• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2015.10.15

GK金沢克彦コラム #69

GK金沢コラム連載第69回!! 「新日本10・12両国大会と前田日明」

6年半ぶりに新日本の会場にやって来た前田が拍手を送った試合とは!?

 つい4~5年前まで、新日本プロレスの秋の両国大会は大苦戦していた。8月開催の『G1 CLIMAX』の後遺症である。どれだけ好カードを並べても、G1ロスがまだ抜けきらない。だから、10月の両国大会はG1と翌年の1・4東京ドームの狭間に置かれた悲運の大会的な見方をされてきた。

 

 そんな歴史も今は昔となるのだろう。1012両国大会は8,302人(超満員)の観客で埋まった。升席の前方が2人掛けということで、この数字。だいたい、私が友人に頼まれ大会1カ月前になって升席2人掛けの席が残っているかどうか、新日本サイドに一応確認してみたところ、「残念ながら会社のほうにはもうありません。ぴあなら残っている可能性もあります」と予想通りの回答。そりゃ、そうだ。1カ月前では遅いのである。

 

 結局、友人はぴあで探してみたものの、2人掛け席は完売。今回はライブ観戦を断念している。いまや後楽園ホールばりに両国大会も早め早めにチケットを購入しないと、希望の席を取るのは難しくなってきているのだ。

 

 当日は、テレビ朝日『ワールドプロレスリング』収録と『新日本プロレスワールド』生放送もあって、第1試合から放送席に座り全戦の解説に就いた。放送席の斜め右側のリングサイド最前列。第1試合からなんとも気になる存在がそこに座っていた。試合開始前に、トレ―ディングカードゲーム『キンプロ』表彰式に来場した前田日明(※敬称略)だ。

 

 前田が新日本の会場にやってくるのは、おそらく6年半ぶり。後楽園ホールで、新日本“レジェンド”OBとして山本小鉄さん(故人)の表彰を受けて以来かと思われる。じつは、前田の控室はテレビ朝日控室の並びにあった。試合開始前に私もトイレでばったり会っている。

 

「前田さん、ご無沙汰してます」

 

 そう挨拶すると、私の顔を覗き込んで、誰だったか思い出そうとしている様子。トイレの中が薄暗かったこともあるだろう。それに、前田と面と向かうのは9年ぶりくらい。ビッグマウス・ラウドが分裂したころ以来、なぜか、接点がまるでなくなった。

 

「『ゴング』の金沢です」

「おお、ひさしぶり」

 

 ようやく思い出したのか、少し表情を崩した。木谷高明オーナー、手塚要社長、柴田勝頼などが次々と挨拶にやってきて忙しない。聞くところによると、大会終了後に、新日本プロレスの企画で木谷オーナー、エース・棚橋弘至との対談を行なうとか。あの前田がグ―ンと新日本との距離を縮めてきた。

 木谷オーナーには新日本の歴史を彩ってきたレジェンドたちへのリスペクトがある。OB側から見ても、自分が育った新日本とはいまや別ものの組織となったし、フロントから選手からメンバーもガラリと変わった。しかも、いま新日本はプロレスブームの牽引車的な立場にいる。こういう環境であれば、誰も何も拒むものはないだろう。

 

 前田は木谷オーナーと並んで、第1試合から最前列に座った。私のいる場所から直線距離で6メートルほど。表情までよく見える。前田が今の新日本をどう見るのか? これはマジで気になる。気になりすぎて私の視線は、解説をしながらリング上、モニター、前田の3つを行ったり来たりする。

 

 そんな忙しない状況でひとつ気がついたこと。前半の試合がいつもより沸かない。というか、いつもの最初から出来上がった感じの歓声が響いてこないのだ。これは、大会終了後のテレ朝の打ち上げ&反省会でも話題に上がったのだが、テレビスタッフはみんな総じて感じたらしい。実況&解説陣はヘッドセットを装着しているため、客席の歓声がストレートに聞こえてくるわけではないのだが、そのほかの音響スタッフも同じ感覚を抱いたというのだ。

 

 こういった話を真面目に語り合えるところが、打ち上げ&反省会のいいところでもある。結局、いつもと違う会場の空気を感じたのは“一見さん”、つまり新規ファンが多かったではないか、という答えに行き着いた。

 

 たしかに、そういう空気も感じた。この夏の『G1 CLIMAX 25』を大盛況で終え、とくに2004年以来11年ぶりとなる両国3連戦が大きな話題を呼んで、また新規ファンが増えたのだろう。試合のテンションの高さに変わりがないことを思うと、それがもっとも妥当な見方だと考えていいのではないだろうか?

 

 さて、私が気になってしょうがなかった前田であるが(笑)、第4試合(IWGPジュニアタッグ選手権)の途中で席をはずして、次の第5試合(IWGPジュニア選手権)でも席にはいなかった。私用があったのか、はたまたこの2試合は外国人同士の試合だったので席をはずしたのか? おそらく後者だろうなと勝手に予想する。

 

 まったくもって、気にしすぎと言われそうだが、実際には私だけではなく、放送席のメンバーはみんな時おり前田の様子を窺っていたことを、あとになって知った。さて、その前の第3試合の8人タッグ(天山&小島&永田&中西vs後藤&飯伏&柴田&キャプテン)で、前田の表情に何度か変化が見られた。第2試合まではリング上の試合を真っすぐに表情を変えずに見つめていた前田の顔が何度か変化した。

 

 リング上には、かつて目をかけていた柴田勝頼がいて、前田が注目する飯伏幸太がいて、誌(紙)面を通じて舌戦を展開した因縁の永田裕志がいる。まず、10年の時を超えいまも互いを意識して激しくぶつかり合う永田vs柴田。永田が柴田を捉えて、腕固めへ。そして、ついに白目の神様が降臨。新日本の中継をたまに観るという前田だが、ナマ白目はもちろん初めてだろう。思わず、苦笑いというか、噴き出しそうな顔で笑いをこらえている感じの前田。その様子がなんともおもしろかった。

>