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  • 2015.01.29

変態座談会 #19

語ろう!『1964年のジャイアント馬場』変態座談会【後編】「馬場さんの16文の足跡は文字通りデカかった!」

浅草キッドの玉袋筋太郎、構成作家・椎名基樹、プロレス&格闘技ライター・堀江ガンツの“変態”3人が、酒を飲みながら居酒屋で好き勝手に語りまくる変態座談会。今回は、柳澤健さんの名著『1964年のジャイアント馬場』変態座談会の完結編です!

 

 

ガンツ さて、今週も引き続き『1964年のジャイアント馬場』について語っていきたいと思います。

 

玉袋 この本はよぅ、もちろん馬場さんについて書いてあるんだけど、それだけじゃねえところが、またすげえんだよな。

 

椎名 ターザン山本のこととか(笑)。

 

玉袋 ま、それはほっといていいんだけどさ(笑)。

 

ガンツ アメリカと日本の“真のプロレス史”がわかるようになってるんですよね。

 

玉袋 そうなんだよ。アメリカン・プロレス最盛期の真のトップは、“シューター”のルー・テーズじゃねえんだって、バディ・ロジャースなんだ、とかね。

 

ガンツ 等身大のカール・ゴッチの姿もわかりますよね。ゴッチは強いけれど、いかに堅物で、カネが稼げなかったとか。

 

玉袋 強さは一流でも、プロレスラーとして一流じゃなかったんだよな。強いだけじゃねえんだよ。

 

ガンツ だって、グレート・アントニオをリンチしたっていう事件は有名じゃないですか? 

 

椎名 ゴッチとビル・ミラーが控室でリンチしたんだよね。

 

玉袋 それで力道山が激怒するんだよな。“商品”を潰しやがった!って。

 

椎名 そりゃ、そうなるよね(笑)。

 

ガンツ そっからがすごくて、力道山とゴッチがガチンコでやるんですよね。試合の結果こそ引き分けだったけど、内容ではゴッチが力道山に実力の違いを見せつけて。だから、その試合以降、ゴッチは力道山が生きている間、日本に呼ばれなかったという。

 

玉袋 どんだけ堅物かんだよってな。カテエ、カテエ。

 

椎名 それはそれで面白い人だけど、使いづらいよね(笑)。

 

玉袋 そういったガチンコ話で一番すげえのは、やっぱり力道山vs木村政彦なんだよな。増田俊也さんの『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったか』は名著だけど、あの本の影響で、いまは「木村政彦のほうが力道山より強かった」って感じになってるじゃない? でも、柳澤健さんはそこをひっくり返して、あの時点で力道山のほうが強えって書いてるからね。もう決着ついたろ、と思ったら、もう一回、ひっくり返すから。

 

ガンツ 「“プロレス”を望んだのは木村政彦のほうだった」って書いてありましたね(笑)。

 

椎名 へえ、作者同士の交流あるだろうに(笑)。

 

ガンツ でも、力道山のほうが強いっていう説得力があるんですよね。
 

玉袋 あるんだよ。あの時点で、力道山のほうがピークに近かったしね。

 

ガンツ あと体格も力道山のほうが全然デカくて。プロレスは柔道と違って裸の闘いじゃないですか。元力士の力道山を、裸の状態で木村はどう倒して寝技に持ち込むのか。倒すことができてたら、木村は大関になれるって(笑)。

 

玉袋 おもしれえな~、答えが出たと思ったら、また底なし沼に突き落とされるんだよ。前にルー・テーズの自伝を流智美さんが訳して出したじゃねえ?

 

ガンツ はい、90年代半ばにベースボール・マガジン社から出ましたね。

 

玉袋 あれに当時、田中正志(タダシ☆タナカ)が噛み付いてたんだよ。「アメリカ版と全然内容が違う!」っつって。

 

椎名 翻訳じゃなくて超訳だったんだ(笑)。

 

玉袋 あの頃は、まだミスター高橋本も出る前で、ケッフェイが守られてた頃だからさ。だけど、アメリカ版のルー・テーズ自伝は、それを全部書いちゃってるんだよな。タイトルだって『フッカー』っていう隠語だし。で、この『1964年のジャイアント馬場』は、ルー・テーズ自伝『フッカー』の内容なんかも入ってきていて、またいいんだよな~。

ガンツ それどころか、ジャック・ブリスコ自伝まで出てきますからね。そんなのあったんだって。

 

椎名 ジャック・ブリスコ自伝! どんなことが書いてあるの?

ガンツ いや、あのジャイアント馬場が、日本人で初めてNWA世界ヘビー級王者になったときの顛末が事細かに書かれてるんですよ。

 

椎名 ああ、なるほど。馬場が最初にNWA獲ったのジャック・ブリスコからだもんね。

 

玉袋 鹿児島で勝ったんだよな。

 

ガンツ あのNWA王座奪取というのは、馬場さんのアメリカマット界に対する政治力の賜物なんだろうなと長年思ってたんですけど、そうじゃなかったんですよね。馬場さんの交渉相手は、NWAの幹部じゃなくて、ジャック・ブリシコ本人だったんですよ。

 

椎名 「負けてくれ」ってお願いしたってこと?

 

ガンツ 間にテリー・ファンクが入って動いたんですよ。「ジャック、デカいビジネスの話がある」って(笑)。

 

椎名 ハハハハハ!

 

玉袋 いや、おもしれえな。やっぱり、全日本はテリーが動かしてるんだよな。

 

椎名 でも、そのジャック・ブリスコもそうだけど、レスラーの裸一貫で稼ぐ感じに憧れるよね。

 

玉袋 そしてジャイアント馬場も、裸一貫、アメリカでのし上がったわけだからね。それで、本物の一流レスラーになって、日本に最先端の本場のプロレスを持ち込んでよ。だから、馬場がいたから猪木がいたんだよな。そうじゃねえとさ、ああいう猪木のゲリラ的なことなんかは思いつかねえよ。

 

椎名 なるほど。主流があるから、亜流の猪木が光るわけで。2人の天才なんだね。

 

玉袋 完璧な関係性だよ。

 

ガンツ 『8時だョ! 全員集合』があったからこそ、『オレたちひょうきん族』が生まれたような。

 

椎名 でも、ジャンボ鶴田は『カトちゃんケンちゃん』になれなかったんだ(笑)。

 

玉袋 鶴田はなれなかった。ちょっと鶴田の株が下がりすぎだよな。なんだよ、鶴田って。

 

ガンツ 自分で何か生み出したものがないっていう(笑)。

 

玉袋 ないんだよ。ただレールに乗っかってただけなんだよ、ジャンボって。

 

ガンツ カブキさんのジャンボ評がなるほどなって思うんですよ。ジャンボって、デビュー前にすぐアメリカへ飛んで、半年間、アマリロで修行しただけでメインイベンターになっちゃったから、その半年間で覚えたこと以外、できなくなっちゃったって。

 

玉袋 促成栽培でできあがっちゃったんだよな。それで、痙攣パフォーマンスとか覚えちゃってよ。すぐにメインイベンターにはなったけど、完全なトップにはなれねえから、善戦マンになっちゃったんだよな。
 

​ガンツ なんか、すぐにメインイベンターになって、それ以外できなくなった大物っていうと、オーちゃん(小川直也)と一緒ですよね。

 

玉袋 そうだ。

 

椎名 なるほど。

 

玉袋 オーちゃんとジャンボは近いよ。

 

椎名 デビュー当時のあのスタイルしかできないですもんね。

 

ガンツ 猪木イズムじゃなくて、鶴田イズムを継いじゃっていたという(笑)。

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