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  • 2015.12.04

GK金沢克彦コラム #76

GK金沢コラム連載第76回!! 「オカダに宿った天龍イズム」

GK、博多に上陸!! 
地方大会で目撃したレインメーカーの姿とは?

 12月1日、突然にして福岡出張に行ってきた。目的は、新日本プロレスの博多スターレーン2連戦の2日目……ではなく、その大会に出場しているIWGP王者、オカダ・カズチカを取材するため。オカダインタビューのためだけに、私は福岡まで飛んだのである。

 

 なんという近年稀に見る贅沢極まりない旅行、いや仕事であろうか(笑)。まず経緯を簡単に説明しておく。このインタビューは週プレからのオファーである。週プロではなく、週プレ。つまり、週刊プレイボーイ(集英社)。私の場合、じつは週プレさんとはけっこう付き合いが深い。というのも、あの大ヒットをかましたDVDマガジン『燃えろ!新日本プロレス』シリーズの発行元は、集英社であり、その実質的な担当者がNさんだった。私はNさんから『燃えプロ』シリーズのアドバイザーを依頼されて、DVD収録メニューの原案となる企画書を毎回作成していたり、冊子のほうでも試合の見どころを解説したり、事件簿のコラムを寄稿したりと、2年半ぐらいにわたり一緒にかなり濃密な仕事をこなしてきたのである。で、もともとNさんのメインの仕事は週プレ編集者。この『燃えプロ』での仕事によりかなりプロレス熱が高まったNさんは、それ以降もたびたび週プレで新日本プロレスを中心としたプロレスものを扱うようになり、今回は来年の1・4東京ドームへ向けてのドーム特集を週プレ年末号で組むことになった。

 

 今回のメイン企画は3選手をクローズアップしてのインタビューもの。『2016年、正念場を迎える男たち』という共通タイトルのもと、オカダ・カズチカ、内藤哲也、本間朋晃の3選手が取材ターゲットに決まった。この人選も一般誌としてはなかなかの冒険かもしれないが、私から見てもベストな人選だと思う。ふつうに知名度のある人気選手となると、黙っていても、棚橋弘至、中邑真輔、オカダのスリートップとなってしまう。

 

 そこから一歩踏み出して、お茶の間での人気と会場人気は抜群ながら結果を求められている本間、正統派ベビーフェイス路線を捨てて新たなスタイルを確立させつつある内藤、さらにIWGP王者ながらつねに東京ドームの舞台で煮え湯を飲まされてきた感のあるオカダ。この3選手をフォーカスするというのだから、「Nさんもかなりのプロレス者になってきたな!」と感心したし、インタビュアーの依頼も二つ返事でOKしたしだい。

 

 ところが、Nさんも一般的なカレンダーは頭に入っていながら、新日本のスケジュールがまだ頭に入っていなかった。つまり、取材に動きだそうとしたときに、すでに新日本は『ワールドタッグリーグ戦』開幕直前であったのだ。

 

 こうなるとバタバタである。なんとか新日本サイドも選手のスケジュールの空きを見つけてくれて、まず本間に関しては20日の昼間に後楽園ホールで開催された『ワールドタッグリーグ戦』前夜祭会見終了後に、後楽園ホールで写真撮影してから近場のレストランでインタビュー。内藤は翌日の後楽園ホール開幕戦で早く会場入りしてもらい、展示室のグッズ売場の一角に設けられたサイン会スペースを提供してもらってインタビューし、その後、会場内で撮影した。

 いいなあ、このバタバタ感。まるで、『週刊ゴング』どころか、『週刊ファイト』時代に戻ったかのようだ。ファイト時代なんて、自分でカメラを持って関東近辺の会場に早めに出向き、目的の選手にその場でインタビューを頼んで、それから会場にいる広報スタッフか坂口征二社長(当時)に直接許可をもらって、インタビューしたりしていた。カメラマンが同行できないときは、もちろん私がインタビュー用の絵を下手くそながら撮っていたのだ。

 

 そんなときの時間に追われたバタバタ感を思い出し、「こりゃ懐かしいし楽しい」と思っていた。ところが……オカダの日程がとれない。なかなかとれない。そこで、新日本サイドが唯一スケジュールのとれそうな日程を示してくれたのが、シリーズ中の福岡2連戦だった。1130日、12月1日が博多スターレーン大会で、翌2日がオフ日で熊本へ移動。3日が熊本大会。つまり2連戦の2日目の試合前なら選手たちも余裕があるので、「そこでどうですか?」というわけである。

