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  • 2015.04.02

GK金沢克彦コラム #41

GK金沢コラム連載第41回!! 「鈴木秀樹というプロレス界のジョーカー」

飛び級を達成した鈴木秀樹

 WRESTLE-1(以下、W-1)の4・1後楽園ホール大会で、フリ―の鈴木秀樹があっという間の飛び級を達成。1カ月前の3・8後楽園ホールで武藤敬司を破り悲願であったエースの座(W-1王者)に就いたKAIを、あっさり王座から引きずり降ろしてしまった。

 

 正直、戦前から鈴木による毒舌は、生真面目なKAIを完全に圧倒していた。『KASSEN』3・13新宿FACE大会の前哨戦では、スリーパーでKAIを絞め落として失神させている(※結果は両者リングアウト)。そこから、「弱い、弱すぎる」、「このままでは(タイトル戦が)弱い者イジメになってしまう」、「どこかの女子団体のように、勝った人間が謝らなくてはいけなくなる」など、ケンド―・カシン譲りの毒を吐きまくる。

 

 奮起したKAIが原点であるアニマル浜口ジムを訪ね、師匠の浜口さんに師事を仰ぐと、「今さら基本に帰っても遅い。だけど、浜口さんに鍛え直してもらって、少しでも成長したらいい」と言いたい放題。これはもう、両選手のキャラクターの違いもあるし、性格の違いがあるからどうしようもない部分でもある。そのコメント同様に鈴木はじつにストレートでユニークな人間。KAIはリング上での試合、コメントが物語るように、実直そのものといった感じの青年だ。

 ただし、鈴木の毒舌が際立ってしまう理由は、なんといっても、あの一戦にある。ZERO1の3・1後楽園ホールで船木誠勝と一騎打ち。あの船木と決闘の空気を作り上げたうえに、わずか7分で完勝した。このインパクトは絶大で、鈴木秀樹が本物であることを業界全体に浸透させた格好なのだ。

 

 一方、KAIは本当に時間がかかった。3・8後楽園ホールで武藤を破り第3代W-1王者となったが、遡れば2008年にメキシコ遠征から全日本マットに凱旋して以来、7年越しのエース獲り達成という趣もある。凱旋して、いきなりジュニアリーグ戦を制覇したKAIには未来のエースの座が約束されていると、誰もが思っていたからだ。ジュニア戦士でありながら、骨太で身長もある。マスクもいいし、身体能力は高い。期待されて当たり前の素材。ところが、それ以降、運がないというかツキに見放されたというか、決定的なチャンスを掴むことができずにここまできた。多分にその真面目さも影響しているのだと思う。

 

 そんなKAIがようやく武藤を超えたところでも、鈴木に言わせれば「ベルトを譲ってもらっただけ」となってしまう。

 

 好対照の2人、対極にあるような2人のマッチアップだからこそ、おもしろい絡みが期待された。まあ、戦前いくら毒舌による“口撃”で鈴木が完勝しようとも、リングに上がって答えを出してナンボだろう。

 

 そこで迎えたメインイベント。W-1の会場の空気がガラリと変わった。鈴木秀樹がビル・ロビンソンのテーマ曲『ブルーアイド・ソウル』に乗って入場すると、やはり違和感バリバリに空気が変わる。ノアの会場で鈴木軍が入場した途端、ガラッと空気が変わるのと同様だ。そういえば、どちらも“鈴木が主役”ということになる。

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