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  • 2015.06.26

GK金沢克彦コラム #53

GK金沢コラム連載第53回!! 「人毛デスマッチ」

あれもプロレス、これもプロレス。
だけど、プロレスは難しい。

(本文)

 6月24日、『ゴング』第5号の発売前日、ワタクシ金沢は後楽園ホールへと向かった。新日本でも全日本でもノアでもWRESTLE-1でもZERO1でもない。目的の団体はアイスリボン。女子プロレス団体だ。もちろん、ライブ観戦(取材)するのは初めてのこと。女子団体といえば、できるだけスターダムの月イチ後楽園ホール大会は出向くようにしているのだが、それ以外の団体となると、ここ数年行った記憶がない。

 

 なぜ突然にアイスリボンなのかを説明すると少し長くなるので、短めに書いておく。今大会は2部構成で開催された。まず通常のアイスリボンの大会があって、それが終了しだい『世羅りさプロデュース興行』がワンマッチで開催される。観客はそのまま居残っての観戦も可能だし、ワンマッチを観戦したいなら午後8時以降に一律1000円で入場できる。なぜ、そういった形式を採用したのかというと、自分に行き詰まり感じた世羅がデスマッチをやってみたい、出来れば蛍光灯デスマッチをやりたいとアピール。それにアイスリボンの所属選手たちがほぼ全員反対し会社としてデスマッチは却下された。

 

 そこに登場したのが、全方位どこにも好意的で懐が深くきわめて評判のいい大日本プロレスの登坂栄児社長。「だったら、ウチのリングを使ってウチの選手も提供してワンマッチでやったらどうでしょうか?」と提案。それによって、世羅念願のデスマッチが敢行されることとなり、カードは世羅&星野勘九郎&稲葉雅人vs成宮真希&宮本裕向&木高イサミによる6人タッグに決定。ルールは世羅考案による『人毛デスマッチ』と相成った。

 

 いやあ、ここまでで十分長いのだが、続いて『人毛デスマッチ』とはなんぞや? そういう話になってくる。これは元デスマッチ王である松永光弘(※デンジャ―ステーキでお馴染み)に「自分のオリジナルのデスマッチを作り出してほしい」とアドバイスを受けた世羅が映画『マッドマックス』を観て「これだ!」と思いついたという。映画のワンシーンで主人公が髪を切られる屈辱の場面がある。そこで髪の毛というアイテムを考案したのだという。そのへんはよく理解できないけれど、人間の頭に生えている髪の毛は愛しいものだが、それが切られたり、あるいは抜けたりした途端に髪の毛はなぜか気持ちが悪いものというか、不潔なものと見られがち。

 たとえば牛丼を食べていて、途中そこに髪の毛を1本発見したこと想像しただけで吐きそうになるし、日本のホラー映画では必ずと言っていいほど女性の髪の毛の束なんかが登場して恐怖感を煽る。そういう発想なのかどうかは知らないけれど、アイテムとしての人毛を収集するために都内の理髪店やら美容院に頼んで人毛集めに励んだ世羅は不審者扱いされたらしい(笑)。

 

 そういった経緯もあって、当初は『人毛1トン・デスマッチ』と銘打つはずが、人毛200kg(推定)ほどに収まり、また後楽園ホールからそこいらじゅうに髪の毛をばら撒かれては清掃が大変という注意を受けて、リングサイド2面に巨大人毛ボックスを設置したダブルヘル形式となった。いやあ、長かったが、ようやくアウトラインが出来上がった。

 

ところで、なぜ私がその取材に出向いたのかと言うと、お誘いを受けたから。旗揚げ当初のZERO-ONEの演出を手掛け、現在はDDTなどの映像・演出を仕切っているFディレクターが、世羅プロデュース興行の煽りVを担当・制作している。「初めての試みなのでいろんな人に見てもらいたいんです。空いていたら見に来てくれませんか?」とFディレクターからメールがきた。昔からお世話になっているし、仕事仲間だった人だし、「なら行ってみよう!」という気になった。それに、こういう誘われるという機会でもなければ、アイスリボンやデスマッチというものを取材することはないかもしれない。そう思ったのだ。

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