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  • 2015.01.15

GK金沢克彦コラム #30

GK金沢コラム連載第30回!! 「鈴木みのるのノア侵攻」

昨年6月から鈴木みのるの変革は始まっていた!!

 ノアの110後楽園ホール大会に鈴木みのる率いる鈴木軍が8人のフルメンバー(鈴木、飯塚高史、TAKAみちのく、タイチ、エル・デスぺラード、ランス・アーチャー、デイビーボーイ・スミスJr、シェルトン・X・ベンジャミン)で乱入。メインのGHCヘビー級選手権で小島聡に完勝防衛を果たした直後の丸藤正道、さらに救出にかけつけたGHCタッグ王者チームのTMDK(シェイン・ヘイスト&マイキ・ニコルス)の3人を完全KOし、方舟侵略を宣言。

 

 これを受けて、ノアサイドは1月~2月シリーズへの鈴木軍のフル参戦を決定し、211名古屋国際会議場でのGHCタッグ選手権(TMDKvsK.E.S)と315有明コロシアムでのGHCヘビー級選手権(丸藤vs鈴木)を発表した。

 

 1・4東京ドームへのノア勢(丸藤&TMDK)の電撃参戦、矢野通との合体。敗れた鈴木軍ガイジントリオの報復宣言。それを受けて、翌5日、後楽園ホールでボスの鈴木が「おまえらが売った喧嘩、俺が買ってやる!」とノア出撃(?)表明。わずか1週間でマット界の図式が大きく動いた格好だ。

 

 もちろん、鈴木みのるが単に感情に任せて動いたわけではないことは容易に想像できる。おそらく、私の想像では1年近く、彼がさまざまなシチュエーションにおいて、プロレスと自分自身、鈴木軍の現状を考えに考えた末、いま導き出した答えが方舟侵略だったように思うのだ。

 

 それは、鈴木自身が自分に課した変革であり、現状に対するストレスやフラストレーションをすべて飲みこんだ挙句の革命と言えるのかもしれない。鈴木自身の変革はじつは昨年6月からスタートしていた。新日本マットにおける鈴木軍の位置づけ。同じ反体制のCHAOSどころか、新勢力のBULLET CLUB急台頭は脅威だった。一時、BULLET CLUBは、AJスタイルズという超大物を獲得したことにより、IWGPヘビー、インターコンチネンタル、IWGPタッグ、NEVER無差別級と、新日本に存在するヘビー級ベルトをすべて独占してのけた。

 

「なぜ、こうなんだ!?

 

 葛藤する鈴木は、まず肉体改造に取り組んだ。無論、こんな話はマスコミには漏らしていないし、アピールする必要もないこと。リング上の結果がすべて。それが鈴木の美学というか、彼のなかでは当たり前の話となる。8月の『G1 CLIMAX』でフラストレーションの原因のひとつでもあるAJと公式戦で対戦した。これがG1屈指の名勝負となった。周囲はミスマッチが生んだ奇跡の名勝負としてAJvs鈴木戦を高く評価した。

 

 私もあの試合に魅せられたひとり。興奮を抑えきれずに鈴木に取材の電話を入れた。だが、鈴木はとにかくクールだった。

 

「そんな試合は過去のこと、負けたら意味がない。AJへの評価? なんにもない。彼がIWGP王者? それは大いにある。あいつらが、俺たちの遊び場を侵略している。黙ってはいられない」

 

 私の興奮をよそに鈴木は私が求めるような回答は何もくれなかった。ただ、ひとつだけのちにヒントとなるフレーズがあった。

 

「何かを変えなきゃいけない。ずっとそう考えてきた。そうだな……俺の足を見てみろよ」

 

 これだけだった。足? 何も変わってはいない。鈴木の試合を注意深く凝視した。足……あっ、速い! 足が速い、スピードがあるのだ。なるほど、そういう意味か?

 

「走ってる?」

「ああ」

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