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  • 2015.09.24

GK金沢克彦コラム #66

GK金沢コラム連載第66回!! 「天龍の理にかなった奇想天外なプロレス」

昭和の権化と平成時代の申し子の共通点は閃きとアドリブ

 19日~23日までの5連休。やたら“シルバーウィーク”という声や文字を目にする。これって死語かと思っていたら、なんだか今年から復活したらしい。敬老の日(21日)が間にあるからシルバーなのかと思いきや、どうもそうではないみたい。たんに、5月の“ゴールデンウィーク”に対抗してできた造語だという。なんだか毎日が敬老の日みたいで、イマイチ素敵ではないなあ。

 

「このシルバーウィークはどっか出かけたの?」とかあまり使いたくないフレーズだなあと思いつつ、連休中はプロレス会場に通っていた。というか、後楽園ホールに通っていた。21日=WRESTLE-1(以下、W-1)、22日=ノア、23日=ZERO1と3連戦。そのほか、大日本プロレスやスターダムの後楽園ホール大会もあったのだが、後楽園ホールでの1日2連戦の取材はキツイ。

 

 昼夜興行の空き時間にあたる空白の約3時間をどうやって過ごすのか、私には難題になる。ひと昔前なら、後楽園ホールからタクシーでワンメ―タ―の距離に『週刊ゴング』編集室があったのに……と思ったところで、それも今は昔のよき思い出でしかない。そこで、1時間かけて一旦帰宅したらまた腰を上げる気になどならないし、パチンコとかパチスロなどは高校生のころ以来やったことがないし、好きではない。

 

 あとは、ゆっくりご飯を食べて時間をやり過ごすという方法もあるのだが、そういう場所に入るとおそらく……いや間違いなく、私は昼間からビールとかを飲んでしまう。飲んでしまうと、顔に出るし、息にも出るかバレてしまう(笑)。そんな状態で会場に行くと、最近すっかり飲まなくなった石井智宏から、「あ、酒飲んでる! まったく真面目に仕事しなさいよ」と言われてしまうのは目に見えている。デビューしたてでクリクリ坊主のころから知っている石井にそんなふうに怒られるのは嫌なので、そこは自重しなければいけない。

 

 そういうわけで(どういうわけだか?)先週、『ゴング』の入稿&締切りが重なり、行けなかった会場に3日間も通うことができた。3日間を通してイチバン印象に残っているのは、ある発見をしたこと。テレビ解説などもなく、あくせくすることもなく取材(観戦)するプロレスというのは、冷静に見られると同時に、なにか気になる点を発見すると最後までそれを引きずって見てしまうものだ。特定の試合を例に出すと、周囲がうるさいので、どの試合とは書かない。ただ、せっかくの熱戦も、そこまで積み上げてきたものが肝心のところで生かされていない、ないことのように映ってしまうと興醒めしてしまう。理に合わないな、納得がいかないなと、ふと思ってしまう自分がいたりもする。

 こういうとき、ファンは同じ思いや疑問を抱いたりしないのかな? そんなことも考えるのだが、私が想像するに観客・ファンも理に合わないことは感じ取っているのではないかと思う。だけど、その後の攻防の激しさが前の記憶を打ち消してしまうから、試合に熱中できるのだろう。

 そこで、なぜ新日本プロレスが突出した人気(観客動員力)を誇っているかといえば、試合で理に合わないような攻防が存在しないというのも大きい。勝てば嬉しい、負ければ悔しい、攻められたら苦しい……すべて当たり前のことだけど、この当たり前を忘れがちなプロレスを見ると、それまでどんなに「いい試合だな」と思いながら観ていても、私の場合サッと冷めてしまうのだ。プロレスという特異なジャンル、特殊な競技は、例えるならオセロゲームのようなもの。くるくると局面が変わるなか、じわじわと相手を追いこんでいくが、一手間違うと一発逆転を食らう。反対に、追いこまれているようで一発逆転劇を狙う戦法もあるからだ。

 

 そういう意味で、理にかなっていながら、そこに奇想天外なアイデアをぶつけていく男が天龍源一郎だと思う。ここのところ、天龍、天龍で天龍づくしの趣きもあるが、21日のW-1の後楽園大会がギッシリ埋まったのも“天龍効果”が大だろう。それに、天龍のカウントダウンマッチ(引退ロードマッチ)となると、マスコミの数が違う。天龍のラストランを追跡することは、どのマスコミにとってももはや使命といった感も漂ってきているのだ。

 

 W-1のリングで行なわれた最後の天龍vsグレート・ムタ対決。天龍vs武藤敬司として見ても、天龍vsムタとして見ても、極上の思い出が詰まっている。私の記憶に間違いがなければ、天龍vs武藤の一騎打ちは、新日本と全日本を股にかけて、2勝2敗。そのうちIWGPヘビー級戦が2回、G1公式戦が1回、三冠ヘビー級戦が1回。一方、天龍vsムタはWARと全日本を股にかけて1勝1敗。最後のシングル戦は三冠ヘビー級戦だ。

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