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  • 2015.01.24

高阪剛が語る『UFC 182.5』次期ライトヘビー級王座挑戦者決定戦見どころ。 「距離を支配できるグスタフソンに対するジョンソンの出方に注目」

日本時間1月25日(日)にスウェーデン・ストックホルム  テレツー・アリーナで行われる『UFC on FOX 14』。メインイベントは、ジョン・ジョーンズの持つUFC世界ライトヘビー級タイトルの次期挑戦者決定戦であるアレクサンダー・グスタフソンvsアンソニー・ジョンソン。さらに日本のファンにもおなじみ、ダン・ヘンダーソンvsゲガール・ムサシも組まれたこの大会の見どころを、WOWOW『UFC-究極格闘技』解説者の高阪剛氏に語ってもらった。この大会は、25日の午前10時からWOWOWメンバーズオンデマンドで先行生放送、WOWOWプライムでは25日深夜0時半から放送になるので、お見逃しなく!

 

 

 

リーチが長いグスタフソンの距離をジョンソンがどう崩すか

 

——今回は『UFC 182.5』の見どころを語っていただきたいのですが、メインイベントはアレクサンダー・グスタフソンvsアンソニー・ジョンソン。先日、ダニエル・コーミエを下し、ライトヘビー級王座を防衛したジョン・ジョーンズへの次期挑戦者を決める一戦となりますが、この試合をどう観ていますか?

 

高阪 まず、この前の試合で、あらためてジョン・ジョーンズが、底知れない強さを見せつけたばかりですからね。あのダン・ヘンダーソンやジョシュ・バーネットを子ども扱いにしたダニエル・コーミエが、ほとんどテイクダウンもできないという。だから、ジョン・ジョーンズを一体誰が倒せるのか? ってみんなが思ってる中での次期挑戦者決定戦ですから、どちらが勝つにせよ、かなりインパクトがある勝利が求められるでしょうね。

 

――そんな中で、グスタフソンは前回、ジョン・ジョーンズを最も苦しめた男として、再戦が期待されてますよね。

 

高阪 そうですね。グスタフソンは、ジョン・ジョーンズとほぼリーチが一緒なんですよ。そして、しっかりとしたボクシング技術を持っている。

 

――ジョン・ジョーンズはたいてい体格的なアドバンテージがありますけど、グスタフソンに対してはそれがなくて、またボクシングテクニックがあることで苦戦を強いられましたよね。

 

高阪 このグスタフソンの強みっていうのは、もちろんジョンソンに対してもかなりのアドバンテージになると思うんですよね。グスタフソンというのは、タックルの精度に多少問題はありますけど、手足の長さや間合いの取り方、空間の支配の仕方をよく知っている。遠い間合いから攻撃が仕掛けられて、またあのリーチの長さで腕を畳んでしっかりワンツーが打てるんで。相手はなかなか中に入れないと思うんですよ。

 

――どうしてもグスタフソンの距離で闘うことを強いられるわけですね。

 

高阪 対するアンソニー・ジョンソンは、一発の破壊力はもの凄いものがあるんですけど、パンチがフック系なんですよね。ということはグスタフソンの距離で闘ったら、まずパンチが届かない。だから中に踏み込んで打たなきゃいけないんですけど、フックっていうのはスウェーバックされると、当たらないんですよね。とくにジョンソンのパンチの軌道は、伸ばしてくるのではなく、手前を通るパンチなので、ちょっと苦しいと思いますね。

 

――アンソニー・ジョンソンと言えば、あのアントニオ・ホジェリオ・ノゲイラをアッパー一発で秒殺KOした凄まじい破壊力の打撃が武器ですけど、それを当てるのが難しいんじゃないか、と。

 

高阪 だから、ジョンソンがグスタフソン相手に、どうやってパンチを当てるか。その対策をどれだけ練ってきてるのかが、第一のカギになるでしょうね。あとは、打撃を当てるのが難しいのであれば、自分的にはジョンソンに寝技をやってほしいんですよね。

 

——ジョンソンにグラウンドのイメージはあまりないですけど、もともとレスリングでジュニアカレッジの全米王者ですからね。

 

高阪 だから、テイクダウンは取りにいくと思うんですよ。グスタフソンの間合いを潰して、もしくは遠い距離から飛び込んでは入るタックルで、テイクダウンを奪う技術っていうのは持っているので、それが決まれば、崩す突破口になるかなと思いますね。また単純な話、ジョンソンのパンチは当たれば倒れるパンチですから。タックルをまぜながら、フェイントを使ってパンチを当てられるかどうかですよね。プラス、グスタフソンのジャブをいかにもらわないか。

 

——では、ジョンソンが取るべき距離というのは、グスタフソンのパンチも当たらないくらい遠い距離から、持ち前の突進力で一気に踏み込めるかどうかですかね。

 