 

 つまりは、オカダのインタビューのためだけに福岡へ行くということだ。そこで、ふつうにゴ―サイン(※わりと死語?)が出てしまうのが、週プレの凄さ(というか、大手たる集英社の凄さだね!)。ただし、Nさんはべつの仕事が入っているため行けない。Nさんに飛行機とホテルの手配、取材の段取りをつけてもらい、私とフリ―のベテランカメラマンHさんが2人で、1日午前1005分発のJAL便で羽田空港を発ったわけである。

 

 予約してもらったホテルは、市内キャナルシティのワシントンホテル。最近かなり敷居の高い部類に入るホテルで、私なんぞは過去に利用したことがない。ふた昔前は新日本の定宿であり、福岡ドーム大会が開催されていた時期に、キャナルシティ広場で前夜祭のイベントが行なわれていたこともある。当時、プロレス人気も高く凄まじい人だかりができていたのをよく憶えている。

 

 ホテルに到着したのはチェックイン可能時間(午後2時~)の30分前だった。ロビーに入っていくと、いきなり石井智宏とYOSHI-HASHIにバッタリ。

 

「あれ、トモここのホテルなの?」

「はい、CHAOSだけここです」

 

 苦節何年か知らないが、いま新日本もふつうにキャナルシティのワシントンホテルを使うようになったか! ちょっと驚いたし、感慨深くもあった。その一方で、本隊の選手たちはいつも使うホテルが工事中で、その別館に宿泊したが、ここにはシャワールームがなくて、みんなホテルの大浴場を使っていると、あとで知った。外国人選手たちもそこだと言う。大浴場にAJスタイルズや、ドク・ギャローズが浸かっている光景というのはかなりおもしろい。その一方で、カール・アンダーソンは温泉や大浴場がよく似合いそうだから不思議だ。だけど、タマ・トンガが入ってきたら一般のお客さんは逃げ出しそうな気もする。

 

 それにしても、これでは完全な旅日記ではないか? これでもコラムと言うのだろうか、そろそろ疑わしくなってきた。だけど、もうひとつだけ、どうしても書いておきたい笑い話があるのでお付き合い願いたい。

 

 チェックインタイムの30分前だけど、私たちは問題なくチェックインできた。その際、フロントのお姉さんが「本日、シングルルームがいっぱいのため、多少広いお部屋を用意させていただきました」と言う。まあ、値段は同じだしよくあることだ。ところが、部屋に入ってみてビックリ! 広い、デカイ、なによりベッドが3個ある。しかも余裕をもって3個ある。

 

 ツインならよくあることだけど、これは凄い。長いソファーまで余裕であるし、もしかして、これはスイ―トルームとかいうものではないのだろうか? 興奮のあまりスマホで部屋を撮影した私はいろいろな人にそれを送り、さらに廊下に出て、清掃作業をしているお姉さんに聞いてみた。

 

「すいません、あのベッドが3つある部屋はなんて言われているんでしょうか?」

「はい、それはトリプルですね」

 

 ああ、3個あればトリプル。なんてことはない、トリプルなんだ。ツインの次はトリプルだ。そんな興奮しなくてよかったのだ。多少気抜けしたような顔で「あ、トリプルルームなんですね」と愛そう笑いを浮かべる私に向かって、「はい、トリプルルームです」とお姉さんも愛そう笑いを返してきた。なんとなく、お姉さんに興奮を見透かされたようで少し恥ずかしかった。

 

 で、おそらくコラム担当の小松記者がそろそろ無料テキストの部分を打ち止めにする部分を探し始めているだろうから、オチをつけておく。結論として、私は3個もある立派なベッドに寝ることはなかった。というのも、オカダの取材を終え、大会を最後まで観戦(取材)し、もつ鍋『やましょう』でHカメラマン、永田裕志と絶品のもつ鍋とやましょう鍋をいただき、その後、翌日がオフの永田と昔のように朝方まで飲んで、午前5時過ぎにホテルへ帰還。シャワーを浴びてから、帰り際にコンビニで買ってきた缶ビールを2本空けているうちに、そのままソファでダウンしてしまったのだ。

 

 目覚まし時計でもまったく起きない私を午前1045分に激しいドアへのノック音で起こしてくれたのはHカメラマンだった。目が覚めたとき、キレイにメイクされたままのベッド3体を見て私は愕然としたわけである。

 

 ようやく、オチがついた。ここいらへんから有料になるのだろうなあ(笑)。

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