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  • 2016.01.22

GK金沢克彦コラム #83

GK金沢コラム連載第83回!! 「イオと『あまちゃん』」

“横綱昇進”がかかった宝城カイリとの大一番! 

イオは女子プロレスの横綱になれたのか?

 毎週木曜日更新の当コラムなのに、またまる1日更新が遅れてしまいました。大変、申し訳ないです。じつは……風邪をひいて発熱し寝込んでいました。身体中だるくて動けないのでインフルエンザかと思ったら、そうでもないようで約30時間、加湿器をガンガンにつけて寝ていたら熱が下がりました。

 

 ちょうど、『ゴング』vol.10の校正を終えたあとだったから、まだよかったなあと。そう言えば、『週刊ゴング』時代に編集部が凄まじい状況に見舞われたことがあった。11年前の2005年2月だったと記憶している。そのころ、長き沈黙を破って前田日明がマット界に帰ってきた時期。前田が名古屋で開催される空手大会のゲストに招かれており、その前日なら名古屋で単独インタビューが可能ということで、私は名古屋へ飛んだ。すでにそのときどうも熱っぽいなあと思っていたのだが、名古屋の某空手道場で取材を終えて、その後、食事会となり道場主宰者の計らいで焼肉を思う存分いただいた。

 前田の勧めで初めてマッコリを呑んだのもそのときだった。宴はそうとうに盛り上がり、前田も饒舌だった。そこで出てきた言葉が、これ。道場師範が「いままで対戦した日本人レスラーで一番強いと思ったのはだれですか?」と訊ねたとき、「それは長州力だね。腰が重くて押しても引いても動きやしない」と前田が即答したのだ。

 これには驚いた。「うーん」と考える間もなく即答だったのだから。このひとことを聞いただけでも泊まり込みで名古屋まで来た甲斐があったというもの。ところが、翌日の日曜日、体調最悪で編集部に帰る羽目になった。途中、購入した体温計で熱を測ってみると38度。この前田インタビューには、空手大会視察の模様と併せて表紙、巻頭カラで全10ページとってある。

 

 編集部に戻ってみると、これがまた阿鼻叫喚の地獄絵図(大げさ!)。あちこちで、ゴホゴホッと咳が響き、ズズッと鼻をかみつづけるもの、おでこに冷えピタを貼っているもの……などなど編集スタッフのほとんどが風邪ひき状態。そのなかにはインフルエンザも2名。最悪だったのが、エースデザイナーのD君もインフルに感染していたこと。

 

 いくら記者がいようとカメラマンがいようと、デザイナーがいないことには本は絶対にできない。インフルで高熱を発したまま、このD君は徹夜で20ページ以上のページを手掛けた。そのときD君に掛けた言葉は、「もしキミが死んだらみんなで立派な葬式を挙げるから、死ぬときはこの本を仕上げてからにしてほしい!」と言うもの。私のブラックジョークにみんな少しだけ笑ったが、当然のようにいつもほどの元気はなかった。私も実質、校正作業を含めて2日間徹夜状態。熱は最高で39・5度まで上昇していた。

 

 唯一の救いが、風邪薬とインフルエンザの薬だけは薬局なみに豊富にあったこと。そのなかで、ひとつの境地に達したような気がした。もの凄く身体がだるくて、凄まじく辛いのだが、人間はそういう状態にも慣れてしまうということ。39度も熱がありながら、その状態がふつうと思えば意外に慣れてしまうのだ。

 

 もしかした、あのとき一緒に苦悶、悶絶しながら『週刊ゴング』を作っていた仲間たちは、同じ心境にいたのかもしれない。おそらく、いま初めて書くことだと思うが、あのとき手掛けた『前田日明大特集!』は、当時の出版不況、プロレス誌不況のなかでは異例ともいえる数字、実売数=6万8000部を記録した。デザイナーのD君も数日で復帰してきたし、終わってみれば万事OK。めでたしめでたし、なのであった。

 

 そこで、今週の本題である。強引に発熱つながりでいうなら、当日38度の高熱を押してリングに上がり、ケイ・リ・レイというかなりできる外国人選手を相手にハイスピード選手権2度目の防衛に成功した岩谷麻優。

 

 その試合がセミにあったスターダムの5周年記念大会、1・17後楽園ホール大会について書いてみたい。といっても、この日の最注目カードはもちろんメインイベントのワールド・オブ・スターダム選手権、スターダム最高峰決戦と銘打たれた紫雷イオvs宝城カイリの一騎打ちにあった。

 

 昨年の1223後楽園ホールで前王者にして、女子プロ界のひとり横綱と称される里村明衣子(センダイガールズ)から完璧な3カウントを奪い、スターダムにベルトを奪還したイオ。そのイオを称えつつも、「私は二番は嫌なんです!」とガッチガチのマイクパフォーマンスでイオへの挑戦をアピールした宝城。もともと里村にベルトを奪われたのは自分なのだから、奪還するのは自分の役目だと主張し続けていた宝城だが、里村が挑戦者に指名したのは1年半前に敗れているイオ。

 

 そういった表裏ともに退くに退けない女の闘いを経ての、団体内最高峰決戦となったわけだ。同時に、私自身が勝手に付けていたテーマは、イオの横綱昇進が懸かった一戦。昨年、あの里村を相手に堂々たる試合内容で勝利を収めたわけだから、それをもって横綱昇進でもよかったと思う。

 

 ただ、たまたま試合を一緒に観戦していた村田晴郎アナウンサー(サムライTVのDDT中継やスターダム中継の実況でお馴染み)が、「横綱昇進でもいいと思うんですけど、横綱って2場所連続の成績で判断されますからね」とポツリと言ったことから、私もこの宝城戦がイオの横綱昇進が懸かった大一番だと勝手に決めていた。

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