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  • 2016.04.15

GK金沢克彦コラム #95

GK金沢コラム連載第95回!! 「里村明衣子vsアジャ・コング」

4・8仙女10周年記念大会の際立ちすぎたメインイベント

 今週はまる1日遅れの更新になってしまった。理由があるかといえば、理由はある。別の言いかたをするなら言い訳というやつである。まあ、新日本プロレスの4・10両国国技館大会のことを書くなら、どんな角度からでも書けるだろう。ただし、私個人のアメブロで軽く触れているし、次号の『ゴング』(第13号、4月30日発売)でも試合レポートを書くことになっているので、あまり安売りをしたくはない。

 

 ちなみに、この有料サイトのコラムをどれだけの人が読んでいるのか分からない。けっこうな数なのかもしれないし、その存在さえ知らないファンもいるだろうし、会員登録せずに無料で読める部分だけ読んでいる人もいるだろう。私の知るかぎり、マスコミ関係者に関しては3番目の人が圧倒的に多い(笑)。

 そこで、今回のテーマは1週間も前の大会となってしまうが、センダイガールズ(以下、仙女)の4・8後楽園ホール大会について。メインのタイトル戦(センダイガールズワールドチャンピオンシップ)で実現した里村明衣子vsアジャ・コングの15年闘争、通算13度目の一騎打ちがじつに心に響いてきたからだ。いまの女子プロレスの流れ、主流のスタイルとは一線を画す試合にあらゆる意味で重みを感じたからである。

 

 正直、女子プロに関して書くのは多少気が引ける部分もある。というのも私の場合、女子プロの会場に顔を出すようになったのは、ここ2年くらいの話となるから。しかも、女子プロとひと括りで称していながら、ほぼスターダム中心に観てきた。

 30年前、私がこの業界で駆け出し記者(週刊ファイト)として自分のキャリアをスタートさせたころ、全女はクラッシュギャルズを軸に全盛期にあった。その広報担当を務めていたのが、名物男のロッシー小川さん。そのロッシーが代表となり過去の思い出を棄て去り、新たな発想のもとにスタートしたのが、スターダムだった。

 

 つまり、アイドル性と素材を重視して選手を発掘し、有望な選手はたとえキャリアがなくてもどんどん上で使っていくという発想。いままで4~5年掛かっていたところを、1年であってもメインに抜擢する。当然、選手は若い。アイドル視されるし、グッズも売れる。会場の客層は9割がた男性ファンで占められている。この新たな風景は危なっかしさと表裏一体でありながら、じつに新鮮で成功している。

 

 気が付くとスターダムは、ほぼ月イチの後楽園ホール興行が打てる唯一の女子プロ団体となっていた。そこで危なっかしさのほうの象徴的事件が昨年の世Ⅳ虎vs安川惡斗の凄惨マッチだろうし、必然の現象として選手が若返れば若返るほどベテラン勢の居場所はなくなってくる。その最たる例が、高橋奈七永(現・SEAdLINNNG)の退団となるのだろう。

 

 では、本題となる仙女のリーダー、里村明衣子である。女子プロ界の横綱と呼ばれるようになった里村の試合を『GAEA JAPAN』所属時代以来ひさしぶりに生で観たのは、2011年6月25日、新宿FACEで開催された鈴木みのる主催の東日本大震災チャリティー興行のメインイベントだった。鈴木&里村vs高山善廣&栗原あゆみのミクスドタッグマッチ。

 

 鈴木がオファーを出しただけあって、たたずまいも試合態度も「プロレスラーだな!」と感心した憶えがある。次に里村を見たのがスターダムの2014年7月10日、後楽園ホール大会。ワールド・オブ・スターダム王座のV10を賭けて紫雷イオが最強の挑戦者である里村を迎え撃ったタイトル戦。

 

 振り返ってみると、この当時、里村率いる仙女はどん底というか存亡の危機にあった。仙台幸子(引退)が前十字靱帯断裂により9カ月の長期欠場中にあり、仙女の所属選手は里村とDASH・チサコの2人だけ。そこへ、宮城倫子(カサンドラ宮城)が入門してきて、折れそうな気持ちをなんとか奮い立たせているころだった。

 

 私なんかは、そんなことなど知る故もない。とにかく、「やっぱり女子プロ界のひとり横綱は強いな。勝ちはしたけど、イオもまだまだ及ばないなあ」と思っていたしだい。翌2015年、里村が宝城カイリから赤いベルトを奪取した試合、年末に紫雷イオにベルトを奪回された試合をスターダムの後楽園ホールで観た。そこで、いちばん驚いたのは、里村に対する観客の支持が抜群に高いこと。里村にとってアウェーのリングであり、スターダム側から見れば最強の外敵となる。

 

 それにも関わらす、里村へ飛ぶ声援のボルテージの高さはスターダムのトップ勢たちへ向けられるものと変わらないのだ。

 

 やはりファンにも自然と伝わる。この人は強い、この人は信頼できる、この人に任せておけば宝城も岩谷麻優ももっともっと成長できる。言葉に代えるなら、そんな感じだろうか? そして昨年末、里村はイオに敗れて赤いベルトを失った。今年の3・21後楽園ホールでは、意外にも宝城と急造コンビを結成してサンダーロック(イオ&岩谷)のタッグ王座に挑んだが敗れている。

 

 この一戦をもって、しばしスターダムのリングからはお別れ感が漂ってきた。約1年にわたり、里村がスターダムのリングに上がったことは双方にとってメリットがあったと思う。まず、里村絡みでタイトルマッチを組めば、スターダムの後楽園ホールの集客は伸びる。さらに、選手も成長する。これがスターダム側のメリット。

 

 里村からすれば、仙女の地元は仙台だから、どうしても東京での活動に不利な点が出てくる。そこでスターダムの後楽園ホールに上がることは絶好のパブリシティーとなる。実際に、仙女が昨年1112日に開催した後楽園ホール大会の盛り上がりは凄まじかった。ラインナップのメインは、仙女vsスターダムによる6vs6勝ち抜き戦。

 

 結局、スターダムが勝利を飾ったものの、この対抗戦によって仙女のル―キー3選手(橋本千紘、カサンドラ宮城、岩田美香)の存在と実力をファンにお披露目することに成功したのだ。今回はそれ以来、5カ月ぶりの仙女の後楽園ホール大会。私自身、仙女の大会を生観戦・取材するのは二度目のこと。

 

 今大会にスターダム勢の参戦はなく、代わって因縁の生まれたSEAdLINNNGの高橋、世志琥(世Ⅳ虎あらため)が参戦してきた。

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