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  • 2016.03.19

GK金沢克彦コラム #91

GK金沢コラム連載第91回!! 「藤田和之、動く!」

本気の藤田、最後の勝負へ! 4・17『RIZIN.1』でプロハースカ戦決定!
 藤田和之が動きだした。2年4カ月ぶりに上がるMMAの舞台は昨年末に旗揚げされた『RIZIN』のリング。4・17名古屋・日本ガイシホール大会(トップPresents RIZIN.1)のメインイベントに登場する。対戦相手は、イリ―・プロハ―スカ(チェコ共和国)。23歳でまだ無名に近い存在だが、昨年末の『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015 100㎏級トーナメント』で準優勝という戦績を収めている。

 ハッキリ言って、実力はさておき知名度という点が引っ掛かるから、これまでの藤田ならオファーを受けない相手となるだろう。そこで決め手となったのは、同トーナメント1回戦で当たった石井慧をわずか1分36秒でKOしている実績である。

 

 一方、藤田は2年4カ月前、2013年の大晦日に『INOKI BOM-BA-YE 2013』(両国国技館)でIGFチャンピオンシップとして、石井とIGF・MMAルールで闘い、3-0の判定負けを喫している。まあ、そこを突っ込んでいくといろいろと表事情や裏事情がある。急遽決定した一戦ということで、藤田がMMA用の練習をほとんどできなかったこと。2ラウンド目の石井のローブローがあまりに強烈に入り、藤田が悶絶してしまったこと。結局、コーナーに追い込まれた藤田が、石井のパンチを人間サンドバッグのように浴びまくりながら、仁王立ちで耐え抜いて、15分タイムアップの決着。

 

 石井の判定勝利が告げられた。もう、これも時効だからいいと思う。当日、私は取材には出向かなかった。それを知っていた藤田は、試合後、夫人の運転する車で帰路に就く中、電話をかけてきた。もちろん、サイトなどはチェックしていたので、私も結果は知っていた。

 

「まったく2回も金的ですよ。モロですからね。いや、ホント子ども3人目を作っておいてよかったなあって(笑)。ただ、ベルトを持っているとやっぱり身動きできなくて不自由だったし、彼もベルトを獲って自覚を持ってがんばってくれたらいいですしね。素材は最高なんですから。ところで、金沢さんにお願いがあるんです。1月4日の東京ドームを観に行きたいんですけど、なんとかなりませんかね? 桜庭さんの応援に行きたいのとグレート・ムタの入場が観たいのと、あとこの年末年始、息子をどこにも連れていってあげられなかったので、遊園地と東京ドームに連れていってあげたいんです」

 

 1・4ドームは4日後だ。さすがに、これは厳しいかもと思いつつ、ダメ元で新日本の某役員の方に直接電話を入れてみた。事情を話すと、最初は少し警戒されてしまった。というのも、新日本プロレスとIGFにはどうにも過去の因縁が残っているし、新日本サイドはそこにいまも嫌悪感を抱いているからだ。

 

「IGFさんは関係ないんですね? 藤田選手個人のお話ですよね?」と念を押されたうえで、アリーナのまん中ぐらいであれば席を作れるということで了解してくれた。

 

 なんだかんだ言って、新日本は懐が深いなあと感心したし、藤田も感謝感激の様子で、当日ドームに入ってから関係者控え室を訪ねて御礼と挨拶、さらにケイタリングルームでは坂口征二相談役から、「おお、藤田。大晦日、よくやったな。いい試合だったぞ!」と褒められて恐縮しまくり状態だった。

 

 そのとき、じつは私がいちばん驚いたのは、藤田の顔だった。大晦日の試合翌日、つまり元日に私の携帯電話に送られてきた写メの本人画像は悲惨なもの。洒落にならない感じなので、だれにも送信できないような絵柄だった。だれが見ても、その被写体が藤田和之だとはわからないほどに人相が変わっていたのだ。

 

「こんな顔になっちゃいました」と笑い話のような一文が添えられていたが、とても笑えない。まるで特殊メイクを施しているかのようにボコボコに腫れあがっていたからだ。

 

 ところが、その3日後、東京ドームにやって来た藤田の顔はほぼ元に戻っていた。「ああ、まだ目元が腫れてるねえ」ぐらいのレベル。本当に、人間の治癒力というか、回復力の凄さを藤田という人間を通して思い知ったわけである。

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