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  • 2016.05.12

GK金沢克彦コラム #99

GK金沢コラム連載第99回!! 「『プロレスという生き方』」

三田佐代子さんのプロレスに対する愛の讃歌の集大成が発売!

 前回の当コラムで、この51日をもってワタクシ金沢が業界デビューから30周年を迎えたということを書いた。一方、今年12月で業界デビュー20周年を迎える人物がいる。

 

 199612月より放送開始となった24時間プロレス・格闘技専門チャンネル『サムライTV』にて開局から現在まで、キャスターとして第一線で活躍している三田佐代子さん(以下、三田さん)だ。私自身の曖昧な記憶によれば、当時『週刊ゴング』の新日本プロレス担当記者だった私が、サムライTVのニュース番組(生放送)などに解説で呼ばれるようになったのが、1997年の暮れごろからだったと思うので、三田さんとは1819年くらいのお付き合いとなる。

 19991月に私が週刊ゴング編集長となってからは、ほぼ毎週のように何らかの番組に呼ばれるようになって、相手方のキャスターも三田さんがいちばん多かった。だから、地上波、BSCS放送を問わず、テレビ番組において、私がもっとも数多く共演させてもらった人物が三田さんなのである。

 

 プロレスも格闘技もまったく知らない状況、つまりゼロ、真っ白な状態でこの世界に飛び込んできた三田さんは、謙虚であり貪欲でもあり、努力家であり負けず嫌いでもあった。

 

 たとえば、稀に外国人選手がゲストに登場することがある。そういう場合、通訳が付くか、英語に堪能な記者が解説に呼ばれる。ところが、あるときから通訳は必要なくなった。三田さんが英語で外国人選手に質問をぶつけ、回答を通訳して視聴者に伝えていたのだ。

 

 どういう勉強をしていたのかはわからない。少なくとも、ある日、突然に英語が流暢になるわけはないから、それなりの勉強を秘かに重ねていたのだろう。

 

 また、サムライTVの名物でもある夜の生放送ニュース番組で、毎週一回「格闘技デ」が設けられることになった。格闘技にもそこそこの知識は持っていても、やはりプロレス伝達が本業である。当時のプロデューサーは、「格闘技デー」の日だけ、べつのキャスターを立てようとしていた。だけど、三田さんは「私やれますから、やらせてください」と言って、格闘技団体(興行)をピンからキリまで取材して猛勉強した。

 

 私もこう見えて、じつは格闘技事情に詳しいほうなのだが、キリのほうはサッパリわからない。そのキリの興行の映像が流れているときに、「この選手はこうで、こういうタイプで、前回は●●に勝っていて」と説明してくれる三田さんに、感心した憶えがある。

 

 また、彼女は文才もあった。これも私の曖昧な記憶なのだが、知識もネタも豊富で、プロレスファンから好印象を持たれている三田さんになにか書いてほしい。そう思って、『週ゴング』時代に「サヨコ・アリーナ」というタイトルの連載コラムを書いてもらった。

 

 おそらく、それが彼女にとって最初の文筆業だったのではないかと思う(間違ってたらゴメン!)。そういう歴史もあったので、現在の『ゴング』が復刊するにあたり、私が個人的なコネクションで絶対に参加してほしいと思い、自ら声を掛けてレギュラーになってもらったのが、大川昇カメラマン、フミ斉藤さん、長谷川博一さん、高木圭介さん、そして三田さんの5名だった。

 

 三田さんの特長は、文章に愛が溢れていること。それはとくに、注目度の決して高くないインディー系の試合、選手に焦点を当てたときにピークとなる。だから、その選手のことをよく知らなくても、その試合を観ていなくても、実際に観た以上の強烈な印象を与えてくれる。デスマッチの話題であろうが、その選手の家庭がズタズタになってしまった話であろうが、最後は愛の賛歌に聞こえてくる。

 

 これぞ、三田佐代子である。日本で、いや世界で唯一、女性プロレスキャスターという職業を成立させた人物の凄みなのかもしれない。なんだか、三田佐代子評伝のようになってきた。本題は違って、その三田さんがついに本を出版したことを、ここで紹介したいと思うしだい。

 

・タイトル=プロレスという生き方 平成のリングの主役たち 

・出版元=中公新書ラクレ

・定価=840円(税別)

・発売=59日発売。つまり絶賛発売中

・発売記念イベント=(1)「三田佐代子のここだけの話」514日(土)20時~21時、東京・中井「伊野尾書店」店頭。

2)男色ディーノさんと三田さんの対談。「あなたの心に男色ナイトメア! プロレスはまたなぜ面白くなったのか」525日(水)19時~(1845分開場)、紀伊国屋書店新宿本店 8階イベントスペース 定員50名。

 

 初刊行にして、出版社も書店も協力してのイベントが2連続。なんとも、力がこもっている。おいらなんて、『子殺し』のときも、『元・新日本プロレス』を発売したときもなにもなかったぞ(笑)。辛うじて、両単行本が1カ月あいて、2冊連続文庫化されたときに、ようやく渋谷・大盛堂書店で出版記念トークイベントをやらせてもらった。

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