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  • 2016.01.28

GK金沢克彦コラム #84

GK金沢コラム連載第84回!! 「CMLLのお年玉、カマイタチvsドラゴン・リー」

日本のファンのハートを完全に掴んだCMLLの名物カード!

 今年で6年目を迎えた新日本プロレスの『CMLL FANTASTICA MANIA 2016』は、新日本のV字回復をそのまま象徴するかのように全6戦、超満員札止めの観客動員を記録した。

 

 もちろん、中邑真輔のお別れシリーズという意味合いもあるから、“真輔効果”も相当あったろう。

 私個人は後楽園ホール3連戦のうち、22日の初戦と24日の最終戦の2大会を取材した。まず、イチバンに感じたのは過去の5大会と比べて、徐々に客層が変化してきたなと思ったこと。

 

 昨年まではやはルチャリブレ・マニアが多く駆け付けてくるので、ふだんの新日本の後楽園ホール大会より男性客が多く、年齢層も若干上がっているように見えた。ところが、今年はいつもの新日本ファンも多く目についたし、女性客が例年より増えていたように感じた。

 

 しかも、驚くほど反応がいい。リング上と客席のキャッチボールが見事に成立しているのだ。自称ルチャ好きの私でも、初来日のルチャドールのムーブや得意技まではよく知らないのに、そういうシーンになるとしっかり観客が沸くのである。無論、基本的にみんなルチャというジャンルを自然に受け入れて楽しんでいる。

 

 これはけっこう新たな発見だった。ビギナーの女性ファンのことを、プ女子などと、いかにもにわかファンのように称して侮っていてはいけないと思った。彼女たちはどこまでも貪欲なのだ。ルチャに関してもしっかりと事前知識が頭に入っており、大方のマスコミ関係者よりもよっぽどルチャ事情に詳しいのだ。

 

 ふと思い出したのが、日本に初めて本格的なルチャを持ちこんだ懐かしのユニバーサルプロレス。あの会場にはかつて感じたことがないほど、観客の一体感があった。これで、もし“おひねり”のコインが投げ込まれたなら、ユニバーサルの会場そのものであるような錯覚も憶えたことだろう。

 

 いかんいかん、また思い出に浸ってしまった。時計の針を20年進めて元にもどそう。

 

 とにかく、6年目にしてここまで大会が盛り上がったのだから、日本のプロレス団体のフロント関係者のなかで、もっともルチャを愛する男である菅林直樹会長がニンマリするのも当たり前。これまでは、1・4東京ドームのあとに組まれる肩の力を抜いたファンサービス、マニアサービス的なシリーズだった『FANTASTICA MANIA』が、堂々たるドル箱シリーズとなったわけである。

 

 そこで、今週の本題へ。全6戦の最終戦においてまさに過去最高、ルチャの枠をも超えたといっていい名勝負が生まれた。各方面で絶賛されているからもうおわかりだろうが、ドラゴン・リーvsカマイタチのCMLL世界ライト級選手権である。

 

 この一戦の素晴らしさ、前評判は聞いていたし、断片的ではあるがネットの動画でも観ていた。しかし、その予想の範囲、想像の範囲を軽く超えて、ホールは大爆発し、興奮の坩堝と化した。

 

 私も観ていてゾクゾクときたし、何度も近くの関係者と目を合わせて、「スゲェー!!」と言い合った。もう、放送席のゲスト解説についたライガーばりに、みんなが「スゲェー!!」、「スゲェーー!!」の大合唱。

 

 最後にカマイタチが大逆転のカナディアン・デストロイヤーで王座奪取を決めた瞬間など、思わず近くにいた下田美馬ネエサンとハイタッチを交わしてしまったほど。

 

 日本マットに直輸入されたCMLLの名物カードは、完全に日本のファンのハートを鷲掴みにしてしまったのだ。

 

 会場で週刊プロレスの佐藤正行編集長の姿を見かけたから、私は、「佐藤編集長、これ表紙にしなきゃダメでしょう!」と本気と冗談半分で話しかけようと思っていたのだが、その後、佐藤編集長の姿を見失ったので言えなかった。

 

 ところが、今週の週プロの表紙は見事に、カマイタチのベルト奪取シーンだった。さしてルチャには興味がないだろうと思っていた佐藤編集長がそれをやったのだから、これもまた快挙かもしれない。いやいや、そこまでこの一戦は万人の心を捉えたのである。

 

 さて、さかのぼればカマイタチの電撃帰国、前日(23日、後楽園ホール)の乱入劇は超サプライズだった。というのも、マスコミはもちろんのこと、新日本関係者でもカマイタチ帰国の情報を知るものがほとんどいなかったのだ。ある意味、これはCMLLが仕掛けた最高のお年玉である。

 

 正直に言うなら、今シリーズのカード編成に関しては多少肩透かしの感もあった。せっかくドラゴン・リーが初来日するのに、宿敵であるカマイタチの名前が来日リストにないこと。さらに、ルーシュ3兄弟の次男である二代目ミスティコと三男のリーのタッグが見られないこと。それがあっただけに、カマイタチの電撃凱旋はよけいにドラマチックだった。噂の名勝負数え唄が日本で突発的に実現するのである。

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