高阪 そうですね。あとは5ラウンド制なんで、スタミナ勝負に持ち込むという方法もあるんですが、アンソニー・ジョンソンはスタミナがあるタイプだと思えないですよね。

 

——そうですね(笑)。となるとジョンソンの爆発力で、早い段階でグスタフソンを嵐に巻き込むことが必要となりますね。

 

高阪 それをジョンソンができるかどうかですね。だから駆け引きの部分もキーになってくると思います。ジョンソンも、いままでの相手と同じようにいってもパンチが当たらないっていのは、わかってると思いますから。そこに何を混ぜてくるか。それがステップなのか、踏み込みを深くするのか。もしくは打撃を意識させておいてのタックルなのか。グスタフソンの方は、ほぼ自分の闘い方が完成されてると思うんで、ジョンソンがどんな闘い方をするのか、その出方に注目ですね。

 

 

一発の破壊力のダンヘンか、詰め将棋のムサシか

 

——ではもう一試合、ダン・ヘンダーソンvsゲガール・ムサシ、日本でもおなじみの二人が対戦しますけど。ダンはここ5試合で1勝4敗なんですよね。

 

高阪 ああ、そうでしたっけ。

 

――じつはそうなんですよ。そんなに負けてる感じもしないんですけど(笑)。

 

高阪 試合内容はいいですからね。前回のコーミエ戦はしょうがないとして、その前は誰でしたっけ?

 

——その前は、マウリシオ・ショーグンにKO勝ちですね。

 

高阪 ああ、右フックで倒して、ベストファイト賞を獲ったんですよね。

 

——いわゆるヘンド・ボム一発で大逆転の凄い勝ち方をしましたよね。そして、その前がリョート・マチダ、ビクトー・ベウフォート、ラシャド・エヴァンスに3連敗したんですけど。リョートとラシャドとは、ほぼ互角の勝負でしたからね。

 

高阪 そうですよね。

 

——そんなダンヘンも、すでに44歳。このところの戦績も含めて、衰えっていうのは感じますか?

 

高阪 衰えは感じないですね。その代わり、進化もしてないと思いますけど、ダンの場合、もともと強いので、自分のかたちにいかに相手をハメ込めるかですよね。以前、構えをムエタイにしてみたりしたこともありましたけど、やっぱりダンは、左手を下ろして右手を挙げて、ちょっと前屈みに構える、あのかたちがしっくり来ると思うんですよね。

 

——右フックを狙ってるのが丸わかりの構え(笑)。だけど、当たってしまうという。

 

高阪 それ一発で倒せるから、ダンはずっと第一線にいられるし、ファンの支持もあるんだと思うんですよね。だから、今度の試合も右を当てられたら相手を倒せるだろうし、あとはクリンチアッパーだったり、差してからのテイクダウンという組む力は、まったく衰えてないので。いかにムサシをそこに呼び込むかですよね。

 

——また、ダンヘンはメンタル的に、ちょっと負けが続いたとしても、それで調子を落としたりとか、自分の闘い方に迷ったりしませんしね。

 

高阪 そうなんです。「今日の俺にはツキがなかった」っていうだけですからね(笑)。だから、今回はあの右が当たるかどうか、ダンにとってはそこですよね。

 

――一方、最近のゲガール・ムサシというのは、どのように見ていますか? いまいち調子が上がってきていない気がするんですが。

 

高阪 まあ、もともと覇気があるタイプじゃないんですけどね(笑)。ただまあ、言ってもムサシは強いですからね。

 

——もともと、潜在能力はもの凄いものがあると言われてますからね。

 

高阪 ムサシっていうのは、総合格闘技の技のつなぎが凄くうまいんですよ。打撃をやっていると思ったら、そこからテイクダウンにいったりとか。自分で倒れ込みながら、下から極めていったりとか。相手にバレないように、自分の技を差し込むのが上手なんですよ。また、ムサシはボクシングがしっかりとできるじゃないですか。だから、パンチの打ち合いだとダンの右を当てられる危険性があるんで、打ち合わずに、しっかり前手のジャブで自分の距離を作って、右ストレートを当てるかたちを作れるかどうか。ムサシはいろんな技を混ぜて最終的に相手の逃げ道をなくして、KOか一本を奪うという。そういう詰め将棋の闘い方ができるので、そこにハメられるかどうかですね。

 

――ではこの一戦は、ダンヘンが右フックを当てるか、それとも当てられずにムサシペースに巻き込まれてしまうのか、そこがポイントとなる、と。

 

高阪 そこに尽きると思いますよ。

 

——ダンヘンの試合は、毎回そうですけどね(笑)。

 

高阪 ある意味、期待を裏切らないんですよ。それがうまくいかないと負けちゃうという(笑)。でも、勝つときはもの凄い勝ち方をしますからね。凄い試合を期待したいですね。

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