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  • 2015.12.24

GK金沢克彦コラム #79

GK金沢コラム連載第79回!! 「活気づきそうな予感のする新日ジュニア戦線」

80年代後半の新日ジュニアの匂いがしたタイガーvsライガー

 今年2015年度の新日本プロレスの試合がすべて終わった。両日とも超満員札止めとなった121819の後楽園ホール大会2連戦がラストマッチ。じつのところ、まったくそういう意識・認識を持つことなく2日間の取材に出向いていた。だから、19日のメインイベント(棚橋弘至&柴田勝頼vsオカダ・カズチカ&石井智宏)で柴田が石井をフォール。有終の美というカタチで棚橋がマイクを手に、「後楽園ホールのみなさん、愛してま~す!」と叫び、雪が降り注ぐ演出を見たとき、「あ、今年はこれでフィナーレなんだ!」と初めて気付いたしだい。

 

 自分の感覚の中では、1223日とか24日に選手会興行とかラストのワンマッチ興行があって1年が終わり、間近に迫った1・4東京ドーム大会へ向け大いに気勢を上げる。多少無理やり感が伝わってくるほどにパブリシティーするというのが、新日本年内ラスト興行の感覚となっている。

 

 ただし、日程的な面でいうと、先シリーズの『ワールドタッグリーグ』戦が12・9仙台サンプラザホールで最終戦を迎えても、なか1日空けただけで、次の『Road to TOKYO DOME』に突入し、9日間で6大会を選手たちはこなしているのだ。それを考えると、1・4ドームまできっちり2週間休めるのはいいことだなあと、今さらながら感じる。無論、棚橋や真壁といった人気どころはリング外の仕事にまだガンガンと駆り出されるのだろうが……。

 

 ただ、もうひとつ、1819の2連戦に今年最終興行という感覚が薄かったのは、興行自体もそうだし、選手たちがごく自然体で試合に臨んでいたように感じたからなのだ。この自然体とは、もちろんいい意味である。

 

 1・4東京ドームは新年度の始まり、2016年の1発目の興行でありながら、実際のところ選手にとってはこの1年の集大成であり、一応の区切りとなるゴール地点でもある。そこへ向けて、やるべきことはすべてやってきたし、この2連戦を思い残すことなく終えて、ゴールへ向かうだけ。そういった心構えがとっくに出来上がっているから、特別に浮いた存在も出てこないし、いつもどおり全力のプロレスを披露するだけ。目標が定まっているからこそ、選手たちがみんな達観しているような雰囲気も伝わってくる。この達観という表現も、もちろんいい意味で使っている。

 

 試合内容は両日とも見応えがあったし、とくに2日目のメインの白熱ぶりは凄まじかった。後楽園ホールが大爆発するなか、見事な連係で棚橋&柴田が勝利を飾っている。こういう試合を見るにつけ、私もトシのせいなのか(笑)、少しばかり感傷的な思いも沸いてくる。例えばほんの5年前に、だれがこんなメンツを予想できたろうか? 棚橋はともかく、5年前となるとオカダは米国武者修行中だったし、柴田は総合格闘技のリングに上がっていた。石井はCHAOSの斬り込み隊長のような立場でタイガーマスクや井上亘(引退)と抗争を展開しており、ベルト戦線にはまだ程遠い位置にいた。

 

 その4選手が新日本マットの中心軸にいて、超満員の観客から大喝采を浴びているのだ。

 あ、いけない、まずいぞ。もし5年前とか言いはじめると、年寄りくさいし、辛気くさくなるばかりだ(笑)。そういう懐古趣味が入り混じった話はもうやめておこう。

 ここからが、本題。この後楽園ホール2連戦から感じたことや、新たな発見について書いてみたい。まず、両日とも第1試合に出場した“青い目のヤングライオン”ジェイ・ホワイトが抜群によかった。この選手は逸材だ。外国人留学生としては、スコット・ホールの息子であるコーディ・ホール、デーブ・フィンレーの息子であるデビッド・フィンレーと血統書付きの2人にどうしても目がいってしまう。実際、2メートル近い長身ながら運動神経抜群のコーディ、若き日の親父さん(デーブ)そっくりのフィンレーも出世すること間違いなしだと思う。

 

 ただし、ホワイトの場合はとんでもなく化けるのではないかと私は予想している。イギリスでデビューしてから約3年、新日本の入門テストに合格しデビューしてからは1年未満で、現在23歳。腹筋がボコボコに浮き出たアスリート体型でまだ線は細いが、腕脚が長く、身長は186cmある。あと10kgもウエートアップすれば、堂々とヘビー級戦線で通用するだろう。スピードがあって、バネがあって、跳躍力も素晴らしい。まず目を見張るのはドロップキック。そこに被るのは、オカダ・カズチカの姿である。3年後にはオカダのようなファイターに化けているかもしれない。それに、けっこう日本語がウマイ。

 

 19日には第1試合の6人タッグ(獣神サンダー・ライガー&KUSHIDA&ホワイトvsタイガーマスク&田口隆祐&フィンレー)終了後、テレビカメラに向かって日本語を披露した。

 

「このリングはオレのリングだ。アリガトウゴザイマシタ」

 

 やっぱり、日本語がウマイ! 噂によると、かなりのレベルで話も理解できるらしい。そこもまた向上心の表れ。日本で成功したい、という強い意志の表れだろう。

 

 いま、私のイチオシ外国人レスラーは、無名から成り上がろうとしている“逸材”ジェイ・ホワイト。この選手は必ずブレークする。ぜひ、注目して見守ってもらいたい。

 

 そして、強いて2連戦の主役をクローズアップするなら、私的には両日ともジュニア戦士たち、ジュニアのタイトルマッチを挙げたい。初日は王者・タイガーマスクの要望が叶って、ライガーの挑戦を受けるNWA世界ジュニアヘビー級選手権が行なわれた。結果的にタイガーがリバースアームバーで逆転勝利を収めているが、これが重い重いジュニアの試合となった。終わってみればタイムは1056秒と、タイトルマッチとしては短時間だったが、それを感じさせない重厚な闘いだった。

 

 これが覚悟の表れか、現代ジュニア戦士たちへの無言のアピールであり問い掛けなのか、ライガーは目の部分が大きく空いたマスクを着用し、上半身裸のバトルバージョン・ライガーで登場。その肉体の張りと筋肉のうねり具合に観客は息を飲んだ。いやはや、これが51歳の肉体なのか!? ファン同様に、ほぼ同年代の私も呆気にとられた。

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