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  • 2015.01.17

変態座談会 #18

語ろう!『1964年のジャイアント馬場』変態座談会「馬場さんは、いかりや長介だったんだよ!」

浅草キッドの玉袋筋太郎、構成作家・椎名基樹、プロレス&格闘技ライター・堀江ガンツの“変態”3人が、酒を飲みながら居酒屋で好き勝手に語りまくる変態座談会。今回も、柳澤健さんの名著『1964年のジャイアント馬場』について語ります!

 

ガンツ さて、前回に続いて『1964年のジャイアント馬場』について語っていこうと思いますけど、アメリカ時代、日本プロレス時代にあれだけの成功を築いた馬場さんが、全日本プロレス旗揚げ以降、苦闘の連続になるところが、染みますよね。

 

玉袋 そうなんだよ! 馬場はアメリカでも一流、日本でも超一流で、さんざんカネは稼いだから、本当は若くして引退して、ハワイで悠々自適の生活を送るつもりだったのに、全日本プロレスを旗揚げしなきゃならなくなってからが大変なんだよな。

 

椎名 ホントはアーリーリタイアするつもりだったんだね。

 

玉袋 また全日本になってからは、マッチメイクとかもうまく回らなくてよ。新日本に押されっぱなしなんだけど、90年代に入って、『週プロ』のターザン(山本!)とか市瀬(英俊)記者がいろいろアイデア出したおかげで、黄金時代を迎えちゃうっていうのが面白いよ。だいたい、あれだけダメ人間のターザン山本!を褒めてくれてるのは柳澤さんだけだよ。ターザンはこれ100冊買い取らなきゃダメだよ。

 

椎名 近所に配って歩かなきゃいけない(笑)。

 

玉袋 でも、どうせカネは競馬で溶かしちゃって、買い取ってねえだろ。俺がターザンだったら、100冊買い取ってるよ!

 

ガンツ 玉さんは、去年出した自分のCD(『酔街エレジー』)を大量に買い取りましたもんね(笑)。

 

玉袋 そうだよ。オリコンの演歌ランキング初登場ベスト10入りを狙ったんだけど、大量購入はカウントされなかったというね(笑)。

 

椎名 結局、馬場はなんで全日本を旗揚げしたの?

 

ガンツ 日本プロレスって、日テレで馬場の試合を流して、テレ朝(NET)で猪木の試合を流すっていうかたちでやってたじゃないですか?

 

玉袋 K-1 WGPはフジテレビ、K-1 MAXはTBSみてえなもんだよな。

 

ガンツ ところが、猪木が日プロを追放されたあと、日プロは馬場の試合を日テレとテレ朝、両方で流すようになっちゃったんですよ。それを始めとした、日テレ幹部の数々の不義理やデタラメさに怒った日テレが、馬場に独立を促して。馬場は独立する気なんかなかったんだけど、「うちが全面的にバックアップする。キミにやってもらわなきゃ困る」って、あまりに強く促されたんで、仕方なく旗揚げしたんですよね。

 

椎名 やっぱそうなんだ。

 

ガンツ で、全日本と言えば、豪華ガイジンレスラーが大挙として来日してましたけど、あれって馬場の米マット界への政治力の賜物だと思ってたじゃないですか。もちろん、それもあったんですけど、一番大きかったのは、日テレが莫大な放映権料を用意したので、アメリカより遥かに高いカネをガイジンレスラーに払っていたから、あれだけ来ていたんですよね。

 

椎名 やっぱ、プロはカネだよね(笑)。そりゃそうだよ。

 

玉袋 だから、全日本プロレスは旗揚げ当初から“金権プロレス”だったっていうね(笑)。

 

椎名 元祖SWS(笑)。

 

ガンツ 馬場さんがカネの力で、日プロの馬場派レスラーを全日本に引き連れていったんだから、まさにそうですよね(笑)。

 

玉袋 しかも、バックが日本テレビだからね。メガネ屋どころじゃねえんだよ!

 

椎名 でも、全日本は人気面で、新日本に抜き去られるわけでしょ?

