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  • 2014.07.17

GK金沢克彦コラム #4

GKコラム連載第4回!! 「藤田和之からの粋なお中元」

試合後、藤田がGKだけに語った
大地戦の真実とは?


 

 今年3月末をもって橋本大地がZERO1を退団して以来、彼とは一度も会っていないし、会話もしていない。やはり親父の故・橋本真也さんとは長い付き合いだっただけに、大地のことはいつも気になっていた。その大地がIGFに入団というニュースを聞いたときには正直驚いた。まったくイメージが沸いてこなかったのだ。例えば、「新日本やノアに入団して、もう一度新弟子からやり直す」というなら、「ああ、なるほどな」という感覚で落ち着くだろう。それがIGFとなると、あのリングでなにを目標にどういうレスラー像を目指してやっていくのか?そういう疑問ばかりが沸いてくるし、キャリア3年程度とはいえプロレスにどっぷり浸かっていた大地にとって、IGFはもっとも遠い団体と映った。
 

 そこで強いていうなら、そういうサプライズ的な選択をするところが、父・橋本真也の血をひいている証拠なのかなとも思える。橋本はみんなをあっと驚かせることが大好きだった。仕事であれプライベートであれ、そういう破天荒さと遊び心を秘めている男だった。


 一方で、大地のIGFデビュー戦の相手に決まった藤田和之は、たまに電話やメールのやり取りをしているなかで、どうもピンとこない様子。


「小さいころの大地くんのイメージしか残っていないし、いくらマスコミの人たちに『橋本真也の付き人だったでしょう?』と煽られても、ボクはリング上の橋本さんとは接点がないですもん。当時は格が違いすぎたから。橋本さんにお世話になったのは、リング外のことばかりですからねえ(苦笑)」
 

 こん感じで困惑し、むしろ「金沢さん、いったいどういう試合をやればいいんでしょうねえ?」と逆質問される始末。「うーん、とにかくYouTubeなんかで探して、実際に試合をしているなるべく最近の大地を観ておいたほうがいいんじゃないかな?」と答えることぐらいしかできなかった。
 

 それ以降、藤田とも連絡を取り合うことなく迎えた7月13日。IGF福岡国際センター大会で、大地のIGF所属第1戦、藤田和之vs橋本大地が行なわれた。当日、私は会場には行っていない。福岡は遠すぎるし、それこそ大地の古巣であり、私がサムライTVの解説を務めているZERO1の『火祭り』開幕戦(後楽園ホール)を取材する必要があったから。そこで、当日夜に知ったのは、ネットや携帯サイトなどでかなり詳細に書かれた試合内容とコメントだけ。
 

 結果は、2分22秒、パワーボムからの体固めで藤田の完勝。大地のエルボーや蹴りを微動だにせず受け続けた藤田がハイキックを食らったところで覚醒し、エルボーで殴り倒すとストンピングと顔面キックの雨あられ。

 

「立て!オラッ」と怒声を放ってから強引にパワーボムで終わらせた。

 

「なるほどなあ」という感じであり、「こういう試合しかないよなあ」と思ったし、藤田の心情も伝わってきた。さらに、試合後の藤田のコメント。

 

「なにもないよ、見たまま。まだまだだよ。あれじゃダメだろ、遠慮するなって言ったじゃないか! 入場だけ、入場曲だけだよ。袈裟斬り(チョップ)か、あれ? どこが袈裟斬りだよ。(破壊王の遺伝子は?)いまのオレ見ればわかるじゃん。感じないから怒っているんだよ」

 

 そう不機嫌極まりない表情で吐き捨て席を立ったという。「まあ、そういう感じなのだろうな」と思った。一応、納得だ。そこで、2日後のこと。「大地はどうだった?」と簡潔なメールを藤田に送ってみたところ、意外な内容の返信があった。「蛙の子は蛙という諺がありますけど、虎の子は虎の子でした。危うく自分、号泣するところでしたね」。ええっ!? どういう意味なのか? メールだけでは真意がわからないと思い、即刻、藤田に電話を入れてみた。藤田は淡々と語った。

 

「入場の出番待ちのときですよ。爆勝宣言の前奏が聞こえてきて『アレ?』っていう感覚になって、それから曲が鳴り響くと『アレ? アレアレ!?』って不思議な気持ちになったんです。そこで大地が壇上に上がって、その顔がスクリーンでアップになって映ったときに、もうダメでしたね。熱いものがこみ上げてきてウルウルし始めて……やばいなあって。そりゃあ親子なんだから橋本さんに似ているのは当たり前なんですけどね。近くにいたスタッフに『(入場待ちが)長いよ!』ってちょっとムッとしたように声をかけて、気持ちを取り戻したんです。もし、そうじゃなかったら、号泣しながら入場するところでした。本当にヤバかったです」


デビュー2戦目、武藤戦の時の大地。日増しに橋本真也さんに面影が似てきた
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