブレイドを有効に使いこなしている。

 

 こういったパクリも、それはそれでいいと思う。シナがSTOを使うのはもう当たり前の光景だし、もともと永田裕志が開発したナガタロック2は、クリス・べノワが編み出したクリップラー・クロスフェイスとして、みんなそちらが元祖だと思っているのだ。

 

 古くは長州力オリジナルのサソリ固めもそうで、スティングが使えばスコーピオンデスロックとなり、ブレット・ハートをはじめその他の選手が使えばシャープシューター。

 

 このフィニッシャーがカール・ゴッチからデビュー前の吉田光雄(長州)に伝授された技だということなど、アメリカ人はだれも知らないだろう。

 

 そこで話は戻るが、いまは日本のプロレスが『新日本プロレスワールド』によって世界に流れる時代。だから技名もスリングブレイドそのままだし、多くのファン(マニア)が棚橋のオリジナル技だということを知っている。棚橋といえば、先だって『ゴング』でインタビューを行なったときに、なんら斜めから見ることなく、「AJすげぇーな!って思います。彼の活躍は誇らしいです。なにも否定するものはない。だって、(WWEという世界一のカンパニーに)追いつけ追い越せでやっているのだから、そこを評価しないのはおかしいでしょう」と語った。

 

 さすが、棚橋。そのとおりだと思う。だからこそ、自分のスリングブレイドをWWEのメインストリームにいる選手が使っていること、最近のAJが大技のレパートリーに牛殺しを加えていることなど、そういう部分に関しても棚橋なら「してやったり!」と思えるのではないか?

 

 そうだ、後藤洋央紀はどう思っているのだろうか? 後藤のことだから、気にもしていないし、それ以前にその事実さえまったく知らないかもしれない(笑)。こんど会場で会ったら、ぜひ聞いてみたいものだ。

 

 さて、本題に入ろう。メインテーマは当然、4・2NXTダラス大会デビューから3カ月、全勝街道を驀進中で早くもNXTの顔となっているシンスケ・ナカムラ(※以下、面倒なので中邑真輔で)の凱旋である。

 

 もちろん、今回の日本公演で最大のウリは中邑の凱旋マッチ。それもあってか、中邑の試合は両日ともセミファイナルに組まれた。初日など、いまもっともホットな抗争であるシナvsAJの一騎打ちを受けたあとのセミだった。

 

 ここで最大の収穫はWWE(NXT)における中邑真輔という男が、WWE1軍のディーン・アンブローズ(現WWE世界王者)、ロリンズ、破竹の勢いでメインストリームに乗ったAJ、さらに別格の超大物シナなどにも決して劣っていないとわかったこと。

 

 ここで劣っていないのは攻撃のリズム、受身の上手さといった技術は当然として、スーパースターが醸し出すオーラも含まれている。ひとことで称するなら、洗練されたシナやAJと比較しても、格負けしない空気を発散させているのだ。

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