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  • 2015.01.10

変態座談会 #17

語ろう!『1964年のジャイアント馬場』変態座談会「馬場さんは文字通り、ジャイアントなんだよ!」

ガンツ さて、今回の変態座談会は、柳澤健さんのノンフィクション『1964年のジャイアント馬場』について語っていこうと思います!

 

玉袋 いやあ、あらためてジャイアント馬場はすげえ、偉大だって思ったね。スケールが違うよ。

 

ガンツ 我々は馬場さんのこと知ってるようでいて、全然知らなかったっていうことを思い知らされましたよね。

 

玉袋 だけど、それもしょうがねえよ。俺たちは小さいときから、強くてカッコいいアントニオ猪木と、スローモーでよ、「アッポー」なんてやってる馬場を観てきたわけだから。

 

ガンツ 子どもの頃から馬場さんは“年寄り”って感じでしたしね。

 

玉袋 そう。「馬場、引退しろ!」なんて、いっつも野次られててさ。まあ、いまの俺たちより年下だったんだけどね(笑)。

 

椎名 俺なんか子どもの頃、静岡じゃ『全日本プロレス中継』がやってなかったから、馬場はもう死んでると思ってたもん。

 

ガンツ ガハハハ! 

 

椎名 力道山と同じで、昔の人でもう死んでると思ってた。ところが、静岡に全日が来て、ポスターに馬場が載っててさ。「あ、生きてたんだ」って思ったもん。俺が小学1、2年生の頃だけど。

 

玉袋 馬場さんがまだ、もじゃもじゃパーマだった時代だよな。だからよ、俺たちが子どもの頃に観ていたのは、すでに晩年のジャイアント馬場で、それ以前の馬場がいかに凄かったかってことだよ。

 

ガンツ この『1964年のジャイアント馬場』の面白いところは、60年代前半のアメリカ時代だけじゃなく、子どもの頃から巨人軍時代とか、プロレス入り以前も詳しく書かれてるんですよね。ちなみに椎名さんは、もう本は読んだんですか?

 

椎名 いや、まだ読んでない(笑)。

 

玉袋 おいおい、読んでねえのかよ。これは読まねえと!

 

椎名 一回、買いに行ったんだけど、自由が丘の本屋にはなかったんだよ(笑)。

 

ガンツ 新宿の紀伊國屋に行ったら、入り口にズラッと並んでましたよ。

 

玉袋 表紙もインパクトあるしよ、これは買うよ。俺たちの知らねえジャイアント馬場がそこにいるから。グリーンボーイ時代の話なんかも凄いよね。

 

椎名 日本プロレスの話ですか?

 

玉袋 うん、日本プロレスとか海外マットの話とか。アメリカに行って、憧れのレスラーがいたとかね。


椎名 誰ですか?
 

玉袋 バディ・ロジャース。元祖“ネイチャー・ボーイ”で、リック・フレアーのモデルになったレスラーだよ。

 

ガンツ 超ショーマンで、アメリカンプロレスを変えた男なんですよね。

 

玉袋 「バディ・ロジャース」っつうのもキーワードだよな。一番客を読んでカネの取れるレスラーだったけど、性格が悪くて、シュートが強えわけでもないから、いたるところでリンチに遭ったりとかさ。

 

椎名 カール・ゴッチにリンチされたって有名ですよね。

 

ガンツ なぜ、日本のプロレスファンが、これまでアメリカ時代の馬場の活躍をよく知らなかったかというと、そこにもバディ・ロジャースが絡んでるんですよね。

 

椎名 どういうこと?

 

ガンツ これまでの日本プロレスの歴史、“力道山史観”で言うと、バディ・ロジャースはほとんど出てこないんですよね。

 

玉袋 歴史から抹消されちゃってんだよな。

 

ガンツ なぜかと言うと、日本のプロレスは力道山の「プロレスは真剣勝負だ、ケンカだ」っていう思想で発展してきたので、その“プロレス”と全く相容れないショーマンのバディ・ロジャースが、世界最高峰のNWA世界ヘビー級王者だっていうと、都合が悪いわけですよ。

 

椎名 日本だと、世界チャンピオンはルー・テーズから始まってるもんね。

 

ガンツ ルー・テーズは真の実力者で、“世界最強の男”を演じるのにふさわしいプロレス巧者でもあったから、何年もNWAのベルトを巻いていたんですけど、バディ・ロジャースはそのテーズより、遥かに観客動員力があったんですよね。あの60年代前半という、アメリカンプロレス全盛期に、ぶっちぎりで大金を稼ぐ売れっ子だったんで、あまりにも興行人気があるために、NWAのプロモーターたちが、「どうかNWAのチャンピオンになってください」ってお願いしてなった人だったという。

 

玉袋 バディ・ロジャースという存在は、NWAより上だったんだよな。

ガンツ だからロジャースは最初、NWA王者になるのを嫌がったんですよね。「俺はニューヨーク、ボストン、シカゴという大都市で大金が稼げるのに、なんでNWAのベルトを巻いて、南部のちっちゃい街をまわらなきゃいけないんだ?」って。

 

椎名 ああ、チャンピオンになったら、各テリトリーをどさ回りしなきゃならなくなるんだ。

 

玉袋 でもロジャースは、そんな権威いらねえんだもん。存在がスターだからね。

 

ガンツ ルー・テーズは“最強のチャンピオン”というキャラクターだから、NWAのベルトが必要だったんですよね。

 

玉袋 うん、そうだよ。要はウルトラマンだよな。

 

ガンツ だから、テーズはチャンピオンでいる意味があったんですけど、バディ・ロジャースはそんなの関係なく、最高に嫌みなヒールとして観客をヒートさせることができるから、誰よりも観客動員力があったという。

 

玉袋 また、バディ・ロジャースは自分の気心の知れた仲間と一緒に回ってたっていうのがいいよな。そして、そこにジャイアント馬場が入れられてたという。

 

椎名 リック・フレアーでいうところのフォーフォースメンだ。

 

ガンツ ロジャースはどこにいってもヒールだけど、自分の地元だけはベビーフェイスだから、地元用の対戦相手として、東洋人で巨大な化け物という、“絶対ヒール”の馬場を重宝したんですよね(笑)。

 

椎名 敵としてピッタリなんだ(笑)。

 

玉袋 それを馬場は割りきってやってんだよね。だから、凄い柔軟な頭の持ち主だったっていう。だから、やっぱりそこで門馬忠雄さんの一言が効いてきたよね。「馬場なんだよ」って。

 

椎名 それがプロレスなんだね。

 

玉袋 頭がスマートなんだよな。新人の頃から、本場アメリカのトップでやったことによって、当時の日本人の誰よりもプロレスを理解してたんだと思うよ。

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