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  • 2015.12.12

髙阪剛が語る『UFC194』UFCミドル級タイトルマッチ、クリス・ワイドマンvsルーク・ロックホールドの見どころ

日本時間の1213日(日)にアメリカ ネバダ州ラスベガス、MGMグランド・ガーデンアリーナで開催される『UFC194』。同大会では正規王者ジョゼ・アルドと暫定王者コナー・マクレガーによるUFCフェザー級王座統一戦という、超大一番が組まれているが、さらにもう1試合。クリス・ワイドマンvsルーク・ロックホールドのUFCミドル級タイトルマッチも組まれている。ここでは“世界のTK”髙阪剛に、このミドル級頂上対決の見どころを語ってもらった。

聞き手:堀江ガンツ
アンデウソン戦でワイドマン自身は「俺は覚醒している」ということを確信していた

──UFC194』では、UFCフェザー級王座統一戦、正規王者ジョゼ・アルドvs暫定王者コナー・マクレガーという、今年度最大の一戦が組まれていますが、その同じ大会で、クリス・ワイドマンvsルーク・ロックホールドのUFCミドル級タイトルマッチが組まれているというのが、とんでもないですよね。

 

髙阪 ダブルタイトルマッチというのは、これまでも何度かあったとはいえ、これはちょっとダブルすぎますよね(笑)。

──盛りすぎだろう、と(笑)。こちらのミドル級タイトルマッチも、待望の頂上対決ですからね。

髙阪 チャンピオンのワイドマンは、アンデウソン・シウバに勝った時点ではまだ、「ひょっとして、それはラッキーな部分があったんじゃないか?」みたいな見方があった気もするんですよ。

 

──連勝してますけど、初戦はアンデウソンが余裕を見せすぎてのラッキーパンチみたいな見方がありますし、二度目はローキックを放った際のアクシデントだったみたいな見方も、なきにしもあらずでしたよね。

 

髙阪 でも、そのあとの試合を観たら「こいつは本物だな」と思わずにいられないですよね。リョート(・マチダ)との試合とか、あのリョートに自分の試合をさせないというカタチで勝利したこと自体、UFCを観ている人ならば、よりそう思ったんじゃないかな。

 

──あの攻略が難しいリョート相手に、自分の試合を貫いたわけですからね。

 

髙阪 だからワイドマンは、アンデウソンとやる前から、そういう成熟をしていたんだと思いますよ。それを見る側は半信半疑ではあったけど、本人はそれに気づいていて。だからこそ、あのアンデウソンに対して、あれだけ自信満々で向かって行けたんだと思うんですよ。

 

──普通、アンデウソン相手だったら、警戒してなかなか前に出られなかったりするもんですよね。

 

髙阪 そうですね。当時の無敵と言われたアンデウソンと向かい合ったら、誰だって警戒して、後手に回ってしまってもおかしくないんですよ。でも、ワイドマン自身は「俺は覚醒している」ということを確信していたから、ああいう試合ができたし。リョートとの試合も、「自分が持っているものを出せれば勝てるよ」というメンタルで、試合ができたんでしょうね。

 

──そして次のビクトー・ベウフォート戦なんて、あのビクトーを子ども扱いでしたからね。

 

髙阪 そうなんですよね。立ちも強くて、寝てもできる。しかも、いまのMMAに凄く、自分なりの技術や動きをちょいちょい挟んでる感じがしますよね。たとえば、急に足関節にいったりとか。それで極めようというだけじゃなく、それをすることで、相手にちょっと錯乱状態を起こさせるというのを、もしかしたら作戦として組み込んでるのかもしれないですね。だから要所要所、「これで勝負決をめる気ないだろう?」という動きや技を出すんですよね。だけど、相手はそれにいちいち反応してしまうので、そうすると普通のワンツーがキレイに入ったりするんですよ。

 

──そういう仕掛けがフェイントになってるわけですね。

 

髙阪 なんか、そういうようなことができてるんですよね。

 

──では、いまだまだ、そこまで強さが浸透していないですけど、すでにとんでもない王者になってるかもしれないですね。

 

髙阪 だから、見てる人に伝わってるかどうかはわからないですけど、やる側にとっては、試合中に恐怖を感じる相手ですね。要は何をしてくるかわからなくて、なおかつ基本的な攻撃が凄く強いんです。 

UFCに上がっている選手は、チームを挙げて相手を研究して攻略法をみつけて闘ってますけど、ロックホールドはその典型的な選手

──ただでさえ強いのに、動きが読めないわけですね。ただ、対戦相手のロックホールドも、ここのところの充実ぶりはとんでもないですよね?

 

髙阪 そうですね。

 

──それこそ、あのリョートが1ラウンドでボコボコにされて、2ラウンドでリアネイキッドチョークを極められて完敗ですからね。

髙阪 あとは、マイケル・ビスピンに勝った試合(2014.11.8『UFC Fight Night』2R 0分57秒、ギロチンチョークで勝利)とか、そのあと後日談的なことを語ってる番組を見たんですけど。要はハイキックを打つために、いろいろ仕掛けをして、ビスピンの癖を見抜いて、いわゆるブラジリアンキック(ミドルキックのフェイントからのハイキック)を当てることに成功したんだと言ってたんですよ。それを軸にして試合を構築していったらしいんですけど。いま、UFCに上がっているファイターは、チームを挙げて相手を研究して攻略法をみつけて闘ってますけど、その典型的な選手なんだな、という印象を受けましたね。

 

──こちらは、ただでさえ強いのに、試合前に「傾向と対策」がしっかり練ってきているから、より強いわけですね。

 

髙阪 そうなんですよね。

 

──まあ、そういうチーム力が強いからこそ、ロックホールドが所属している名門AKA(アメリカン・キックボクシング・アカデミー)は、重いクラスのトップを総なめにしてるんでしょうね。

 

髙阪 そういうことですよね。ある種、大型の選手を育てる、新しい機関になってるのかもしれないですね。

 

──だからワイドマンvsロックホールドは、基本的な能力がもの凄く高い選手同士の対戦だからこそ、ワイドマンはどれだけ予想できない動きをするのか、ロックホールドはどれだけそれを予測できるほどの研究をしてくるのか、その闘いになりそうですね?

 

髙阪 まさにそうですね。技術、体力、精神力がすべて高い選手同士なので、チームを挙げた総力戦になってくるでしょうね。

 

──いや~、ミドル級も恐ろしい階級になってきましたね。

 

髙阪 いや、凄いですよ。タイトルマッチをやるような選手は、もうすでにみんな隙がない。付け入る部分がなくなってきている。だから、相手にどうやって、付け入る部分を試合の中で作り出せるのか。そういった闘いになっていくだろうし、特殊なものを持っていないとベルトを巻けなくなってますね。今回のワイドマンvsロックホールドというのは、そういう闘いだと思います。

 

──では、ジョゼ・アルドvsコナー・マクレガーともども、世界最高峰の闘いを堪能しましょう!

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