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  • 2016.05.05

GK金沢克彦コラム #98

GK金沢コラム連載第98回!! 「GW中に観たプロレスの今」

AJスタイルズ、石井智宏、

小柄な男たちが見せるプロレスの凄み

 いま、当コラムに手をつけようと思ったところで、はたと気がついたことがある。デビュー30周年だ。「誰が?」ってワタクシ金沢克彦である。この世界に入って……厳密に言うと、今はなき新大阪新聞社『週刊ファイト』記者公募に合格し、研修と実地訓練のため編集部のあった大阪・福島区のサンケイ総合印刷に初出勤したのが、1986年の5月1日。

 

 あれから、じつに30年。『週刊ファイト』も『週刊ゴング』もなくなってしまったのに、まあ、飽きもせずによくもこうやってプロレス関連の仕事を続けているものだと、我ながら感心してしまう。

 

 これもひとえにファン、関係者のおかげと言いたいところだが、そんなことは微塵も思っていないわけで(※すんません!)、自分自身の頑張りと寛大な嫁さんのおかげ以外のなにものでもないだろう。それが正直なところ。

 

 キャリア30年、50歳を過ぎてしまった自分がやるべきことは、ひとつには歴史を正しく伝えることかと思う。人間はトシをとると、歴史を自分の都合のいいほうに曲げてしまいがち。白がグレーならまだしも、白が黒になっていたりする。そのうえ、トシをとると頑固になるから、それが黒で正しいのだと勘違いであっても思い込んでしまうのだ。

 だけど、歴史の証人となるのは、まだまだ自分の柄じゃない。やはり、今を追い掛けているほうが性に合っているのだ。その今を追い掛けているうちに、いままで興味の沸かなかったものにも関心がでてくる。ここ最近でいくと、女子プロレスとアメリカンプロレスだろう。ルチャリブレは比較的むかしから好きなのだが、女子プロはここ2年ぐらいで会場まで足を運ぶようになった。

 そして、アメプロ、つまりWWEである。これはもう、プリンス・デヴィット(フィン・ベイラ―)、ヒデオ・イタミ(KENTA)、AJスタイルズのWWE(NXT)参戦まではまだ我慢できたのだが、中邑真輔がWWEデビューとなると、もう黙ってはいられない。先月ついに『WWEネットワーク』に入会している。

 

 ちなみに、『新日本プロレスワールド』(以下、新日本ワールド)のほうは、1年ほど前に入会済み。これなら、木谷高明オーナーにも納得してもらえるだろう(笑)。さて、「このゴールデンウィークは仕事をしない」と決めていた私だが、じつにテレビ(動画配信)で、2つのビッグマッチを観戦して、どちらもビンビンに響いてきた。

 

 ひとつは、もちろん新日本プロレスの5・3『レスリングどんたく』(福岡国際センター)。これは友人のS君の家で、5人でワイワイ言いながらテレ朝CS2チャンネルで観戦。期せずして、両国国技館並みのラインナップとなった福岡大会は今年度最高の興行だったように思う。ただ一点、CS放送の枠が午後9時までであり、全10戦・4時間超えのロングラン興行となったために、メインイベントのIWGPヘビー級選手権が試合途中で切れたのはいただけない。

 

 S君も新日本ワールドに入っているから、そのまま新日本ワールドに移行して最後まで観戦できたのだが、テレ朝CSしか視聴できない環境の人は、ストレスたまりまくりだろう。スペシャル中のスペシャルである1・4東京ドーム大会ならともかく、地方ビッグマッチで全10戦の4時間超えは「どうかな?」と思う。バックステージインタビューまでとはいわないが、試合だけは時間枠にキッチリと収まるように試合数を減らすなり、休憩時間をなくすなりしてでも何とか配慮してもらいたい。

 

 私自身、『ワールドプロレスリング』解説陣のひとりであり、提供する側の人間でもあるので、そこらへんを他人事ではなく、両方の立場で考えてしまうのだ。

 

 肝心の試合の充実度に関してはあとで書いてみたい。前後するが、もうひとつのビッグマッチが『WWEネットワーク』で、しかも日本語実況でいち早くアップされた5・1WWE『ペイバック』シカゴ大会。メインは、WWE世界ヘビー級王者のローマン・レインズにAJスタイルズが初挑戦する注目カード。最初からブ―イングを浴びる王者に対して、盛大な「AJスタイルズ」コールを受けるAJ。試合はアメプロらしさというか、一見お約束、悪く言うと茶番的な要因も含みながら、ハラハラドキドキ感満載の勝負となった。

 

 私的観点でいくと、AJという類まれな力量も持ったレスラーによって、不人気王者のレインズまで輝いたように見えた。つまり、AJの掌にあったように思えた。

 

 先のアメプロらしさは、まずAJのリングアウト勝ち、レインズの王座防衛の裁定が下ったときに、ビンスに復帰を認められた格好のシェイン・マクマホンが現れて、「試合続行」を宣言。それによって、試合が再スタート。ところが、今度はレインズのスーパーマンパンチがローブローとなり、レインズの反則負け、タイトル防衛の裁定。そこに現れたもうひとりの最高責任者であるステファニー・マクマホンが「DQ(反則)決着なし」を宣言して試合続行。

 

 2度勝ち損ねたAJの助っ人として、元BBULLET CLUBのカール・アンダーソン&ルーク・ギャローズが乱入してレインズを攻撃。これを見て、宿敵ウーソーズが制裁に入り大乱闘。最終的にリング上では、レインズのスピアーが決まってレインズ防衛成功。

 

 その後、バックステージではビンスも交えたマクマホン家が三者会談。メインの試合がよかったこと、またシェイン、ステファニーの裁定も素晴らしかったと微妙な空気の兄妹を両方とも称えたビンス。結果的に、次回、WWEのPPVマッチとなる『エクストリームズ・ルールズ2016』(5・22ニュージャージー)で、カウントアウトなし、反則なしのエクストリームズ・ルールズ戦で、同一カードのWWE世界戦が決定した。

 

 こうやって事の成り行きだけを連ねていくと、試合じたいは「?」に感じるかもしれないが、やはりAJの素晴らしさが際立って映った。レインズのサイズは192㎝、120kgと公式に記載されている。実際に実物を見たことはないが、目分量でおそらく190㎝前後はあるだろう。一方、AJは180㎝、98kgと記載されている。

 

 これは、今年アタマまでAJを間近でさんざん見てきてからわかるのだが、私の身長が178㎝。AJと面と向かうと、明らかに私の目線が下向きになる。つまり、実際のAJは175㎝あるかどうかで、身体もシェープされているからおそらく90キロ前後と思われる。正直いって、ジュニアヘビーの体格。

 

 もっと言うなら、ジュニアヘビーとして試合をしている選手のなかにはAJよりも大きな選手、重い選手もいるということ。

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