• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 2015.03.05

GK金沢克彦コラム #37

GK金沢コラム連載第37回!! 「船木には鈴木が必要不可欠!?」

風が吹いた3・1ZERO1後楽園大会

 3・1『ZERO1』後楽園ホール大会は、旗揚げ14周年興行となった。ZERO1にかぎったことではないのだろうが、ここ2~3年、集客面では大苦戦を強いられてきた。ほぼ月イチで開催される後楽園ホール大会を観れば一目瞭然。平日には北側の客席をクローズしたカタチで行なわれるが、それでも寂しい入り。土日興行の全面開放形式となると、かえって空席が目立ってしまう。かつて“鉄板”と言われた『火祭り』の決勝戦でも満員にならない。カード編成も悪くない、メンバーも悪くない、試合内容にハズレはない。リング上の充実度と反比例するかのごとく、集客は落ちていく。

 

 この現実を見たら、私のイチバン使いたくない言葉である「新日本のひとり勝ち」というフレーズが頭に浮かんできてしまう。なぜ、このフレーズが嫌いなのかというと、一部を除く他団体には「打つ手なし!」のように聞こえてしまうから。だから、あくまで言葉の醸し出す雰囲気に過ぎないとわかってはいても、「新日本の独走状態」と希望を持たせる表現を使うように心掛けている。「ひとり勝ち」としてしまったら、ほかはもう「負け」という意味ではないか!?

 『サムライTV』の現場実況も、この2年でほとんどなくなった。試合中継は後日、スタジオでのMA収録。14年前の旗揚げ戦からレギュラー解説を務めてきた身からすると、これも寂しいこと。やはり、現場での収録とスタジオでの収録では緊張感が違うから温度差が生まれてしまうのだ。

 

 と、ここまで泣きごと(笑)ばかりを連ねてきたのだが、この日、ZERO1が突然にキタ―!! 試合開始は午後6時。私用のため15分ほど遅れて会場入りしたところ、どうもいつもと空気が違う。西側客席の背中側を通り、南側記者席のある場所までまわっていくと、全景が見える。

 

「あれれっ!」

 

 ここは新日本の後楽園かい? 冗談ではなく一瞬そう思ってしまうほど、客席がビッシリ埋まっており、ホール全体に熱気が充満している。北側後方の立見のお客さん、バルコニーのお客さん、そして我々のように記者席に座らず立見で取材している関係者を全員着席させたら、掛け値なしに満員だ。

 いやあ、驚いた。この5年ほど都内の会場ではボランティアでチケットの受け渡し窓口とマスコミ受付を担っているS女子が、たまたま横に立っていた。「こりゃ凄いですね、ひさしぶりに」と声をかけると、「本当にこんなに入っていただいて、嬉しくて……」と彼女は涙ぐんでいた。バックステージに向かうと、たまたま大谷晋二郎とバッタリ。

 

「凄いよ、ギッシリだよ!」

 

「本当に関係者の皆さんのおかげです。ありがたいことです。ところで、金沢さん、LEONA選手ってどういうタイプなんですか? ボク、まったく試合を観たことがないもんで」

 

 やはり大谷は大谷。満員の観客数に浮かれている様子もないし、試合のことで頭がいっぱいのようだった。

 

 それにしても、突然ZERO1に風が吹いた理由がよくわからない。WRESTLE-1(以下、W-1)との対抗戦、昼に同所で興行を打って満員のファンを集めている大日本プロレスの主力勢(関本大介、ヤンキ―ニ丁拳銃)が出場していること。ドラゴン二世、LEONAの初参戦と、それなりに要素はあるものの、ふだんの後楽園ホール大会でもこれぐらいのボリュームは充分にある。まあ、これは無理に分析しなくてもいいだろう。とにかく風が吹いた。いや、吹き始めたと解釈しておこう。

 

 さて、リング上だ。LEONAの現在の力量を測るにはもってこいの男が大谷。もってこいというよりも、大谷という存在は日本のプロレス界最高の試験管といっていい。試合は17分弱、意外なほどの長期戦となった。グラウンドの攻防、チョップ、エルボーの打撃戦、場外戦と、LEONAはまったく歯が立たなかった。本場のスネークピットでも学んできたレスリング。だが、大谷の懐の深さの前では太刀打ちできない。打撃戦となると、途中でスタミナ切れしたのか、足もとがふらつく。

 

「腰を入れて打ってこい!」

 

 大谷の檄が飛ぶ。観客もLEONA自身も現実をまざまざと見せつけられた。ただ、大谷が言うように「向かってくる目は最後まで鋭かった」も本当だ。大会終了後に、ふたたび大谷と話した。

 

>