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  • 2014.07.10

GK金沢克彦コラム #3

GKコラム連載第3回!! 「W-1よ、ポスト武藤の育成を急げ!!」

先週末のメジャー系3団体3日連続興行から
各団体の現状をGKが分析!!

 

先週末は、いわゆるメジャー系といわれる3団体の興行を3日連続で取材した。4日=新日本プロレスの後楽園ホール大会5日=ノアの有明コロシアム大会6日=WRESTLE‐1の両国国技館大会。3日連続でカラ―の違う大会を観戦していると、やはりいろいろな発見があっておもしろい。ここにテレビ解説などの仕事が入ってくると、リラックスしての観戦などできるわけもないし、退屈して一服というわけにもいかないし(笑)、なによりバックステージの様子を垣間見ることができない。そう考えると、けっこう公平なスタンスで3団体の現状を感じ、分析することができるのだ。

 

まず、新日本は例によって超満員。立見席以外はチケット完売となった。そして、やはり例によって試合開始前から客席ができ上がっている。いつものこととはいえ、完全にでき上がっている。選手主導ではなく、観客主導で試合に向かうための最高の環境ができ上がっている。正直、この後楽園ホールのムードは異様というか、遡ってみると、1980年代後半~1990年代前半の全日本プロレスの後楽園ホール大会の空気に似ている。あの当時、新日本は後楽園ホールにそれほど力を注いでいなかった。満員で当たり前ということもあってか、タイトルマッチや勝負を賭けるようなカ―ド編成を組んでくることも滅多になかったのだ。これは、後楽園ホールでのテレビ中継が少なかったことも要因のひとつなのだろう。一方の全日本は、後楽園ホールを大切にしていた。だからこそ、当時の後楽園ホールはプロレスの聖地というより“全日本の聖地”という印象のほうが強かったのだ。

 

ジャンボ鶴田を筆頭とする正規軍と天龍同盟のバチバチのタッグマッチをガッチリ組んでいたし、最強タッグでハンセンvsブロディが最初で最後の遭遇を果たしのもホール大会。また、ブリティッシュ・ブルドッグス(キッド&スミス)vsマレンコ・ブラザース(ジョー&ディーン)なんていう、マニア垂涎のカードが組まれたこともある。そこで、試合開始前からでき上がっているといえば、“6時半の男”百田光雄の大ブレイクだろう。“ロッキーのテーマ”に乗って入場する百田には、メインイベンターに劣ることのない盛大な百田コールが送られていた。実際に、客層は違っていても、あの空気感はいまの新日本に通じるものがある。

 

当日のメインはIWGPジュニア王者・飯伏幸太に、IWGPジュニアタッグ王者にして、スーパーJr準優勝者のKUSHIDAが挑んだ試合。言うまでもなく現・新日本ジュニア最高峰のマッチアップ。試合内容でも勝負論の面でも超期待のカードである。ところが、アクシデント発生。序盤のハイスパートの攻防の際に飯伏が大ダメージを受けて、ストップしてしまったのだ。ロープ際の飯伏めがけて突進したKUSHIDA(以下、クッシ―で)が倒立してのハンドスプリング式キックを放った。その直後から飯伏はまるで空気の抜けたヨシヒコのように(※ゴメンね、飯伏クン)フニャフニャになってしまったのだ。どうやらクッシ―の踵あたりが強烈にアゴかコメカミあたりにヒットしたようだった。いわゆる脳震とうで記憶が飛んでしまった状態。過去にも、選手のこういうシーンは何度か観ているが、相当にダメージが大きかったようで、なかなか飯伏は回復しない。なんとか自分を取り戻そうと必死に気合を入れ立ち上がり反撃するのだが、十八番の三角飛び式ケブラ―ダに行ったときなど、腰が砕けてしまった。まあ、あの状態でよく15分も闘ったものだ。しかし、あそこまでが限界だろう。クッシ―がホバーボードロックで半ば強引に試合を終わらせたのは正解だと思う。あれ以上続行して、もし取り返しのつかない事故などにつながったら、日本マット界は“ゴールデンスター”を失ってしまう危険性もあったと思うからだ。

 

そこで感じたもうひとつの現象。もし、5年前の新日本だとしたら、まあ野次やら怒号やら大変に後味の悪い結末になっていたと思う。ところが、私が耳を澄まして聴いているかぎり、「KUSHIDA、もう終わらせちゃえよ」という声が一度響いただけ。あとは、ただならぬ状況を察知したファンが心からの“飯伏コール”で飯伏のカムバックを後押ししていた。試合後も、ベルト移動劇に大爆発とはいかなかったものの、クッシ―を称える声、飯伏を心配する声が大多数だった。まあ、優しいというか、物わかりがいいというか、立派なお客さんたちというしかない。私がもしお金を払って観に来ていたなら、おそらく期待感が大きすぎただけに、文句のひとつもつけたくなると思うのだ。客層は若返った、それなのにみんなレスラーに優しい、これってもしかして“信頼関係”というものなのだろうか? いやはや、新日本はおそろしい団体になった。ここ数年の努力で、こと後楽園ホールに関しては選手と観客の完全なる信頼関係を築いてしまったことになる。

 

さて、5日のノアはまず試合開始前のポールダンスがよかった。選手のテーマ曲に合わせて、ポールダンスと普通のダンス(?)が披露される。これはいい演出だ。ポールダンスって、ちゃんと競技として成立しているものだから、「スゲェ―」と釘づけになってしまうのだ。たまたま、試合前に丸藤正道に会ったとき、「丸藤選手の運動神経ならアレできるでしょ? ベルト奪回したらポールダンスやってね」と言うと、「いやいや、無理ですよ(笑)。頭から落っこちます。俺でも受身とれませんよ」と苦笑していた。ちなみに、メインで最後に入場してきた永田とダンサーたちがそろって「ゼア!!」と決めたのも大受けだったし、永田がゲートに現れる前にダンサーたちが“ナガダンス”で出迎えたのも最高の演出だった。……と、演出のことばかり褒めていてもしょうがない。基本的にノアの試合は息が抜けなくておもしろい。その一方で、私は不安要素も感じてしまう。まず、GHC王座を奪回した丸藤の体調面。これは私だけにかぎらず、多くの記者たちが口にしていること――ここ2年ほど丸藤がしんどそうに見えてしまうのだ。天才肌の丸藤はあの三沢光晴を凌ぐほどの受けの名人、受身の達人だと思う。ポンポンと受身をとっておいて、バチンバチーンと痛烈なトラ―スキックの雨あられで試合の局面を一変させてしまう。ところが、この日の試合を見ていてもいっぱいいっぱいに見えてしまう。そこは永田裕志の異常な元気さもあるのだろうが、「しんどそうだな」というのが率直な感想だった。KENTAが退団したいま、やはり丸藤にすべての重責が圧し掛かってくるのは当然とわかってはいても、もう少しなんとかならないものか? リング上ではチャンピオン、リング外では副社長。真面目な人間だから、それをすべて背負ってしまう。また、不整脈のため一時欠場した杉浦貴も同様だ。東スポ紙上では“ハレンチ王”などというキャラをつけられていても、彼もまた真面目人間。不整脈なんて、明らかにストレス過多からくるものだと思う。それは、『ときめいたら不整脈!?』というタイトルのアメブロをやっている私が言うのだから間違いない。

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