• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2016.06.09

GK金沢克彦コラム #103

GK金沢コラム連載第103回!! 「オスプレイに始まり、オスプレイに終わったBOSJ」

『ジュニア・ワールドカップ』を制したのは
天才ハイフライヤー・オスプレイ!!

 新日本プロレスの『BEST OF THE SUPER Jr.XXⅢ』(以下、BOSJ)が、6・7仙台サンプラザホールで閉幕。優勝決定戦に駒を進めたのは、地元・宮城県出身の田口隆祐(Aブロック)と初出場のウィル・オスプレイ(Bブロック)の2選手。

 

 今大会は本命なきリーグ戦とは言われていたものの、やはりKUSHIDA、リコシェが本命視され、それに対抗し得るのがカイル・オライリー、田口、BUSHIと見られていたわけだから、あらためて田口vsオスプレイの優勝戦は大穴だったといえるのかもしれない。

 

 そして、結果的に初出場・初優勝にくわえ、史上最年少(23歳)優勝、イギリス出身レスラー初優勝に輝いたオスプレイの大活躍は見事というしかない。もういちど書いておくが、キャリア4年、23歳でまだイタズラ小僧のような面影の残るオスプレイである。彼が生まれたとき、とっくに獣神サンダー・ライガーはデビューしていたし、素顔時代のライガーのデビューまでさかのぼれば、オスプレイの両親さえまだ出会っていないかもしれないのだ(笑)。

 

 まあ、驚くのはそこではない! 英国が生んだ“天才ハイフライヤー”ことオスプレイの日本デビュー戦は、周知のとおり、4・10両国国技館大会。いきなりKUSHIDAのIWGPジュニア王座に挑戦という異例の大抜擢にしっかりと応えてみせた。敗れはしたものの、噂どおりの凄さを見せつけたと言っていいだろう。

 

 そして今回、星の潰し合いとなるBOSJを迎えた。オスプレイの本当の実力、地力、レスリング技術がどこまでのものなのか? よく言えば期待感、悪く言うなら査定というか粗さがし、つまり第三者による厳しい目にさらされる絶好のトーナメントとなった。

 

 そこで、フタを開けてみて、最後に幕を閉じてみれば、オスプレイに始まりオスプレイに終わったBOSJと言ってしまいたくなるほど、この若者は素晴らしい選手だった。

 

 しかも、エントリーを見てわかるように、今回のBOSJのメンツはメチャクチャ強者揃いだったし、そこでは意図的なオスプレイプッシュなど絶対に通用しないプライド高き男や曲者がズラリ揃っていたことも特筆されるのだ。

 

 前回の『ゴング』№14の名物企画『三者三様』のなかで、三田佐代子さん(サムライTVキャスター)が、BOSJのメンバー表を眺めて、「これって、『スーパージュニア』というより、ジュニア・ワールドリーグ戦みたいですね」と言ったことに私も大いに頷いたものだが、今回のBOSJを現場取材したり、テレビ解説したりしたなかで思ったのは、それよりワンランク上かなという感覚だった。

 

 ヤングバックスの欠場により、ドイツ出身のデビット・フィンレーも参戦し、日本、アメリカ、メキシコ、イギリス、ドイツと国際色がより豊かとなった。ロッキー・ロメロの出身国も強引に入れたらキューバまで入ってしまう。そのうえで、連日あのレベルを見せられたら、もうジュニア・ワールドリーグ戦というより、『ジュニア・ワールドカップ』と称してもいいのではないか? 個人的にはそこまで思うほどに、充実したBOSJであった。

 

 この段階で『ジュニア・ワールドカップ』と書いてしまうと、「この先に開催される『スーパーJカップ』は何なのだ?」と言われそうだが、そこはジュニアの季節がBOSJ開催の6月だけではなく、今年は7月、8月とジュニアの季節がまだまだつづくということで納得してもらいたい。

 

 では、オスプレイを語る前に、今回ばかりはいろいろな選手を褒めてみたい。まず、シリーズ前のROH遠征で首を負傷しながら、それを表に出すこともなく、もちろん泣き言ひとつ言わずにリーグ戦を走破したライガー。

 

 たとえば、オスプレイ戦では、日本、アメリカ、イギリス、カナダ、メキシコと世界各国でキャリアを積んだ引出しを開けながらも、息子ほどの年齢のオスプレイに敗れ去った。

 

「あんなやつにどうやったら勝てるっていうんだ?」とライガーも呆れかえるほどに脱帽していたが、反面、ライガーにまた火が点いた。

 

「闘った選手に、レジェンドのライガーとやれて光栄だとか言われてもぜんぜん嬉しくもなんとない。勝てなかったら却って腹立たしいだけだよ。俺はまたKUSHIDAの持つIWGPジュニアに必ず挑戦したい」

 

 あれっ? 前回の挑戦(5・3レスリングどんたく)では「ライガー最終章」と位置付けていたはずなのに……などと揚げ足をとることなかれ。プロレスはナマ物。ライガーのモチベーションがまた高まったのだから、それはそれでよし。まるで時代の新旧交代を目の当たりにさせられた感のあるライガーvsオスプレイ戦だったが、ライガーの「ベストコンディションだったら……」という歯ぎしりが聞こえてくるようだ。

>