 

玉袋 そうななんだよな。

 

ガンツ 馬場さんは60年代の大成功者なんですけど、その馬場さんの考えが、70年代には古くなっちゃったんですよね。

 

玉袋 そこも悲劇なんだよな~。

 

椎名 古くなったってどういうこと?

 

ガンツ 新日は、タイガー・ジェット・シンを伊勢丹襲撃事件で大悪党に仕立て上げたりとか、ストロング小林、大木金太郎との大物日本人対決とか、さらに異種格闘技戦とか、次から次へと斬新かつ刺激的なアイデアを出していったのに、全日本は昔ながらの大物外国人を馬場が迎え撃つという試合を、ただただやり続けていたんですよ。

 

椎名 なるほど保守的になっちゃったんだね。

 

玉袋 それで、猪木と新間(寿)さんは、「馬場、逃げるな!」とか、さんざん挑発するしな。

 

ガンツ そこで馬場さんがやれることというのは、カネを使って外国人レスラーを好待遇し続けることと、ビル・ロビンソンとか、大木金太郎という猪木のライバルを引き抜くだけだったという。

 

椎名 なるほど。そこでもやっぱり金権プロレスで(笑)。

 

玉袋 また、全日がマンネリ化してよ、新しいスターが生まれてほしいところなのに、次期エースの(ジャンボ)鶴田がナマクラなんだよな~。

 

ガンツ まさに、絵に描いたようなサラリーマンレスラーなんですよね(笑)。

 

玉袋 「おまえらやらなきゃしょうげねえだろ!」っていう状況なのに、マイペースなんだよな~。

 

椎名 フォークギター弾いて、コンサートとかやってたんだよね?(笑)。

 

ガンツ そうです。『ローリング・ドリーマー』ってレコード出したり(笑)。だから、天龍が革命に立ち上がるまでは、ホントに牧歌的だったんですよね。

 

玉袋 だけどよ、当時の全日本っていうと、俺たちもグレート小鹿さんや、カブキさんから、いろいろお話を聞かせてもらったじゃない? だから、この本を読んでいてても、話が一方的じゃなくて、多角的に感じられるからおもしろいよね。

 

ガンツ そうですね。要はカブキさんも小鹿さんも、悪く言ってるのは、全日本後期の馬場さんですしね。

 

玉袋 あとは悪口なんだけど、そうは聞こえねえもんな。

 

椎名 カブキさんは全然聞こえない。

 

玉袋 小鹿さんもそうだったよ。

 

ガンツ だから、ドリフの長屋コントでいかりや長介の悪口言ってるような感じなんですよね(笑)。

 

玉袋 そうそう! だから、それぐらいデカいよ、ジャイアント馬場は。

 

椎名 だって俺、カブキさんの馬場話に持ちギャグだと思ってるもん(笑)。

 

ガンツ カブキさんが加藤茶で、小鹿さんが荒井注みたいなもんですよね(笑)。

 

玉袋 そうだよ。「なんだ、バカ野郎」って言っているのと一緒だよな。「いかりやに怒られた」っていうのと一緒で、「正平に怒られた」だよ。
 

ガンツ 正平に怒られた(笑)。

 

玉袋 また、正平っていう名前の由来がいいよ。正しく平和に生きるってことを願ってつけられたとかさ。

 

椎名 あ、そうなんだ。

 

玉袋 で、馬場さんは10代でモルモン教にいくっていうのの信心深いところもあるんだよな。

 

ガンツ 足がデカくなりすぎて、合う靴がないために、いつも裸足か下駄履きだったのがコンプレックスだったとき、モルモン教の宣教師が大きな靴をプレゼントしてくれて、それで入信したんですよね。

 

椎名 デカいってことで、そうとう苦労したんだろうね。

 

玉袋 そうだよ。巨人軍に入ってからも、それで損してたんだから。何が「巨人軍は紳士たれ」だよな。ジャイアント馬場をあんな端っこに差別しやがってよ。

 

椎名 なんで冷遇してたの?

 

玉袋 巨人の黄金時代だろ? だから、妙な驕りやプライドがあってさ、デカすぎる馬場は見世物みたいに思われて、差別されるんだよ。だって、2軍で2年連続最多勝だよ? 普通ならとっくに1軍に上がれるよ。

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